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【恐怖の楽園実験】飢えも天敵もない閉じた楽園で暮らすと生物はどうなるのか?

【恐怖の楽園実験】飢えも天敵もない閉じた楽園で暮らすと生物はどうなるのか?

Credit: ja.wikipedia

飢え、病気、戦争、災害…

この地球上で人類が何不自由なく暮らしていくには、あまりにも困難なことが多く存在します。

「みんなが何の苦労もなく生きられる世界になればなぁ〜」と夢見たことがあるかもしれません。

実は過去にマウスを使ってこの夢を実現させた研究者がいます。

研究者の名は「カルフーン」、その実験名は「ユニバース25」、通称「楽園実験」と呼ばれています。

ここでマウスは飢えや病気、天敵など、あらゆる脅威を排除した楽園に置かれました。

しかしこの楽園実験は恐ろしい結末を迎えるのです。

これからお話しする物語は、私たち人類の過去、現在、そして未来を映し出すものかもしれません。

目次

  • 飢えも病気も天敵もいない「楽園実験」の始まり
  • 群れが誕生し、マウス同士の争いが勃発!
  • 楽園が地獄に変わる「終末期」へ

飢えも病気も天敵もいない「楽園実験」の始まり

「楽園実験」が行われたのは1968年のこと。

60年代前半、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)は、同国東部メリーランド州プールズビル近郊で農地を手に入れました。

この土地に建てられた施設で研究プロジェクトを率いていたのが、動物行動学者のジョン・B・カルフーン(1917〜1995)です。

1940年代から1950年代にかけて、カルフーンはネズミの行動観察の中で、特定のエリアでネズミが繁殖しすぎて過密状態が生じると、マウスに異常行動や個体間の攻撃増加などが起きることを発見します。

そしてカルフーンはこの現象が、当時世界的に進んでいた都市化で起こる諸問題と類似する可能性を考えました。

都市では、物資の流通が充実し、農村部と比べて非常に安定した暮らしができます。一方で、都市は人口密度がどんどん高まっていくことで、社会的なストレスが高まっていくことが指摘されていました。

そこでカルフーンは「限定された空間に一切の脅威がない楽園を作りそこで生活させたら、その生物はどうなるんだろう?」と考え、1968年の7月9日にマウスを用いた楽園実験を開始しました。

カルフーン博士/ Credit: ja.wikipedia

カルフーンの前提によると、生物が生きる上での脅威は主に5つにまとめられています。

その1:住む場所を失うこと

その2:食糧不足に陥ること

その3:異常気象や悪天候に晒されること

その4:細菌やウイルスなどの病気にかかること

その5:自分を食べたり殺そうとする天敵がいること

これらはすべて、高度な文明を築いた私たち人間にもそのまま当てはまりますね。

そこでカルフーンはこの5つの脅威を完全に排除したマウスのパラダイス空間を作りました。

具体的には、縦横2.7メートルの四辺を高さ1.4メートルの壁で囲い、その中に16個の巣穴と256個の居住エリアを設置。

水や食料は壁伝いで無制限に得られるようにし、衛生状態にも入念に注意して、エアコン等で常に快適な気温を保ちました。

もちろんマウスを襲う天敵もおらず、カルフーンの見積もりによると、最大3000匹のマウスが無理なく暮らせる環境でした。

楽園実験のセットとカルフーン/ Credit: ja.wikipedia

楽園が整ったら、いよいよ実験開始です。

最初はオスメス4匹ずつ、計8匹のマウスを楽園に投入しました。

実験に使用されたマウスたちの寿命は約800日です。マウスにとって10日が人間の1年ほどに感じられるため、この歳月は人間に換算するなら80年くらいです。

楽園に放たれたマウスは当初、見ず知らずの慣れない環境にかなりの戸惑いを見せました。

しかし水や食料はいつでも好きなだけ手に入るし、天敵もいない、いつも快適な気温が続くことがわかると、全員がのびのびと暮らし始めます。

だだっ広い楽園の中で、各々が好きな巣穴や居住エリアを棲み家とし、みんなが何不自由なく平等かつ快適に生活するようになりました。

そうして実験開始から104日目、ついにオスとメスのつがいから最初の子供「楽園ベイビー」が生まれます。

カルフーンは、マウスが楽園生活に慣れてから最初の子供が生まれるまでの期間を「フェーズ1:適応期」と呼びました。

ここからマウスは勢いよく数を増やしていくのですが、徐々に暗雲が立ち込め始めるのです。

群れが誕生し、マウス同士の争いが勃発!

