女子テニスのレベルや評価のされ方について、元世界ランキング8位のダリア・カサキナ(オーストラリア/現37位)が自身の考えを明かした。男女ツアーの比較というデリケートなテーマについても、ポッドキャスト番組『The Sit-Down』に出演した彼女は率直な言葉を選んでいる。
まずカサキナが強調したのは、女子テニス全体の競技水準そのものだった。
「正直言ってレベルはとても高い。おそらく多くの批判を受けると思うけれど、私は気にしない。ここ最近の幾つかのグランドスラムでは、女子の試合の方が男子よりも面白かったと思う」
一般的にはそのように評価されにくい理由として、彼女は四大大会における決勝戦の印象が大会全体の評価を左右しやすい点を指摘した。
「5セットマッチの男子では、最後の試合の印象がとても強く残る。例えば全仏オープン決勝の(ヤニック・)シナー対(カルロス・)アルカラスは、信じられないほど素晴らしかった。でも実際には、決勝までの2週間が必ずしも決勝と同じレベルで面白かったわけではない。一方で女子は、2週間を通して良い試合が行なわれていても、残念ながら決勝がそれほど面白くなければ、その大会自体があまり記憶されない」
さらに、そうした印象の差が生まれやすい背景として、男子決勝が記憶に残る試合になりやすい理由にも言及した。
「決勝はとても特別な試合。3セットマッチでは、第1セットを落として第2セットでも劣勢になると、ほとんどの場合そこで試合が終わる。でも男子の5セットマッチでは、2セットを連続で落としてもまだチャンスがある。第3セットでは全く違う展開になることもあるし、そうした逆転劇を何度も見てきた」
決勝という「特別な舞台」では、セット数の違いが試合の行方を大きく左右する。だからこそカサキナは、「グランドスラムの決勝だけを基準にして、女子ツアーを判断すべきではない」と結論づける。
では、女子も5セットマッチを導入すべきなのか。カサキナは、競技面だけでなく日程や観戦環境を含めた現実的な課題を挙げている。
「大会はすでに2週間ある。もし女子が5セットになったら、1カ月の大会になってしまう」
「女子は5セットを戦える。でも観客は本当に最初から最後まで5セットの試合を見たいのか。難しい問題」
「グランドスラム決勝以外で、5セットの試合を最初のポイントから最後まで見たことがどれくらいある?」
「5セットは素晴らしい形式ではあるけれど、人々は疲れてしまう」
女子テニスの評価をめぐっては、別の角度からの指摘もある。ココ・ガウフ(アメリカ/同2位)は男子と女子の面白さを比較し、勢力図の違いについて語っていた。
「カルロスとヤニックは素晴らしい活躍をしているけれど、第3勢力が必要だという声もある。同じ2人じゃなく、異なるチャンピオンがいる方がより面白くなると思う。(四大大会女子で)4人の異なる優勝者が生まれたのは素晴らしいこと。全ての選手が競争力のある1年を送ったと感じられるから」
こうした議論では、選手の声に加え、観客やスポンサー、メディアなど多くの要素が絡む。女子テニスの面白さをどう捉えるかも含め、その評価は立場や視点によって変わってくる。
構成●スマッシュ編集部
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