
かつて人類の乱獲と外来動物によって絶滅したことで知られるドードー。
その近縁種が、いまなお地球上に生き残っていることをご存じでしょうか。
南太平洋の島国サモアで、ドードーの最も近い生き残りとされる絶滅危惧種「マヌメア」が、立て続けに目撃されたと報じられました。
すでに絶滅した可能性すら心配されていた鳥の再発見は、保全の現場に大きな希望をもたらしています。
目次
- 「もう見つからないかもしれない」調査で起きた奇跡
- なぜドードーの親戚は絶滅寸前まで追い込まれたのか
「もう見つからないかもしれない」調査で起きた奇跡
「マヌメア(学名:Didunculus strigirostris、和名:オオハシバト)」は、サモアにのみ生息する地上性のハトの仲間です。
見た目や進化的な位置づけから「ドードーに最も近い現生種」と呼ばれており、学名は「小さなドードー」を意味します。
今年10月から11月にかけて、サモア自然保護協会が人里離れた熱帯雨林で行った調査で、マヌメアは合計5回も目撃されました。
これまでの調査では、確認できても1回あるかないかという状況だったため、これは極めて異例の成果です。
野生のマヌメアが最後に撮影されたのは2013年で、それ以降は「すでに絶滅しているのではないか」という不安すら広がっていました。
実際、調査チームの間でも「生きた個体が見つからなければ、それが絶滅を意味するのではないか」という緊張感があったといいます。
それだけに、双眼鏡の先にマヌメアの姿を捉えた瞬間は、研究者にとって忘れがたい出来事でした。
ただし、発見は容易ではありませんでした。
マヌメアは非常に警戒心が強く、突然現れてはすぐに姿を消します。
双眼鏡では確認できても、カメラを構えた瞬間にはいなくなってしまうことがほとんどだったそうです。
なぜドードーの親戚は絶滅寸前まで追い込まれたのか
1990年代初頭、マヌメアは約7000羽生息していたと推定されています。
しかし現在、その数は50〜150羽程度まで激減しました。原因は、生息地の破壊、過去の狩猟、そして外来種の影響です。
狩猟は現在では法律で禁止されていますが、最大の脅威となっているのが野生化したネコやネズミです。
ネコは成鳥やヒナを捕食し、ネズミは卵やヒナを食べてしまいます。
ドードーがたどった絶滅の道と、驚くほど似た状況が、マヌメアの身にも起きているのです。
保全関係者は、外来種の管理こそが生存の鍵だと指摘しています。
すでに一部の森林では対策が進められており、資金が確保できれば、今回マヌメアが確認された地域にも取り組みを広げたいとしています。
さらに、将来に向けた動きも始まっています。
もし個体を安全に確保できれば、生体サンプルを保存し、遺伝情報を詳しく調べることが可能になります。
これにより、飼育下繁殖など、個体数回復の選択肢が現実的に検討できるようになります。
今回の目撃は、マヌメアがまだ確かに生きていることを示しました。
しかし同時に、時間がほとんど残されていないことも浮き彫りにしています。
絶滅したドードーは、二度と戻りません。しかし、その最も近い親戚は、いまなお森の奥で静かに生き延びています。
派手な技術や奇抜な計画よりも、捕食者の管理や生息地の回復といった地道な保全こそが、この鳥を救う現実的な道です。
マヌメアが「最後の目撃例」ではなく、「復活への第一歩」として記録されるかどうかは、これからの行動にかかっています。
参考文献
Last of its kind dodo relative spotted in a remote Samoan rainforest
https://www.livescience.com/animals/birds/last-living-member-of-little-dodo-genus-spotted-in-a-remote-samoan-rainforest
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

