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「全部夢が叶っちゃった」格闘技とプロレスを地続きで生き切った川村亮、最後のリング

「全部夢が叶っちゃった」格闘技とプロレスを地続きで生き切った川村亮、最後のリング

里村明衣子、アメリカではジョン・シナ、年が明けて1月4日には棚橋弘至と、このところマット界は大物選手、名選手の“引退ラッシュ”のような状況にある。

 そんな中で、忘れてほしくない選手が川村亮だ。パンクラスでライトヘビー級とミドル級のベルトを巻き、ミドル級は2度戴冠。デビュー当時の快進撃は鮮烈な印象を残した。
  2010年から1年半ほど、パンクラスの社長を務めた時期も。パンクラスの変革期を支えた功労者でもあった。

 さらに近年はプロレスに進出。先輩である佐藤光留が主宰するUWF系ルールの『ハードヒット』などで活躍した。映画『ロッキー』があまりに好きすぎるため、リングネームをロッキー川村にしたこともある。富士通スタジアム川崎、旧川崎球場で鈴木みのると展開した破天荒な激闘も印象に残る。

 パンクラスがグローブ着用ルールになってからデビューした選手のため、総合格闘家というイメージが強い川村。しかし本人はプロレスが好きでパンクラスに入り、鈴木みのるのもとで“プロレス団体の新弟子”としての修行を積んだ。

『ハードヒット』では佐藤光留の右腕として力を発揮。時には損な役回りも。すべてを飲み込んで笑ってみせる川村は、それだけ深みと凄味を増した。

 佐藤主宰の『ハードヒット』第1戦では、メインで佐藤を失神させている。バンデージでガチガチに固めた掌底を思い切り顔面に打ち込んだのだ。『完廃』=完全廃業と題した引退興行(11月29日、新木場1stRING)で闘ったのも佐藤だった。

 U系ルールの『ハードヒット』では、打撃と関節技というシンプルな攻防が続く。だからこそ、実力がなければ勝てないし観客を魅了することもできない。川村と佐藤は緊張感に満ちた闘いで目を奪っていく。通常ルールのプロレスとは違う、といって“格闘技風”ということではない試合。今の日本ではこの2人にしかできないスタイルかもしれなかった。

 クライマックスは佐藤が仕掛けたアキレス腱固め。川村は足首を絞り上げられながら、叫び声とともに佐藤の顔面を張っていく。それを何度も繰り返す。お互いの意地の張り合い。同時にプロレスラー同士として、先輩後輩としての会話でもあったはずだ。とことんまでやり合って、最後は佐藤のヒールホールドで川村がギブアップした。「試合はずっと自分のためだけにしてきました。でも今日、最後の最後に、ここに来てくれたお客様、配信を見てくれたお客様、そしてリングで闘ってくれた人たちのために試合ができたと思います。最後の最後でしたが“プロレスラー”になれたのかなと思います」

 
 引退セレモニーで川村は言った。技だけでなく感情のやり取りを観客に伝える姿は、確かに“格闘家がやるプロレス”ではなかった。バックステージのコメントでは「悔いはないです」ときっぱり。

「もともとパンクラスに入門できると思ってなかったし、デビューできるとも思わなかった。全部夢が叶っちゃった」

 キャリアの中で印象に残る試合はと聞くと「さっきの試合です」と即答した。

「自分たちは格闘技とプロレスが地続きだった時代に生まれた最後の世代。“入門”という言葉があって、道場で新弟子としてやってきた。いい悪いの話ではないけど、それを乗り切ったことが自分の人生の証明になっている。試合でもそれを感じましたね」

 そう語ったのは佐藤光留。8月の大会で引退すると言い出した川村を引き止め、あらためてこの引退興行を用意したという。

 格闘家としての川村しか知らない人もいるだろう。逆にプロレスのリングでしか見たことがないファンも。川村亮というファイターはその両方を地続きとして闘い、自分だけのキャリアを生き切った。

 夢が全部叶ったから、第二の人生の目標がなかなか見つからないと川村は言った。

「最後にこういう舞台まで作ってもらって。こんな幸せ者いないですよ」

 川村亮は、その幸せに相応しい人間だ。それだけの闘いを見せてくれた。最後の舞台を見届けることができて、我々も幸せだった。

取材・文●橋本宗洋

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配信元: THE DIGEST

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