冬は、体が冷えやすく運動量も減少しがちなため、血行不良を招きやすい季節。
さらに、屋内と屋外の寒暖差によって血圧が変動しやすくなったり、体温調節に関わる心臓や血管への負担が増えることもあり、心疾患のリスクが高まる可能性があります。
日照時間が短くなることで、セロトニンやビタミンDの生成が低下し、気分の落ち込みや疲労感など、“心の健康”にも影響を及ぼすことも。
体の巡りや心身の健康をサポートする基本的な方法として、運動や入浴による体温維持、十分な睡眠の確保、そしてバランスの取れた食事などが挙げられますが、特に青魚に多く含まれるフィッシュオイル(EPA・DHA)は、血中の中性脂肪を低下させる機能が報告されており、食生活の中で意識して取り入れたい成分の一つ。
そんなフィッシュオイルの働きや食事への取り入れ方について、管理栄養士の村瀬由真さんにお話を伺いました。
冬の体調変化と「ヒートショック」にご用心
寒い環境では、体温を保つために血管が収縮し、血圧や循環に変化が生じやすくなることも。
こうした変化は体への負担となるため、寒暖差に注意しながら生活することが重要と言えるでしょう。

対策方法として、
・重ね着や手袋、帽子で体温低下を防ぎ、体を冷やさない
・朝晩の冷え込む時間帯など、気温を意識して行動する
・血圧の急上昇や低下に早めに気づくため、定期的に血圧をチェックする
などが挙げられます。
また、冬場は「ヒートショック」にも注意が必要。
ヒートショックとは、急な温度変化によって血圧や心拍に変化が生じ、体に負担がかかる状態を指します。
例えば、暖かい部屋から寒い屋外に出たり、入浴後に冷たい空気に触れたりすると、血圧が急に変動しやすくなり、めまいや失神による入浴事故などのリスクにつながる可能性があるため、脱衣所や浴室を暖めるなど、温度差を減らす工夫が大切。
近年では冬だけでなく、冷房の効いた室内・暑い屋外との温度差によって夏でも起こる場合があるため、特に高齢者は注意が必要です。
ヒートショックの対策としては、
・脱衣所や浴室も暖かくし、急激な温度変化を避ける
・熱すぎるお湯は血圧を急変させる可能性があるため、お風呂はぬるめでゆっくり入浴
・夏は冷房、冬は暖房などによる室内外の急激な寒暖差に注意
・高齢者は入浴や外出時に声かけや見守りを行う
上述した対策を参考にしてみてください。
さらに、寒さによって血管が収縮すると、手足や関節への血流が低下し、体がこわばったり、痛みを感じやすくなります。
高齢者や関節にトラブルがある方は、冷えによって関節・筋肉の動きにくさや違和感、痛みが増すことが知られているので、体を温めたり、適度に体を動かしたりすることが大切。
対策方法としては、
・温かい靴下やカイロで手足を冷やさない
・ウォーキングやストレッチで血流を促進
・入浴や半身浴で血液循環をよくし、筋肉や関節のこわばりを軽減
・サポーターやレッグウォーマーで関節や筋肉を温める
上記に加え、栄養面からのサポートも重要となるので、ぜひ栄養面にも気をつけるようにしましょう。
冬の健康管理に役立つ「フィッシュオイル」
フィッシュオイルは青魚からとれる油で、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)という脂肪酸が主成分。
これらは体内で作ることができない「n-3系脂肪酸」と呼ばれるものの一種で、血中の中性脂肪を低下させる機能が報告されているため、ぜひとも食生活の中で意識して取り入れたい成分と言えます。
健康維持に役立つ栄養素ではあるものの、過剰に摂取すると血液が固まりにくくなるなど、体に負担をかけることもあるそう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年)」では、n-3系脂肪酸の1日の目安量は「1.7〜2.3g」とされています。
食品から摂る場合は、青魚(サバやサンマなど)が効率的。

例えば焼きサバ1切れ(約100g)にはEPA・DHAが合わせて約1g含まれているので、1日1〜2切れ程度食べると目安量を満たすことができるでしょう。
管理栄養士がおすすめする摂取方法
村瀬さんは、おすすめのフィッシュオイルの効率的な摂取方法として、ビタミンEと一緒に摂取する方法があると説明。

EPA・DHAは空気や熱、光に触れると酸化しやすい性質があり、酸化が進むと風味や品質が損なわれるだけでなく、体への影響も懸念されるそう。
そのため、抗酸化作用を持つビタミンEと一緒に摂ることがおすすめ。
日常の食事では、魚と一緒に植物油・ナッツ・緑黄色野菜など、ビタミンEを多く含む食品を組み合わせましょう。
例えば、サーモンのサラダにオリーブオイル大さじ1とアーモンド10粒(約10g)ほどをトッピングすれば、手軽にビタミンEを補うことが可能。
また、緑黄色野菜などカラフルな野菜と一緒に摂取することで、EPA・DHAの酸化を防ぎ、その働きをより引き出すことが可能に。
サーモンやイワシの焼き魚に、ブロッコリー・ほうれん草・パプリカなどの色鮮やかな野菜を100gほど一緒に食べるのがおすすめ。
また、DHAは記憶や判断に関わる脳の「海馬」や「前頭前野」に多く含まれる脂肪酸で、神経細胞の情報伝達を助ける働きがあることから、日々の食事でDHAを含む魚やフィッシュオイルを取り入れることで、脳の健康維持の一助になる可能性があると考えられています。
また、抗炎症作用や脂質代謝の改善作用が報告されており、体内環境のバランスを整えることが示唆されているため、季節特有の体調変化への影響をサポートする可能性もあるそうです。
寒い季節の体調不良防止に、ぜひフィッシュオイルを摂ってみてください。
【管理栄養士:村瀬由真(むらせ ゆま)さんのプロフィール】

大学にて管理栄養学を専攻し、卒業後は精神科病院にて管理栄養士として勤務。病院給食の献立作成、食材の発注・調理、患者の栄養管理など、医療現場での食のサポートに従事。給食委託会社では管理栄養士として、献立作成や発注業務に加え、嚥下機能食品の開発にも携わり、食の多様なニーズに応える提案力を磨く。
現在は医療・栄養・動物ケアの現場経験を活かし、フリーランスのWEBライターとして活動中。
大塚製薬 栄養素カレッジ:https://www.otsuka.co.jp/college