
北条司原作の伝説的アニメ「キャッツ・アイ」の新シリーズが9月26日(金)からディズニープラスのスターで全世界に独占配信される。同作は、1981年から1984年の間に「週刊少年ジャンプ」で連載されていた、世界中で人気を誇る同名漫画を原作とした完全新作アニメ。昼は喫茶店を営み、夜は美術品を盗む怪盗・キャッツアイとして2つの顔を持つ美人三姉妹・来生瞳(CV:小松未可子)、泪(CV:小清水亜美)、愛(CV:花守ゆみり)の華麗なる盗みのシーンやアクション、怪盗と刑事の恋など、原作に忠実に描きながらも現代版にアップデートされている。
そんな今作で、杏里の名曲をカバーしたエンディングテーマ「CAT'S EYE」とオープニングテーマ「MAGIC」(作詞・作曲・編曲:ツミキ)を担当する歌い手のAdoにリモートインタビューを実施。普段から1980年代ポップスをよく聴いているというAdoに、今作のカバーをする上で原曲との違いを出す工夫や苦労した点を聞いた。また、「CAT'S EYE」の歌詞にちなんで“ミステリアスガール”だと思う人を聞いてみると、同じ事務所に所属する“表現者”平手友梨奈の名前が挙がった。
■杏里の名曲カバーに「非常に光栄なこと」
――今回、杏里さんの名曲「CAT'S EYE」をカバーするということに対してどんな思いがありましたか?
非常に光栄なことですし、緊張感もありました。「CAT'S EYE」という作品は私が生まれる前からずっと愛されている名曲。自分らしさを取り入れつつ、いかに杏里さんの歌声にリスペクトをもった歌い方ができるのか。そこは悩んだ部分でもあり、取り入れた部分でもあります。
杏里さんの歌声の中にもある力強さやスマートさのようなものを、自分らしくどう表現するか、というところはすごくこだわりました。
――原曲をリスペクトしつつ、自分なりの色を出していく中でどんなことに難しさを感じましたか?
杏里さんの音源を聴いたときに、「なんてシンプルなんだろう!」と思いました。私はシャウトやがなり声、ビブラートを強調した歌唱法ですが、杏里さんの歌声は自然にスッと入ってきて、ある意味私とは正反対でした。当時20歳頃にあの歌い方ができるなんてすごく大人っぽいと感じましたし、英語の発音も格好良くてあらためて衝撃を受けました。
杏里さんをリスペクトしつつ、力強さも感じられる大人っぽさをテーマにしたいと思っていたのですが、歌い方に迷ってしまったところもあって。ここはエッジが多過ぎるとか、ここは変に甘ったるいなとか、録り終えた後に違和感を覚えたところは自分の中で考えながらちょっとリテイクさせていただくこともありました。
――いろいろ試行錯誤しながらレコーディングした今回の「CAT'S EYE」はどんな曲に仕上がっていますか?
杏里さんへのリスペクトを自分なりに表現しながら、私の強みでもある力強い声、というのも取り入れられた楽曲に仕上がりました。原曲ファンの皆様、そして私のファンの皆様に新しい魅力を楽しんでいただけたらと思います。
■“心を盗んで離さない”ような推し
――オープニングテーマの「MAGIC」はオリジナル曲。以前もコラボしたことがある音楽家・ツミキさんによる書き下ろしですね。
ツミキさんは1リスナーとしてよく聴かせていただいているのですごくうれしかったです。今回の楽曲もツミキ節がすごい!「キャッツ・アイ」の要素として80年代のポップスを感じさせるような編曲で仕上げているところもありますし、容赦ないビートが次々に変わったり、歌としてもずっと言葉が止まらないような印象。何度も言いたくなるような言葉が並んでいるといいますか、フレーズごとにさまざまな「色」を込めてくださったんだろうな、というのが伝わる楽曲だなと思いました。
――「キャッツ・アイ」にちなんで、Adoさんの“心を盗んで離さない”ような推しや、ハマっているものはありますか?
結構多趣味で、いろいろなものに手を出しては日によって好きなものが変わったりするのですが...(笑)、1980年代のポップスを彩ったアーティストの皆様に今もすごく夢中になっているところはありますね。
――どんなところに魅力を感じていますか?
最近、早見優さんの音楽を聴いているのですが、今の音楽シーンと違って、やっぱり1980年代のポップスにしかない魅力があるなと思います。
たまに地上波で「昭和歌謡特集」のような番組で当時の映像が放送されることがあるのですが、そのときにアーティストの皆様の年齢がテロップで表示されて「えっ、まだ16歳なの?」とびっくりして。勝手に自分と比べて落ち込んだりしているんですよ(笑)。
――確かに皆さん大人っぽいですよね。
そうなんです! オーラが違うし貫禄もある。カッコいいな、かわいいなと思うところもたくさんあるので、そういう意味でも私の心を盗んで離さない方々ですね。

■今でも見返す作品は「響-HIBIKI-」
――Adoさんにとってターニングポイントになった作品や“出会い”はありますか?
私自身のターニングポイントといいますか、今でもよく見返す作品としては、平手友梨奈さんが主演をされていた映画「響-HIBIKI-」(2018年)。映画館で見たときに衝撃を受けました。演技が上手いというのはもちろんですが、響というキャラクター像に平手さんがものすごくガッチリハマっていて。
平手さんのオーラというものが作品の中に表れていて。映画を見返すたびに歌い手としてそういう表現者になりたいと思わされる作品。私自身、影響を受けているところがたくさんありますね。
――平手さんは同じ事務所に所属されていますね。また、「CAT'S EYE」の歌詞に“Mysterious girl(ミステリアスガール)”というフレーズが出てきますが、Adoさんはどんな女性にミステリアスな印象を抱きますか?
それこそ平手さんがそうかなと思っています。以前、音楽番組で私が「唱」を歌いながら平手さんと一緒にパフォーマンスする機会があって、そのときにいい意味でつかめないというか。本当に素敵な魅力をお持ちの方ですし、ものすごくストイックな方だなと感じました。
本番は「私も気合を入れて頑張るぞ!」とスイッチを入れてもらいました。平手さんにはミステリアスガールという言葉がぴったりな気がします。
――劇中の三姉妹にとっての「喫茶店」のように、世界を飛び回られているAdoさんにとってのホーム、もしくは1人で落ち着けるところはどんな場所ですか?
生まれも育ちも日本なので、日本に帰ってきたときが一番安心するというか、自分にとってのホームなのかなと思います。落ち着く場所って考えると、いつも海外から帰ってきたときに真っ先に行くお寿司屋さんがあって。
普通のチェーン店なのですが、「ただいま!」という気持ちになれて、やっぱり慣れ親しんだ味というのはものすごく大事なんだなと思わされますね。
◆文=小池貴之
※記事内「キャッツ・アイ」の『・』はハートマークが正式表記

