レアル・マドリーが停滞している。その象徴の1つと言えるのが、ジュード・ベリンガムの適正ポジションを見つけられていない点にあるのは明白だ。
退団するカリム・ベンゼマと入れ替わる形で加入した1年目の2023-2024シーズン、彼は中盤ダイヤモンド型4-4-2のトップ下に君臨し、公式戦23ゴールという素晴らしい結果を残した。しかし昨シーズンも、今シーズンのここまでも、その輝きは鈍っている。1年目の活躍を受けて、適正ポジションは「ゴールに近い位置」というのが現地の一般的な評価になっている。しかし、2つの事実が、自由奔放にゴール前へ進入する動きを難しくしている。1つはエムバペの加入、そしてもう1つはホセルの退団だ。
当のホセルがスペイン紙『AS』のインタビューで鋭く指摘している。「今のマドリーには、相手のCBをピン留めできる9番タイプの選手が必要だ。俺がマドリーでプレーしていた頃、ベリンガムが決めた数多くのゴールを思い出してほしい。俺のCBを引きつける動きが役立っているはずだ。ベリンガムとはよくその話をしていた。彼は俺が作ったスペースを活用するのが本当に上手かった。彼はきっと俺のようなタイプの選手がいなくて寂しい思いをしているはずだ」
実際、フリージャーナリストのミゲル・キンターナ氏によれば、前述のベリンガムの23ゴールのうち、半分以上の12ゴールがホセルとの共演時に生まれているという。エムバペはポストプレーを好まない。そして結果的にベリンガムが進入すべきスペースを埋めてしまっている。
ホセルは、期待の9番候補である若手のゴンサロ・ガルシアを高く評価しつつ、メガクラブの厳しい現実も認識している。「ゴンサロは天性のフィニッシャーだ。ただ、マドリーはマドリーなんだ。エムバペは1シーズンに50ゴールを決める選手であり、彼をベンチに座らせておくわけにはいかない。そのために『9番』の役割が失われつつある。それは本当に残念だよ」 エムバペの加入は、皮肉にもベリンガムとの役割の重複を招いた。その一方でエムバペは、パス一本でDFラインを破るアルダ・ギュレルと良好なホットラインを築いている。エムバペが求めているのは、自らのスピードを起動させるパサータイプであるのは明白だ。
そのギュレルもまた、本来はより高い位置でこそ真価を発揮する選手だ。序盤戦に比べて存在感が低下しているのは、ポジションが重複するベリンガムの怪我からの復帰が影響しているとの声も少なくない。
シャビ・アロンソ監督は就任当初、ベリンガムを「より中盤の選手として見ている」と語り、効率の良いプレーを要求した。しかし、ゴールから離れた位置でのベリンガムは、相変わらず輝きを放てずにいる。前出のキンターナ氏はこう警鐘を鳴らす。
「シャビ・アロンソ監督が求めている効率の良いプレーとは、走る量を減らし、ボールタッチ数を減らし、動き回りすぎないプレーを意味するが、しかしその道筋は、ベリンガムの本来のフットボールスタイルを不自然なものにする恐れがある。そもそも、私たちはまだ彼がどのようなタイプの選手なのか、正確な答を見出せていない。指揮官の課題は、非常に複雑なパズルの中に、どのバージョンのベリンガムをはめ込むかを見つけ出すことにある」
ベリンガムは今年7月、慢性的な痛みに悩まされていた左肩を手術し、9月下旬に復帰。ここまで20試合に出場し、5得点4アシストと及第点の働きは見せている。しかし、期待値の高さゆえにファンやメディアの目は厳しい。重鎮ジャーナリストのサンティアゴ・セグロラ氏は、今の彼を「存在感が希薄な、瞬間の選手にとどまっている」と断じている。
規格外のスケールを持つベリンガムを、エムバペ中心のチームにどう適合させるか。シャビ・アロンソ監督の試行錯誤は続く。
文●下村正幸
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