●世界初の量産型ポータブル電源を開発
事前に家のコンセントから充電したり、ソーラーパネルや車のシガーソケットなどから充電したりすることで、電気設備のない場所でも電気を使えるようにする製品がポータブル電源である。
キャンプや車中泊などのレジャーで使用されることが多いが、近年は頻発する災害に対する電力確保の観点から防災対策アイテムとして需要が増加している。
このポータブル電源で、この1~2年ほど新製品の発売や各種イベントへの出展、被災地への製品提供などアクティブな動きを見せているのが、BLUETTI。社名の正しい読み方はブルーティで、BLUE skyとTomorrow、Technology、Innovationの頭文字が由来だ。
BLUETTIは2009年にバッテリーメーカーの研究部門として中国・深センでスタート。当時はバッテリーの電流変換や安定化など、現在のポータブル電源につながる研究を行っており、その開発力や技術力で生み出した製品をOEMやODMとして他社に納めていたという。
2011年の東日本大震災をきっかけとして、多くの人々の電力確保に役立つ製品の開発に着手。2012年にポータブル電源の基となる蓄電池を開発した。しかし、製品運搬が困難なほど大きく重かった。そこで必要な時に携帯できるハンディータイプの開発を進め、2015年に世界初の量産型ポータブル電源の製品化に成功した。
さらに現在では主流となっているリン酸鉄リチウムイオン電池や本体の防水防塵設計などの採用もBLUETTIが世界初とのことである。
BLUETTIの日本法人であるBLUETTI JAPANが設立されたのは2021年で、ここから日本市場での販売活動が始まった。同社の川村卓正COOは「日本でBLUETTIは後発メーカーというイメージがありますが、それは長年メインの事業がOEMやODMで、自社ブランドを前面に出すようになったのが他社よりも遅かったためです」と話す。
創業から16年経った現在、BLUETTIは700以上の特許を取得し、その製品は約110以上の国・地域で販売されている。また、中国とインドネシアの2箇所に直営の自社工場を持ち、研究から開発、製品づくり、テスト、出荷までを自社工場で行っており、「ポータブル電源業界で直営の工場を持っているのは非常に珍しいといわれています」と川村氏は語る。
●BLUETTI製品を支える4つの技術の柱
BLUETTIは『より良い明日へ、エネルギーの力』をスローガンとして、社名にも採用されているTechnologyやInnovationによって、すべての人に役立つ未来を築くことを目指している。特に技術に関してはBLUE PEAKとBLUE LINK、BLUE GRID、BLUE LIFEと呼ぶ4つの技術の柱がある。
4つの柱を簡潔に紹介しよう。BLUE PEAKはバッテリーそのものの充電・蓄電のコア技術。ここには大出力でも安定して出力できる設計や回路技術、高速充電と静音技術、長寿命の電池技術、過酷な環境下でも安心して使用できる技術の4つが含まれている。
BLUE PEAKがハードウェア技術であるのに対して、BLUE LINKはソフトウェア技術。「ハードウェアを円滑に動作させるにあたって、安全性を確保するための技術です」という。このBLUE LINKの中にはAI技術も含まれており、ハードウェアを動かす頭脳にあたる。
BLUE GRIDのGRIDとは電気を送る仕組みのことで、BLUE GRIDはポータブル電源から接続した機器へ電力を送るための技術を意味する。電力の管理や停電時にすぐ接続機器に電力を送る技術などが含まれている。
BLUE LIFEは製品の実使用時における技術を指す。耐水性や防塵性、静音性、耐熱性、コンパクト性などを支えるための技術だ。
前述の川村氏は、「このようないくつもの技術を製品に採用できるのは、自社工場を持っているからです」と話す。
ポータブル電源の製品づくりでは、ある程度の部分を委託先の工場に依頼して製品として仕上げるのが一般的という。だが、前述のとおりBLUETTIでは自社工場による一貫した開発・生産体制のため、確立した技術がスムーズかつ確実に製品へ導入されるというわけだ。

