
毎日のように歩いていた散歩道が、ある日突然「宝の山」に変わる。
そんなおとぎ話のような出来事が、2013年の米国で現実に起きました。
愛犬と何気なく散歩をしていたカップルが、地面から顔を出した古い缶を見つけたところ、中から現れたのは金貨の山。
その価値は、推定でおよそ10億円以上。
夢のような発見は、なぜ誰にも気づかれず、長年地中に眠り続けていたのでしょうか。
目次
- 散歩道で始まった、現実離れした発見
- なぜ埋められ、なぜ見つからなかったのか
散歩道で始まった、現実離れした発見
この出来事が起きたのは、2013年の米国のカリフォルニア州北部です。
19世紀のゴールドラッシュ時代の名残が今も残るこの地域で、ジョンさんとメアリーさん(いずれも仮名)のカップルは、愛犬との散歩を日課にしていました。
ある日、いつも通る道で、地面から少しだけ突き出た古い缶に気づきます。
この土地では、19世紀の釘や弾丸、缶などが見つかることは珍しくありません。
2人も歴史が好きで、そうした遺物を掘り出すことに慣れていました。
棒を使って缶を掘り出してみると、予想以上に重かったといいます。
【発見された埋蔵金の画像がこちら】
当初は「鉛の塗料でも詰まっているのでは」と思いながらも、家まで持ち帰りました。
ふたをこじ開けた瞬間、土の中から姿を現したのは、1枚の金貨でした。
驚きと興奮の中で、2人は再び現場へ戻ります。
すると、同じような缶が次々と見つかりました。
金属探知機を使って周囲を調べた結果、最終的に8つの缶が発見され、中には1,400枚以上の金貨が収められていたのです。
なぜ埋められ、なぜ見つからなかったのか
発見された金貨は、通称「サドルリッジ・ホード」と呼ばれています。
希少硬貨の鑑定と取引を行うケイガンズによると、これは米国内で発見された金貨の埋蔵として史上最高額級とされています。
金貨の鋳造年は1860年代から1890年代まで幅があり、缶の劣化状態もそれぞれ異なっていました。
このことから、同じ人物、あるいは同じ家系が、長い年月をかけて少しずつ金貨を同じ場所に埋めていった可能性が指摘されています。
19世紀の北カリフォルニアでは、金を地中に埋める行為は珍しくありませんでした。
当時は銀行が遠く、長年かけて手に入れた金貨を自宅に置いておくことは盗難のリスクが高かったためです。
銀行に預けられない場合、地面に埋めることが最も現実的な「金庫」だったのです。
ただし、この埋蔵金には不可解な点もあります。
多くの金貨がほとんど流通した形跡のない、極めて良好な状態だったことです。
さらに、一部の金貨はゴールドラッシュとは直接関係の薄い地域で鋳造されていました。
結局のところ、誰が、なぜ、そしてなぜ回収しなかったのかは分かっていません。
埋蔵した人物が亡くなり、家族に場所を伝えられなかった可能性が高いと考えられていますが、確かな証拠は残されていないのです。
ジョンさんとメアリーさんは、金貨の大半を売却し、借金の返済や寄付に充てました。
一部の金貨は博物館に寄贈され、数枚は家族の家宝として手元に残されています。
また、2人は宝探し目的の侵入を避けるため、今も身元や正確な場所を公表していません。
この出来事が示しているのは、宝物は必ずしも冒険の果てにあるとは限らない、という事実です。
何年も歩いてきた散歩道の足元に、10億円相当の歴史が眠っていることもある。
そう考えると、次の散歩が、少しだけ違って見えてくるかもしれません。
参考文献
A couple walking their dog found $10 million worth of rare coins
https://www.popsci.com/science/saddle-ridge-hoard-history/
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

