
本作は、神秘の星パンドラを愛する先住民のナヴィと、侵略を狙う人類の戦いを描いてきた「アバター」シリーズの最新作。パンドラへ“アバター”として潜入した元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)はナヴィのネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と恋に落ち、人類と戦う決意をする。2作目『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(22)では家族を持ったジェイクらが海へと戦いの場を移し、愛する者のために人類と対峙。侵略を退けることに成功するが、家族の命を奪われるという大きすぎる犠牲を伴った。そして最新作では、同じナヴィでありながらパンドラを憎むアッシュ族のヴァラン(ウーナ・チャップリン)が人類と手を組み襲来。パンドラの知られざる真実が明らかになる時、かつてない衝撃の“炎の決戦”が始まる。
このたび解禁されたのは、俳優の演技をそのまま生かすパフォーマンスキャプチャの技術に迫った特別映像。キャメロンが本作の制作過程でこだわったのが、俳優たちによる生身の感情豊かな演技と、パフォーマンスキャプチャ技術を組み合わせること。パフォーマンスキャプチャとは、俳優たちの身体の動きだけでなく、表情や指先の細かな動きなどをデジタルデータとして記録する技術だ。
特別映像には、パフォーマンスキャプチャを用いた撮影の様子や、これまで公開されてこなかった最新作の制作の裏側、そして監督や俳優たちの熱き思いが映しだされていく。パフォーマンスキャプチャ技術について、キャメロンは「俳優たちがなにをしているのか、彼らがどれだけ献身的に情熱を注いでいるのか、実写作品と同じくらい心血を注いで役作りしている姿を、観客に観せなきゃいけないと思った。主張したいのは、これは最も純粋な形の映画演技であり、演技そのものの最も純粋な形態だということだ」と熱弁。AIに頼ることなく、人間が持つ想像力こそが創造の源だと強調する。
そんなキャメロンのこだわりを反映した撮影現場について、主人公ジェイクの養子である14歳の少女キリを演じているシガーニー・ウィーバーは「スーツを着ることで、登場人物そのものになれて、物語に深く入り込むことができます。だから身を委ねるだけで、シーンが一人でに動きだすんです。こんなに制限なく演技ができる環境は初めて。ご褒美みたいです」と役に没入して演じられたと振り返る。
また、ジェイクたちに襲いかかるアッシュ族のヴァランを演じるチャップリンは「演劇学校を思いだしました。イスと自分しかいない空間であらゆるものを表現する。自由に全身で演技できて本当に楽しかった」とコメント。さらにジェイクの妻ネイティリを演じるサルダナは「これまでにない教育を受けている感覚です。『アバター』の一員となり、最新技術のなかで演じることで、演技、演劇、芸術について学び直しています」と語る。彼女たちの“本物の演技”が物語にとっての血肉となり、説得力と感動をもたらしている。
最後に、シガーニーからは「俳優全員に経験してほしいです。本当に自由に演技できる。監督が登場人物たちを愛し、俳優の味方でいてくれる。こんなに創造性を解放できる環境はほかにはありません」と明かし、唯一無二の作品を追求することに情熱と心血を注ぐキャメロンへの賛辞を贈った。
最新鋭の技術でキャスト陣の演技を作品に取り込んだ本作。スクリーンを通して実力派俳優たちの熱演を堪能してほしい。
文/スズキヒロシ
