アール・ブリュット展が目指すものと、理事長の思い

今回の展覧会について、藤倉学園 理事長の小田康之氏は、まずアール・ブリュットという表現そのものに興味を持ってもらいたいと語っています。専門的な美術教育を受けていない作り手による作品には、既存の評価軸とは異なる魅力があり、そこに知的障がいのある方々が活躍できる場が広がっているといいます。
作品は、決められた枠に収まることなく、自由に、そして無心に描かれています。そうした表現の中には、技術や完成度とは別の価値があり、作り手一人ひとりが持つ感性や想像力の豊かさが、そのまま形となって表れています。小田氏は、そうした作品の持つユニークさや可能性を、来場者に素直に楽しんでほしいと考えています。
また、この展覧会は一度きりの発表の場として位置づけられているわけではありません。各地で知的障がい者施設による作品展が行われている中で、藤倉学園としても、アール・ブリュットという芸術の一分野に継続的に向き合っていく姿勢を大切にしています。表現活動に挑戦し続けること自体が、利用者にとって新たな経験や広がりにつながると考えられています。 作品制作は、単に展示のために行われているものではなく、利用者一人ひとりの生活の充実にも結びついています。自由に表現する時間を持つことで、日々の暮らしに張り合いや楽しさが生まれ、それが積み重なっていくことが重要だと小田氏は捉えています。
本展覧会は、作品を見るだけでなく、そうした取り組みの継続そのものに目を向ける機会でもあると言えそうです。
展覧会としての見どころと開催情報

「大島藤倉学園 アール・ブリュット展」は、2026年1月2日から笠間日動美術館で開催されます。展示は前期・後期に分かれており、それぞれ異なる構成で作品が紹介される予定です。 会場となる企画展示館では、利用者による平面作品や立体作品を中心に、日常の中で生まれた多様な表現に触れることができます。制作に使われている素材や表現方法もさまざまで、作品一つひとつから異なる背景や個性が感じられます。

現在、美術館では開催に向けた展示準備が進められており、作品が並ぶ空間づくりも丁寧に行われています。展示作品だけでなく、会場全体の構成を通して、作品と向き合う時間を落ち着いて過ごせるよう配慮されている点も特徴です。
また、会期中は他の企画展も同時開催されており、美術館全体として幅広い鑑賞体験ができる点も魅力のひとつです。アール・ブリュットという表現に初めて触れる人にとっても、身近な素材や素直な表現を通じて、構えずに作品と向き合える展示となっています。
完成された作品を見るだけでなく、その背景にある制作の時間や考え方を知ることで、展覧会はより身近なものとして感じられます。
表現が日常の延長にあることを感じながら、ゆっくりと作品に向き合う時間を過ごしに、会場を訪れてみてはいかがでしょうか。
社会福祉法人藤倉学園 概要
社会福祉法人 藤倉学園は、1907年に日本で四番目の知的障がい児童施設として創立された福祉法人です。現在は、障がいのある方を対象とした支援施設やグループホーム事業を中心に運営しています。1958年には東京都八王子市に多摩藤倉学園を設置し、入所支援や生活介護など幅広い福祉事業を展開しています。
URL:https://www.fujikuragakuen.or.jp
