オノ・ヨーコさんの気持ちがわかる気がするんです
──事件後、オノ・ヨーコさんにも直接取材をされています。印象を伺えますか。
ジョン・レノンがなぜあのように亡くなったのか。いちばん考え続けてきたのはヨーコさんのはずです。「ビートルズを解散させた」など、ファンにいろいろ言われてきた方ですが、ジョン・レノンにとってかけがえのない人であり、強い人であり、そして孤独な人だと思います。
私には彼女の気持ちが少しわかる気がするんですよ。ジョン・レノンとは比べようもないですが、ニューヨークではピート、ピートって、夫にはいろんな人がいろいろ頼みに来て彼は断りきれない。
ありがたいことですが、その対応に翻弄されたのです。だから、ヨーコさんがどれほどたいへんだったか、考えさせられました。
──いったん諦めた取材を再開するきっかけをつくったのは、その夫のピート・ハミルさんでした。また、ピートさんの弟の写真が、チャップマンの事件に関わっていたことも明らかになります。青木さんを含めたさまざまな人の数奇な運命とともに、ジョン・レノンという大きな存在にあらためて思いを馳せました。
あるときピートの手紙を整理していたら、ジョン・レノンからピートに宛てた手紙を見つけたんです。そのとき、もう一度やってみようという思いが芽生えました。つくづく、やりたいことは、諦めたらダメですね。
執念深いといわれますけど(笑)、角度を変えたり、視点を変えたりすれば、絶対に解決方法があると思っています。
この本で私が書いたのは、ジョン・レノンはなぜ殺されたかと問いかけるパーソナル・ジャーニーなのです。ジョン・レノンは「自分の頭で考えろ」と言っていました。この本を読んで「なぜ」という答えを、それぞれが考えてくださると嬉しいです。
取材・文/砂田明子
ジョン・レノン 運命をたどる ヒーローはなぜ撃たれたのか
青木 冨貴子
2025/12/12,200円(税込)304ページISBN: 978-4065416372青木冨貴子、9年ぶりの大作ノンフィクション刊行
■没後45年 ジョンの生と死の真実を明かす
音楽と政治、ヨーコ・オノとの出会い、精神世界への傾倒、日本への関心…本人は何を考え、ファンは何を見ていたのか?
狙撃犯・チャップマンが著者に語った「空白の真実」とは?
40年間の取材の果てに見出した執念のノンフィクション!
■英雄の魂、殺人犯の運命
「イマジン」に裏切られた男は、刑務所でいま何を語るのか?
彼は笑みを浮かべ、握手を求めて来た。差し出した手が氷のように冷たいのには驚いた。「君は誰より粘り強いリポーターだよ」
開口一番こう言った。親しみを込めて半分冗談めかしたような口調だった。
(本文より)
〈本書の内容〉
第1章 チャップマンからの手紙
第2章 運命の出会い
第3章 ヨーコからの電話
第4章 魂の源流
第5章 音楽と革命
第6章 軽井沢の夏
第7章 殺害パンフレット
第8章 グローリア洋子の証言
第9章 ジョン・レノンが死んだと想ってごらん

