国民民主党の玉木雄一郎代表といえば、公明党の連立政権からの離脱表明を受けた10月10日の記者会見で「内閣総理大臣を務める覚悟はある」との発言を6回繰り返し、強い意欲を示した。ところが日本維新の会に先を越されて連立入りを逃し、評価を大きく下げた。その玉木氏が再び、連立政権入りを模索し始めた。
11月23日の共同通信加盟社編集局長会議で講演した際、連立政権入りについて、
「政策実現の度合いなどを見定めながら、どこまで進むのか決めざるをえない。模索している最中だ」
これは国民民主党が訴えてきた、所得税の課税最低ラインを178万円まで引き上げることに高市早苗首相が同意したことを受けたものだ。玉木氏は高市首相との12月18日の会談後、満足げに語っている。
「国民の皆さんから託されたミッション・コンプリート(任務完了)ということで、ひとつの区切りを迎えることができた」
当然、連立入りすれば内閣総理大臣は無理としても、財務省出身ゆえ、財務相にはなりたいところ。ところが現在の財務相は、11期先輩の片山さつき氏。先輩を押しのけて財務相になろうという勇気は、玉木氏にはないだろう。
そもそもすでに主要閣僚は埋まっており、玉木氏が入る余地はない。このため同じく23日の記者会見では、こうも言っている。
「(2026年度予算案などに)包括的に賛成ということなら、それはイコール連立だ。そうではないポジションを取っている」
ここでは慎重な姿勢を示したのである。
政策の説明は上手だが、重要な判断をめぐってフラフラする人物だというのが、政界での玉木氏の定評だ。来年もそれを繰り返すのか、あるいは連立入りを決断するのか。勝負の年となりそうだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)

