古着ブームは留まることを知らず、ヴィンテージは枯渇、値段高騰も甚だしい。そんな世間でスポットライトを浴び始めたのが、これからヴィンテージになりうる1970年代以降の「ネクストヴィンテージ」。ここでは、そんな古着たちを深掘りする。第13回目からは3回連続で秋冬のアメカジの必需品ネルシャツにフォーカス。
2大ネルシャツブランドとは?「BIG MAC」と「FIVE BROTHER」
アメカジの定番であるネルシャツ。長らく人気が落ち着いていたが、ここ数年で再び注目を集め、古着市場でも秋冬シーズンの主軸となった。なかでも1940〜60年代の、裾サイドにマチが付く通称“マチネル”は異常な価格高騰が起き、今や安易に手が届かない。そんな現代において薦めたいのは1990年代以降の近年もの。それらを今から探すうえでのヒントを3回に渡り紹介していく。第1回目は、誰もが知るネルシャツの2大ブランドから。
BIG MAC
1970〜80年代にかけてネルシャツの圧倒的な流通量を誇った「ビッグマック」ネルシャツ=ビッグマックという印象を持つ人も多く、いま市場では枯渇状態にある。ただし、1980年代中期から登場する後継ブランド「セントジョンズベイ(ST. JOHN’S BAY)」のネルシャツは、質・デザインともに優れており狙い目だ。
1960s


「ビッグマック」ネームのつくネルシャツはこの時代から登場。プリントネルの一部にマチ付きも存在する。3万9380円(スラットTEL03-5913-8470)
1970s


襟が大きく着丈が短い70sらしいスタイル。コットン100%のほか、ポリエステル混のアイテムも存在する。1万9800円(グリーフル原宿店TEL03-6427-6039)
1980s


襟は標準的で着丈もやや長く、裾は緩やかなラウンド。ほとんどが米国製のコットン100%。1万1000円(デザートスノー下北沢1号店TEL03-5790-9601)
1980s後期〜1990s初期


スタイルは前時代とほぼ変わらず。アウトドアウエアに見られるようなカラフルな配色が特徴。1万2000円(デザートスノーガーデン店TEL03-5761-6390
1990s初期〜90s中期


ゆったりとしたシルエットが90sらしい。「ビッグマック」タグを付けたワークウエアラインの最終型。1万6500円(ハスキー原宿TEL03-6712-6922)
1980s中期〜90s初期


「ビッグマック」の後継として「セントジョンズベイ」ネームで展開。ストライプ柄など変化のあるデザインも多い。1万7490円(デザートスノー千葉TEL043-225-9600)
1990s中期〜後期


スウェードのタグが使用されている。インド製と近年のものだが、コットン100%で質感も良好。8580円(ピグスティa⇌zストア下北沢店TEL03-6407-8229)
1990s後期〜2000s初期


バングラデシュ製のコットン100%。毛羽立ちがあり、70sに近いヘビネルの質感。黒や茶系チェックを狙うならこの時代。1万3990円(ボストックTEL03-3470-2221)
FIVE BROTHER
アメリカのワークウエアの老舗として、1940年代から現在に至るまでネルシャツを作り続けてきた「ファイブブラザー」。同社の傘下ブランドやOEM製品も多く、タグが異なっても製造元が「ファイブブラザー」であるケースが多数存在するため侮れない。質・デザインが同等の兄弟シャツを探すのも面白い。
1960s後期〜1970s初期


このデザインタグの中では後期のもの。ポリエステル混ネルで襟先が長く、ウエストシェイプ入り。デッドストック。1万4080円(スラットTEL03-5913-8470)
1970s中期〜70s後期


ブランド名表記が数字の「5」からアルファベットの「FIVE」に変更。襟先は短くなるが着丈はまだ短め。2万2000円(ステップアヘッド原宿2TEL03-6427-5150)
1980s初期〜80s後期


三角吊り下げタグに創業年が入り、着丈が長くなって裾は緩やかにラウンド。細かなチェックの珍柄。1万7380円(ステップアヘッド原宿2TEL03-6427-5150)
1990s


タグが変更された後のバングラデシュ製だが、コットン100%で質感は健在。紙フラッシャー付きデッドストック。1万6280円(グレースTEL03-6416-3457)
(出典/「Lightning 2025年12月号 Vol.380」)