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<機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ>嘘と真実を見抜くミステリアスな美少女ギギ・アンダルシアは女神か魔女か、その人物像に迫る

<機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ>嘘と真実を見抜くミステリアスな美少女ギギ・アンダルシアは女神か魔女か、その人物像に迫る

「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のヒロイン、ギギ・アンダルシア
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」のヒロイン、ギギ・アンダルシア / (C)創通・サンライズ

2026年1月30日(金)に第2章「キルケーの魔女」の公開を控える映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」。重厚な政治劇と人間ドラマ、圧倒的な映像美を放った本作だが、それらと同じくらい、あるいはそれ以上に強烈なインパクトを残した存在がヒロイン、ギギ・アンダルシアだ。男たちを惑わす妖艶さと少女のような無邪気さ。主人公ハサウェイ・ノアと、相対する地球連邦軍ケネス・スレッグ大佐の間で揺らめく彼女は、単なる守られるべきヒロインではない。これまでのガンダムシリーズのどのヒロインとも異なる彼女の魅力、人物像を振り返ってみる。

■全てを見透かす鋭い直感と、大人の男を翻弄する魔性

第1章物語の冒頭、地球へ向かうシャトルの機内で、ギギは唐突に、そして鮮烈に登場する。銃を所持するハイジャック犯に対して全く物怖じせず、むしろその状況を楽しむかのような大胆さを見せる。何より視聴者を、そして主人公ハサウェイを驚愕させたのは、彼女の鋭すぎる洞察力だ。

ギギは植物監察官を名乗るハサウェイの正体が、反地球連邦政府運動のリーダー、マフティー・ナビーユ・エリンであることを見抜いてしまう。論理的な推理というよりは、動物的な、あるいはニュータイプ的な直感で真実を言い当てるその姿は、ハサウェイにとって危険でありながら、抗いがたい魅力として映る。

ギギの言葉には嘘がない。その上で自分の美しさを自覚し、それを武器にすることに躊躇がない。それでいて、ふとした瞬間に見せる孤独や脆さは、そばにいる者の庇護欲をかき立てる。嘘と真実、大人と子ども、強さと脆さが同居するアンバランスな不可解さこそが、ギギという女性の魅力であり、本作のサスペンスを加速させる重要なファクターとなっているように感じる。
 ギギ・アンダルシア
ギギ・アンダルシア / (C)創通・サンライズ


■ハサウェイがイメージを重ねたクェスとの決定的な違い

ガンダムシリーズ、特に宇宙世紀作品において、ヒロインは常に主人公の精神的成長や運命に深く関わってきた。「機動戦士ガンダム」のララァ・スンは、アムロ・レイにとって“永遠の女性”であり、母性を感じさせる導き手であった。また、「機動戦士Zガンダム」のフォウ・ムラサメなどは、戦争の悲劇を象徴する強化人間として描かれた。

では、ギギはどうか。彼女はララァのような母性で男を包み込むわけでもなければ、悲劇のヒロインとして涙を流すだけでもない。ここで比較対象として最も重要なのが、「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」に登場したクェス・パラヤだ。少年時代のハサウェイが恋した少女であり、自らの手で救えなかったトラウマの象徴でもある。ギギの突飛な言動や、わがままで男を振り回す姿、鋭い直感に、ハサウェイは亡きクェスの面影を重ねる。

しかし、ギギとクェスは似て非なる存在のように感じる。クェスは父性を求め、居場所を探して戦場を彷徨う少女だったが、ギギはもっとしたたかで、自立した精神を持っている。彼女は誰かに救われることは求めておらず、自分の足で現実社会を泳ぎ回っている。クェスが子どものまま暴走したのに対し、ギギは大人の世界を冷徹に見つめる子どものような不気味さを秘めているのだ。

物語を観ていると、ハサウェイがギギにクェスを重ねて感傷に浸ろうとすると、彼女はそれを拒絶するようなリアリズムを突きつける。彼女はクェスの代わりにはならない。ハサウェイもそれを自覚しているからこそ、惹きつけられる自分に苦悩している様がうかがえる。
 ギギ・アンダルシア
ギギ・アンダルシア / (C)創通・サンライズ


■ギギは勝利の「女神」か、破滅を招く「魔女」か

劇中、ギギはしばしば「勝利の女神」や「幸運の女神」として扱われる。実際、彼女が身近にいることで、ケネスは状況が好転すると考えるようになる。しかしその幸運は、あくまで彼女自身のものである。それに加えて、ギギは特定のイデオロギーを持たない。マフティーの思想に賛同するわけでも、連邦政府を支持するわけでもない。だからこそハサウェイとケネスの間で揺らめき、二人の目を惑わしている。

「機動戦士Vガンダム」のカテジナ・ルースのように明確な悪意を持って敵対するわけではないが、彼女の存在そのものが男たちの判断を鈍らせ、狂わせる。その意味で、ギギはギリシャ神話に登場する魔女キルケーのごとく、男を惑わすファム・ファタール(運命の女)としての側面を色濃く持っていると言えるだろう。

物語が進むにつれ、ギギはハサウェイの運命を決定づける重要な鍵となっていく。「閃光のハサウェイ」において、彼女は最後まで女神であり続けるのか、それともハサウェイを地獄へ誘う魔女となるのか。ハサウェイ・ノアの視点だけでなく、ギギ・アンダルシアという一人の女性の生き様に注目することで、この物語により深くのめり込んでいくはずだ。

◆文=鈴木康道


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