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アメトラにおいて異端な“黒”。だからこそ注目したい、名作の“黒”。

長らく、ファッションにおける「黒」はイレギュラーであったが80年代を境に身近になっていき、今や大勢の人々にとっての当たり前になった。しばらく縁遠かった我々アメトラ好きもいよいよ黒について真剣に考えなくてはいけない頃だろう。逆に言えば、今まで遠ざかっていたからこそ見出せる新たな黒の魅力もあるはずだ。一見すると静かで控えめ。けれど、装いの印象を最も強く左右するのは、やはり黒だ。落ち着きの中に確かな意志を宿し、スタイル全体を引き締める。トラッドの世界では脇役とされてきた“黒”を主役に据え、各国名門のマスターピースを集めた。

トラッドの定義そのものを拡張する選び抜かれた黒単色|INDIVIDUALIZED SHIRTS/BD SHIRT

アメリカントラッドの文脈において「黒」は長らく異端視されてきた。ドレスならネイビーやチャコール、シャツなら白やサックスが定番であり、黒は敬遠されがちだったのである。そんな固定観念に挑むのが1961年創業のカスタムシャツメーカー「インディビジュアライズドシャツ」の本作だ。

創業以来、一貫して米国内生産を守り、「ブルックスブラザーズ」の顧客層向けにカスタムシャツを供給してきたという確かな実績のもと、コントラクションヨークや細巻き縫いなど高度なステッチワークを今日まで継承している。その中でも黒単色の本作は極めて稀少で、伝統的なマナーから逸脱しながらも、あえて日常に馴染みにくい色を選ぶことでトラッドの枠を拡張している。素材は滑らかなコットンポプリンで、フラットな表情にモード的な鋭さと均整を兼ね備える。価格は3万9600円(ユーソニアングッズストア TEL03‒5410‒1776)

本来なら異端に映るその選択も、デイリーユースなら最適解|SIERRA DESIGNS/ORIGINAL MOUNTAIN PARKA

いわゆるロクヨンクロスの元祖にして、時代を超え愛されるマウンテンパーカの誕生は1968年のこと。オンオフを自在に行き来できるユーティリティアウターとしてデビューし、60年が経った今日でも名品のひとつに数えられている。シェルは天然繊維と化学繊維の掛け合わせて織られた伝統のロクヨンクロス。コットン由来の優しい肌触りと、ナイロン由来の撥水性を兼ね揃えた革新的な試みは、その後もブラッシュアップされ続け、本作ではインビスタ社製コーデュラナイロンを縦糸に採用することで、従来品と比べ、より引張強度に優れた設えとなっている。

雨や風の侵入を防ぐ各所の巻縫いやクラシックな4ポケット、3枚剥ぎの立体フード、ラグランスリーブ由来の優れた運動性など、基本的なファンクションはもちろん健在ながら、あえての“黒”チョイスで空気が一変する。視認性を高めるために色鮮やかに進化していったアウトドアの文脈では異端に映るその選択も、都市ではシャープな印象を加え、カジュアルからビジネスシーンまで守備範囲も広がることだろう。4万9500円(アリガインターナショナル TEL03‒6659‒4126)

配信元: Dig-it

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