ナポリは現地12月22日、スーペルコッパ決勝でボローニャをダビド・ネーレスの2ゴールで勝利し、2014年以来3回目の優勝を飾った。
サウジアラビアのリヤドで行なわれたこの一戦で、ネーレスとともに前線で奮闘したのがCFラスムス・ホイルンドだ。マンチェスター・ユナイテッドからレンタルで加入したデンマーク代表FWの22歳は新天地での初タイトル獲得に喜び、SNSに「素晴らしい決断とはこういうものだ」と投稿。しかし、このひと言が大きな物議を醸した。
15位と屈辱的な順位に終わった昨季のプレミアリーグで4得点に終わったホイルンドは、FWブライアン・ムベウモ、マテウス・クーニャ、ベンヤミン・シェシュコの加入で序列が一気に低下。残留を望んだものの、買取義務付きレンタルでナポリ移籍を余儀なくされた。そうした経緯から、今回の投稿が古巣への当てつけだと受け止められたのだ。
当然のようにマンチェスター・Uのファンは怒り心頭だ。英スポーツ専門サイト『GiveMeSport』は、「クラブに嫌味を言う暇があったら、プレーに集中しろ」「子どもの頃からユナイテッド・ファンだと言っていたくせに」「チーム史上最悪のストライカーのひとり」といった怒号を紹介した。
同メディアは、ホイルンドの投稿について「まだユナイテッドの契約下にあり、去就が正式に確定する前に、クラブを挑発するのはリスクがあるように思える。古巣に一矢報いたが、かつてジェイドン・サンチョ(現アストン・ビラ)も、ユナイテッドからチェルシーへレンタル移籍した際に似たようなことをした。サンチョは新天地で好調なスタートを切ったものの、その後はいつものような低調なプレー。シーズン終了後に雇用主と気まずい再会を強いられた」と振り返った。
しかし一方で、マンチェスター・Uに対しても苦言を呈した。「ユナイテッドというメガクラブでプレーするプレッシャーが選手を圧し潰しているのか、それともクラブ自体が手持ちの才能を最大限に活かせないのか。ホイルンドの発言を批判するユナイテッドのサポーターは、同時に自分たちのクラブの欠点について考えるべきかもしれない」と指摘している。
「ホイルンド、アントニー(ベティス)、スコット・マクトミネイ(ナポリ)、サンチョはいずれも、ユナイテッド加入前に大きな可能性を示していたか、あるいはレッド・デビルズを去ってから名を揚げた。まるで『夢の劇場』が選手の自信を吸い取ってしまうかのようで、この現象が頻繁に起きている以上、もはや偶然として片づけることはできない」
このような事例は、今後も繰り返されるかもしれない。「現時点では、クーニャ、シェシュコ、マヌエル・ウガルテが、アモリム監督のチームに加わってから急激に失速した最新のケース」と具体名を挙げ、「必ずしも監督個人の問題ではない。13年のアレックス・ファーガソン監督の退任以降、クラブ首脳陣から指揮を託された7人の指揮官(暫定監督を除く)の誰ひとりとして、この“呪い”のように感じられる状況を打ち破ることができていない」と記載。かつてのプレミアリーグ盟主の深刻ぶりを強調した。
ちなみにナポリのアントニオ・コンテ監督は、「ホイルンドとマクトミネイは、ユナイテッドではほとんどプレーしていなかった。私がこれまで指導してきたすべての選手は、技術的にも、戦術的にも、精神的にも、必ず成長してきた」と語っており、これを報じたマンチェスターの地元紙『Manchester Evening News』は、「コンテは自チームのクオリティーを語るうえで、ホイルンドと足並みを揃える形でユナイテッドに皮肉を投げかけた」と綴った。
また同紙は、「ホイルンドの投稿に対して、ユナイテッドのリサンドロ・マルティネス、パトリック・ドルグ、チド・オビ、さらにアンドレ・オナナ(トラブゾンスポルにレンタル移籍中)らユナイテッド時代の元チームメイト数人が『いいね』を押し、ドルグとオビは祝福のコメントも記している」とも伝えた。
最後にホイルンドの今後について、「来夏に完全移籍に移行すると見られている。ナポリのチャンピオンズリーグ出場権の獲得など、いくつかの条件が満たされれば、デンマーク代表FWのイタリア滞在は恒久的なものになるだろう」と見通した。
構成●THE DIGEST編集部
【画像】物議を醸したナポリFWホイルンドの投稿
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