この人が相撲愛に満ちていることはよくわかるし、的確な解説に思わず膝を打つことも少なくない。ただ、思ったことをついそのまま口にすることで、しばしば炎上騒ぎが勃発してしまう。それがNHK大相撲解説者の元小結・舞の海秀平氏だ。
例えば2022年の3月場所初日。小結・隆の勝と平幕・明生との取組で、立ち合いで変化され、なすすべなく敗戦した隆の勝を一喝。
「当たっていなされたり、かわされたりした時にこそ、足を出して残す。そのために稽古をしてるわけですからね。負け方がですね、レベルが低いと思います」
3日目の平幕・石浦と平幕・琴ノ若の対戦でも、土俵下に転落してうずくまる石浦に、ズバッと苦言を投げかけた。
「一瞬だけ電気が走っただけだったら、サッと土俵に上がって礼をして下がった方がいいですよね。あれだけ長い間、土俵下にうずくまっているというのも、よくないと思います」
こうした物言いに即反応するのがSNSだが、
〈いくら何でも言いすぎだろ!〉
〈上から目線もいいところだ〉
などなど、舞の海に猛烈な「物言い」がつくことになる。
さらに翌2023年の1月場所9日目、大関・貴景勝の左肩付近に「カッピング」(真空状態にしたガラスのカップを体に吸着させて行う)治療痕がみられることに、
「これで少し楽になるなら仕方ないですけど」
そう前置きした上で、持論を展開したのである。
「美しさを求めて見てる人はですね、場所が終わってからこの治療をしてほしい、と思ってる人もいるでしょうね」
スポーツ紙相撲担当記者が語る。
「貴景勝の最大の武器は、低い体勢からの突き押し。ただ、真正面から相手にぶつかるため体への負担は大きく、それまでも右膝関節の靭帯損傷や頚椎椎間板ヘルニア等々、様々な古傷に悩まされてきました。爆弾を抱える中、カッピングなどのケアを行い、懸命に頑張ってきたわけですからね。案の定、『見た目を気にしろ』的発言が物議を醸すことになりましたね」
そんな舞の海氏が、この秋場所3日目となる9月16日、両国国技館内にある相撲博物館で行われたトークイベントに出演。大相撲中継での発言について、サラリと言ってのけた。
「いろんな人に『また炎上してましたね』と。最初はびっくりして、自分の家が焼けているのかと。ただ、私まだ、恥ずかしながらガラケー。(SNSは)見たことないですね。見てもそんなに落ち込んだり、腹が立ったりということはないですね。人それぞれ、ユーモアとして受け止める人もいれば、厳しく受け止める人もいれば、人それぞれでいいのかなと」
現役時代はどんな大きな相手にも「技のデパート」としてあらゆる動きとアイデア、頭脳を駆使し、立ち向かっていった「平成の牛若丸」。だが、自身の言葉への賛否の声には、スルーを決め込んでいるのだった。
(山川敦司)

