アルピーヌのフランコ・コラピントはF1チームを実質的に率いるフラビオ・ブリアトーレの厳しいアプローチによって、F1キャリアの未来をかけて戦う中で成長に繋がったと語った。
コラピントは2024年シーズン後半からウイリアムズで代役参戦。2025年からアルピーヌ陣営にリザーブドライバーとして加入し、開幕から不振が続いたジャック・ドゥーハンに代わってエミリア・ロマーニャGPで再びF1グリッドに戻った。
ただアルピーヌは今年、マシンの全体的なパフォーマンスで苦慮。新レギュレーションがF1に導入される2026年に早くも開発をシフトしており、コース上での結果はまだ上向いていない。
そのような中で昨年からアルピーヌのエグゼクティブアドバイザーを務めるブリアトーレは、コラピントのパフォーマンスについて、「期待以下」と人目を憚らずに本音を吐露。22歳という若手を早々に起用した判断が誤りだったのではないかと自問した。
ブリアトーレはアルピーヌの前身にあたるベネトン/ルノーのチーム代表として、ミハエル・シューマッハーやフェルナンド・アロンソ(現在はアストンマーティン)と共にそれぞれ2度F1タイトルを獲得した敏腕。ただ同時に、2008年シンガポールGPでの“クラッシュゲート事件”など暗い過去も持ち合わせているため、その評判は賛否両論だ。
しかしアルピーヌのレギュラードライバーとして残留を目指すコラピントは、ブリアトーレの厳しい指摘について問題はないと考えている。むしろ”北風”が自身をより強くしてくれたと感じているようだ。
「フラビオとは非常に良い関係だ」
F1公式ポッドキャスト『Beyond the Grid』に登場したコラピントはそう語った。
「彼は誰に対しても手厳しい。チームを機能させ、みんなを奮い立たせる手腕は、時に少々厳しく、彼を知らない人には少しやり過ぎに感じられることもある」
「だけど僕は彼のことを心から信頼していて、このチームを前進させると確信している。チームを頂点へ導く存在だ。僕は今年、彼から多くを学んだ」
「彼は僕の精神を大きく鍛えてくれた。もちろん彼が与えてくれた機会にも感謝しているが、僕らが経験している彼の指導プロセス全体にも心から感謝している」
コラピントは今季、扱いが難しいアルピーヌA525に乗って以降、未だにポイントを獲得できていない。より経験豊富なチームメイトであるピエール・ガスリーもシーズンここまで計20ポイントと、アルピーヌはコンストラクターズランキング最下位に沈んでいる。シーズン末までに現状を脱却するのは極めて困難だと言える。
「結果を見れば『アルピーヌがここから抜け出すのは難しいだろう』と思うだろう。でも僕らが諦めていないのは確かだ」とコラピントは言う。
アルピーヌには依然として、リザーブドライバーであるポール・アーロンを起用する選択肢が残されている。アゼルバイジャンGP予選でのクラッシュはコラピントにとって好ましくないことだったが、直近4戦ではガスリーを上回る予選結果を残し、ハンガリーGPではQ2進出を果たした。
2026年はF1マシンのテクニカルレギュレーションが大きく変更され、アルピーヌはメルセデスのカスタマーパワーユニット供給を受けるため、チームの調子が上向くポテンシャルを秘めている。
コラピントとしては是が非でもこの来季シートを確保したいところだが、その可能性について尋ねられた際「分からないし、あまり気にしていない」と答え、こう続けた。
「今年はこの状態からさらに改善していきたい。学ぶべきことはまだ多く、発見すべきこともたくさんある」
「マシンやチームへの適応は進んでいる。もちろん、マシンが理想の状態ではなく、現時点でポイント獲得に十分ではないことは周知の事実だ」
「その(入賞できる)時は必ず来る。その時に備えたい。今の主眼はレースごと、その一瞬ごとに集中し、最終的な結果を見ることだ」