フェーズ1の後、楽園のマウスの数はそれこそネズミ算式に爆増し続けました。

最初の楽園ペイビーが生まれてから平均55日ごとに個体数が倍増していったのです。

20匹だったものが40匹、40匹だったものが80匹、80匹が160匹、320匹、620匹となっていきました。

この時点では、大人マウスの数に対して子供マウスの方が3倍以上多い割合となっています。

そして数が増えた楽園では次第に「マウスの群れ」がいくつも形成され始めました。

特定のスペースでマウスが集団を作り、同じ生活リズムで暮らすようになったのです。

その規模は群れごとに異なっており、10匹ちょっとしかいない小さな群れもあれば、100匹以上の大所帯もありました。

これはカルフーンに言わせると「マウスの社会が形成された」ことを意味しています。

マウス同士で群れを形成/ Credit: canva

ただ社会が形成されたということは、次に起こる展開も想像できますよね?

そう、集団内での地位争いや別の群れ同士での縄張り争いが勃発し始めたのです。

当然ながら、この仁義なき戦いに勝つマウスもいれば、負けるマウスも出てきます。

そうして今までみんなが平等であったはずの楽園に「カースト(階級)」が生じたのです。

まず、オスのカーストは主にA〜Eの5つのランクに分類できました。

一番最上のAランクは、最強の戦闘力と最高の地位を獲得した「アルファタイプ」です。

アルファオスはその圧倒的なオーラからか、他のオスとの喧嘩もあまりせず、どっしりと構えています。

しかしBランクの「ノーマルタイプ」はアルファよりも喧嘩っ早く、仲間とも外敵ともガンガン喧嘩をしていました。

戦いの数が多いほど負けることもあるため、ノーマルオスの地位は割と不安定な状態にあります。

3番目のCランクは「日和見タイプ」で、性格が非常に穏やかであり、戦いにはほとんど参加せず、他のマウスから攻撃されても反撃はしませんでした。

4番目のDランクは「ストーカータイプ」で、日和見タイプと同じく穏やかではありますが、気になる相手はしつこく追い回すストーカー気質を持っています。

そして最下位のEタンクは「引きこもりタイプ」で、他の誰が何をしていようと「ワレ関せず」で、常に自分の棲み家に引きこもっていました。

食事も他のマウスが寝ている隙にササッと済ましています。

マウスの間でもこれだけ人間のような多様な性格の違いが出るのは面白いですね。

マウスの社会にもカーストが発生/ Credit: canva

それでオスの勝ち組に当たるカースト上位者はAとBで、かなり広いスペースを少数で独占していました。

オスの負け組にあたるカースト下位者はCDEで、楽園の主に中央スペースに密集し、ごった返した状態で暮らしていました。

他方で、メスのカーストはAとBの2つだけでした。

上位Aはアルファオスが築いたハーレムの一員であり、そのおかげで広い棲み家にゆったりと暮らしていました。

旦那が金持ちの奥様タイプとイメージするといいでしょう。

しかし下位BはC〜Eランクのオスのパートナーとなったメスたちであり、狭い場所で窮屈な暮らしを強いられていました。

こちらは団地住まいの母ちゃんタイプとひとまずイメージしておきましょう。

このように群れが誕生して、カースト制度が確立されるまでで315日が経過しており、カルフーンはこの期間を「フェーズ2:社会形成期」と名付けました。

しかし「楽園」が本当の意味で「地獄」に変わるのはここからです。

配信元: ナゾロジー

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