シャネル(CHANEL)のマトラッセとは
マトラッセはシャネル(CHANEL)を象徴するアイコンの一つ。キルティングの上品な風合いと高級感のある佇まいは、世界中の女性から愛されています。まずはその特徴と誕生の背景を見ていきましょう。
マトラッセの特徴
マトラッセの最大の特徴は、ふっくらとしたキルティングによる上品な立体感。マトラッセ(Matelassé)はフランス語で「詰め物をした」「キルティング状の」という意味の言葉で、日本語では「ふくれ織り」と訳されます。ココ・シャネルはこの技法をバッグのデザインに取り入れました。ダイヤ型のステッチが光を受けて陰影を生み出し、独特の高級感を演出してくれるのが魅力です。
マトラッセは商品名ではなく技法のことですが、「シャネルのマトラッセ」というと一般的にはショルダーバッグのことを指します。現在では、ハンドバッグや財布などにもこの技法が取り入れられ、シャネルを象徴するデザインとして知られています。
マトラッセ誕生の歴史
マトラッセの原点は、1955年にココ・シャネルが発表した「2.55」です。2.55は当時主流だったハンドバッグに代わり、両手を自由に使えるショルダーバッグとしてチェーンストラップが採用されました。これは当時の女性のライフスタイルを変える、革新的なデザインだったといわれています。
その後、1983年にクリエイティブディレクターに就任したカール・ラガーフェルドがデザインを再解釈。「シャネルのマトラッセ」と聞いて多くの人がイメージする、金具にココマークをあしらったクラシック・フラップバッグが登場しました。2.55の精神を受け継ぎながら進化したクラシック・フラップバッグは、シャネルを象徴する永遠の定番として現在も支持されています。
シャネル(CHANEL)のマトラッセが価格高騰している背景
マトラッセは長年にわたり高い人気を誇っていますが、近年では定価・中古価格ともに上昇しています。その主な要因を解説します。
製品の価格改定
マトラッセが価格高騰している最も大きな理由として挙げられるのは、シャネルによる定価の改定です。シャネルは2020年代に入ってから現在まで、価格改定を何度か実施しています。国によって価格が異なると転売に利用されるおそれがあるため、ブランド戦略の一つとして世界的に価格が統一されているといわれています。
円安と輸入コストの上昇
為替変動も、マトラッセの価格を押し上げる要因と考えられます。ユーロ高・円安が進行したことで、輸入コストや仕入れ価格は上昇。ブランドは、差額を販売価格に反映せざるを得ない状況です。2024年以降も為替が不安定な状況が続いているため、国内正規価格は欧州より高いケースも見られます。為替と国際物流の影響を受けやすい高級ブランドほど、価格変動が顕著に表れているといえるでしょう。
世界的な需要の拡大
世界的なラグジュアリーブームも価格上昇に影響しています。近年では、投資目的で高級バッグを購入する層が増加傾向にあります。欧米や中国を中心にマトラッセの需要が高まり、日本にも波及しました。世界規模での人気拡大によって希少性が上がり、価格が高騰しているとも考えられます。

