2024年のMotoGP王者であるホルヘ・マルティンは、今季アプリリアに移籍したが、開幕前や復帰直後の怪我で苦しんだ。結果として決勝レース完走はわずか4戦。最高リザルトは4位だった。
しかし彼は、もし自分が2025年もドゥカティのバイクでレースをしていたら、圧倒的な強さで今季のチャンピオンを獲得したマルク・マルケス(ドゥカティ)と戦うことが出来たかもしれないと考えている。
昨年、ファクトリーチームのフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)を下してチャンピオンに輝いたマルティン。ドゥカティ陣営を離れてアプリリアに移籍し、チームを引っ張る立場だったが、2月のセパンでのプレシーズンテスト初日に足と手を骨折し、最初の挫折を味わった。
タイでのシーズン開幕戦に回復を間に合わせ、準備が整ったかと思われた矢先、スーパーモタードバイクを使ったフィジカルテスト中に再び負傷した。 シーズン最初の3レースを欠場した後、カタールでようやく復帰したが転倒し、後ろを走っていた他のライダーと接触してしまった。
3度目の怪我は肋骨を骨折し、気胸を発症する重傷で、7戦を欠場。シーズン前半が終わった7月末のチェコGPでようやく復帰した。
その後5戦に連続出場した後、日本GPのスプリントレーススタート直後のクラッシュでまたも負傷。今度は鎖骨を骨折し、復帰はシーズン最終戦のバレンシアGPとなった。
万全の状態ではないマルティンは、再終戦後に行なわれるポストシーズンテストに向けて体力を温存すべく、レースを自らリタイアした。
MotoGPで5本の指に入るライダーだという自負
日本GP直前のミサノで、Motorsport.comはマルティンにインタビューを行なうことができた。話題のひとつは、世界のトップに君臨していた彼が、メディアの注目から消え、ほとんど話題に上らなくなったことで、自分のエゴがどうなっているか、ということだった。
「全く影響はないよ。常に注目を浴びているような気分だ。エル・オルミゲロ(スペインの人気テレビ番組)のインタビューでも、アプリリアの話でも、怪我をしても、復帰した時でもね」
「マルク(マルケス)、ファビオ(クアルタラロ)、ペッコ(バニャイヤ)、ペドロ(アコスタ)と共に、自分はベンチマークとなるライダーのひとりだと感じている。僕たち5人は常にそこにいるライダーなんだ」
「これからもずっとそこにい続けたいと思っている。でも、それはエゴからではない。人々が僕のことを話そうが話すまいが、気にしない。でも、そう感じている。僕たち5人が、いわば先鋒なんだ」
ドゥカティは2024年6月にマルケスをファクトリーチームに迎え入れた際、マルティンにプラマックに残留し、マルケスと全く同じマシンで参戦するチャンスを与えた。しかしマルティンはこれを断り、アプリリアに移籍した。
もし彼がドゥカティに残っていたら……そう考えても結論は出ないが、シーズンの展開が違っていた可能性もある。
もし2025年にプラマックでファクトリー仕様のドゥカティを駆ってレースをしていたら、マルケス兄弟とタイトルを争えただろうかと問われると、彼はこう答えた。
「それは分からない。でも、アレックス・マルケスのシーズンや、今年のレースタイムを2024年と比較すると、戦えたと思う」
「もちろん100%の力を出し切っただろうし、100%の力があれば戦うには十分だったと思う。マルクに勝てたと言っているわけではない。今それを予測するのは不可能だから。もしかしたら、時間が経てば分かるかもしれない。マルクが今年成し遂げたことは、とんでもないことだからね」
「でも、自分は強いと思っているし、同じバイクをもう1年乗り続けて、もっと経験を積んでいたら、間違いなく戦えたと思う。でも、それは分からないよ」
マルク・マルケスの言葉の重み
マルケスは今年、サーキットではほぼ無敵だった。ソーシャルメディアでも最大のフォロワーを抱えている。マルティンの強気な発言に、多くのファンが反応を見せるだろう。
「ソーシャルメディアについては、他のライダーのアカウントをあまり見ないので、よく分からない」とマルティンは言った。
「実際、投稿を見たくないので、多くのアカウントをミュートしている」
「マルクはサーキット上ではより手強いライバルだ。彼は競争心の強い野獣で、たとえクラッシュしてチャンピオンシップを失うリスクを冒しても、常に相手を倒そうし、常にレースに勝とうとする」
「メディアの観点から見ると、マルクの発言には常に大きな影響力と説得力がある。彼をサポートする多くの支持者が後ろ盾となっている。しかしソーシャルメディアでの影響力以上に、記者会見での彼の発言が相手に与える影響力が重要だ。最強のマルクと対峙するには、万全の準備が不可欠だ」
「でも、最高のマルクが僕をもっと良いライダーにしてくれるということも言っておく。彼がもっと良くなれば、僕ももっと良くならなきゃいけない。彼の足跡を辿り、彼から学ぶことになるから。だから、将来一緒に戦えるといいなと思っている」
マルティンは、今年の不運はバイクの先頭に書かれたカーナンバー「1」のせいではないと確信しており、再びタイトルを獲得できると自信を持っている。
「またカーナンバー1をつけるよ。遅かれ早かれ、また着けることになるだろう」

