スーパーフォーミュラ最終戦が行なわれた鈴鹿サーキット。ピットビル2階のホスピタリティラウンジは活気を帯びていた。行なわれていたのは『技術セッション』と呼ばれるビジネス交流イベントで、企業・団体参加14社、来場者180名超を数えたという。
そこでは自動車関連企業などによるブース出展が行なわれたが、目玉となったのは基調講演。ホンダ/HRCでF1パワーユニット開発を担当した田辺豊治氏、日産でフォーミュラEのチーフパワートレインエンジニアを務めた西川直志氏ら世界選手権の最前線で戦ってきた技術者が登壇した他、水素エンジン、国産カーボンニュートラル燃料、F1日本GPを通じたサステナビリティの取り組みなど、モータースポーツを通じた社会課題解決に関する講演も行なわれた。
鈴鹿市と日本自動車会議所の後援も受けたこのイベントは事前申し込みによる参加となっていたが、なんと参加費は無料。スーパーフォーミュラのプロモーターであるJRP(日本レースプロモーション)はなぜこのような施策に力を入れているのか?
スーパーフォーミュラは近年の様々な改革の成果もあって観客動員を増やしており、2025年は年間26万人という数字を記録した。しかしJRPとしても、ファンを増やすだけでなく、持続可能な業界とするためにビジネス面でのテコ入れも不可欠であると感じている。
JRPの上野禎久社長はイベント冒頭の挨拶で、この技術セッションが「モータースポーツが持つ社会的意義を広く知っていただく」ためにスタートしたと説明している。モータースポーツは前述の通り、環境問題などの社会課題解決のための実験場になり得るわけだが、それが大衆に広く知られていない現状では、ビジネスとしての機会を大いに損失していると言っても過言ではない。
技術セッションの来場者も、モータースポーツファンの社会人がほとんどかと思いきや、JRP曰くそうではないという。その裏にはJRPの各企業への地道な働きかけもあったようで、これは言うまでもなく「モータースポーツが持つ社会的意義を広く知ってもらう」ためだ。
JRPは今後も「モビリティ産業への貢献を目的としたイベント設計」と「ファシリティを改善し、ビジネス機会の創出をサポート」することに注力していくとしている。2026年シーズンも、7月の富士大会と11月の鈴鹿大会での開催を予定しているという。
上野社長は、持続可能なカーボンニュートラル社会を実現することは、⼈々の“移動”そのものを守ることであるとして、次のように述べ挨拶を締め括った。
「これまでの⼈類の⽂化や⽂明の発展に"移動"は⽋かすことができないものでした。いささか⼤袈裟な表現になりますが⺠族⼤移動やシルクロード、多くの"移動"が⼈々の⽂化を育み、⽣活を⽀えてきたのは、紛れもない歴史の事実です」
「多くの"移動"が制限されたコロナ禍での緊急事態宣⾔もまだ記憶に新しいですが、サステナブルな移動を実現できなければ、またあのような社会になりかねません。未来の⼦供たちが⾏きたい場所に⾏けるように、会いたい⼈に会えるように、⼈々の暮らしと⽂化を守ることは我々の使命だと考えています」
「そして、この取り組みは国内に限らず、様々なモータースポーツのカテゴリーで⾏なわれています。そういった取り組みを多くの⽅に伝えることができるこの技術セッションという新たな取り組みは、⽇本だけでなく世界中のモータースポーツに広がっていくべきイベントと捉えております」
「今後、スーパーフォーミュラが海外に活動の場所を広げていくにあたって、この技術セッションも同様に各国のモビリティとモータースポーツの発展に貢献できるよう、取り組んでまいりたいと考えています」

