2026年からアウディのワークスチームに変わることで、30年以上にわたる歴史に幕を下ろすザウバー。彼らはこれまで後のスターとなるドライバーを何人も輩出して来たが、その顔ぶれにルイス・ハミルトンも加わる可能性があったという。
1993年にF1に新規参入したザウバー。2001年には後のワールドチャンピオンであるキミ・ライコネンをデビューさせ、2002年にデビューしたフェリペ・マッサもフェラーリで長くトップドライバーとして活躍した。4度のワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルも、2007年アメリカGPでBMWザウバーからスポット参戦したのがF1デビュー戦であった。
その2007年に、ハミルトンがBMWザウバーからF1デビューを果たす寸前まで話が進んでいたと明かすのが、チームの創設者であるペーター・ザウバーだ。
「約20年前に、ルイス・ハミルトンが我々のところで走ることになりそうだったことは、ほとんどの人が知らないだろう」
地元スイスの『Blick』紙に対してそう語ったザウバー。ハミルトンは当時マクラーレンの育成ドライバーであり、結果的には2007年からマクラーレンのドライバーとしてF1デビューを果たすことになるのだが、修行のために彼をザウバーにレンタルするという構想もあったようだ。
ハミルトンと彼の父、そしてマクラーレンの代表者は、ペーター・ザウバー、そして当時ザウバーチームの弁護士であったモニシャ・カルテンボーンとスイス・チューリッヒ近郊の空港で面会。しかし「マクラーレンは1年間のみの貸し出ししか望んでいなかった」ことから、交渉はまとまらなかったという。ザウバー側は、ハミルトンを2年間起用したかったとペーター・ザウバーは説明した。
ハミルトンにとっては、マクラーレンからF1にデビューしたのは“正解”だったと言える。2005年にF3ユーロシリーズ、2006年にGP2を制して飛ぶ鳥を落とす勢いだったハミルトンは、2007年にF1ルーキーながらいきなりチャンピオン争いを演じ、わずか1ポイント差で王座を逃した。そして2008年に初のチャンピオンを獲得。その後2013年にメルセデスへと移籍し、さらに6度のタイトルを手にし王朝を築いたのは今更説明するまでもない。
一方で、F1史上最高のドライバーのひとりとも言われるハミルトンがBMWザウバーで1年ないし2年戦っていたらどうなっていたのかも、また興味深い。当時のザウバーはBMWとの提携により戦闘力を増しており、2007年はマクラーレン、フェラーリに次ぐ第3のチームとして地位を確立。2008年はロバート・クビサがカナダGPで優勝し、一時はポイントリーダーにも立った。そんなマシンにハミルトンが乗っていたら、どんなパフォーマンスを見せていただろうか。

