セバスチャン・ベッテルは、 フェラーリでの最後の2シーズンですでに「衰退の一途を辿っていた」と認めた。
F1で計300戦に出走し、計53勝を挙げたベッテル。レッドブルに6年在籍しタイトルを4連覇した後、2015年にフェラーリに移籍。すぐにチームのトップドライバーとしての地位を確立した。
フェラーリでの4年間では、13勝をマーク。その間、チームメイトのキミ・ライコネンは1勝に留まった。メルセデスが圧倒的な強さを見せる中でも、ベッテルは2017年と2018年にタイトル争いに加わった。特に2017年は3月から9月までポイントリーダーだった。しかしいずれも最終的にタイトルには手が届かず、チャンピオン獲得回数を5に伸ばすことはできなかった。
しかし、2019年にライコネンに代わりシャルル・ルクレールがベッテルのチームメイトを務めると、フェラーリの神童がたちまち優位に立った。2019年の成績は、ベッテルが240ポイント獲得に対し、ルクレールは264ポイント。勝利数もベッテル1勝に対してルクレールが2勝と上回った。
そしてフェラーリにとって厳しい年となった2020年はさらに顕著で、ベッテル33ポイントに対してルクレール98ポイント。パンデミックでシーズン開幕が遅れている間に、フェラーリがカルロス・サインツJr.と契約を結び、ベッテルの離脱がシーズン前から明らかになっていた影響も大きいだろう。
ベッテルはポッドキャスト『Beyond The Grid』に出演し、「2006年と2007年にF1に参戦し、2010年には既にチャンピオンシップを獲得し、ピークを迎えていたと言ってもいいだろう」と、自身のキャリアを振り返った。
「だけど2011年は、例えば2010年よりもずっとチャンピオンシップ獲得に向けての準備が整っていた。その後もチャンピオンを獲得するなど好調なシーズンが続いた」
「2015年は非常に好調な年だった。2017年、2018年も……そして2019年、そして正直に言うと2020年は、もう下降線を辿っていた」
「いま、そう言えるのはハッピーなことだよ。その時はできなかったことだし、これ以上足掻く必要はないからね」
ベッテルは、10歳年下のルクレールとの大きな違いは、モチベーションだったと説明した。
「シャルルは本当にエネルギーに満ち溢れていた」と彼は指摘した。
「正直に言うと、僕は甘やかされて育ったんだ。だって、4度のチャンピオンシップ獲得、数々のレースでの勝利、ポールポジション獲得など、とにかく何でもあった。とにかく勝つことだけに興味があった。僕はそういうアスリートだった」
「勝ちたい、一番大きなトロフィーが欲しい、表彰台でレースに勝ったと実感する瞬間が欲しい、月曜の朝に『レースに勝って最高の気分だ』という気分になりたい。でもその気分は長くは続かなかった。だから、もう一度勝たなければならないんだ」
「そしてシャルルがやって来て、僕たちが5位と6位でフィニッシュしたとき、彼は5位と6位という結果に大喜びしていた。彼にとってキャリアの新たなステージであり、競争力のあるマシンに乗るのは初めてだったからだ。その頃から僕は少し苦戦し始めたと思う」
「そして2020年がやってきた。パンデミックの影響で本当に厄介な年で、レースもできず、今までにない素晴らしい休暇を家族と過ごし、とても楽しい時間を過ごした。同時に、子供たちが成長するにつれて、世界の問題やそれが自分に影響を与え始めていることに気づき、それについて深く考えるようになった」
「あの頃は、もうピークではなかったと思う」
それでも、ベッテルは新たな挑戦に挑んだ。ローレンス・ストロールが資金をもたらしたアストンマーティンに移籍したのだ。フォースインディア/レーシングポイントの後継チームであり、資金力もはるかに強くなった。
「僕は最終的に『まだできるのか?』という確信を求めていたと思う。もちろん僕はできるし、何度もそれを証明してきたから馬鹿げているように聞こえるけど、それは僕たち全員が抱えている不確実性や不安と混ざり合っている。今のグリッド上のドライバー全員がそれを感じているんだ」
「何年も前にミハエル(シューマッハー)とこのことについて話したんだけど、彼でさえそうだった。僕にとって『彼でさえ』というのは、彼が最高だからだよ。ほら、壁に彼のポスターを貼って育ったんだ。レースに関して、僕が想像できる限りのあらゆる面で彼は最高だった。でも、彼は自信がなかった。『え? 君が?』ってね」
「だから、僕たちは皆そういう時期を過ごしている。結果という観点から言えば、もちろんチーム(アストンマーティン)がもっと早く成長していく姿を見たかったけれど、僕にとってはあの時期が重要だった。自分のドライビングに再び本当に心地よさを感じられるようになったし、後半になっても最高のパフォーマンスを発揮していたと思う。でも、全体的なピークからはもう外れていただろうね」
ベッテルはアストンマーティンで2シーズンにわたりトップドライバーを務めた後に引退。チームにはフェルナンド・アロンソが加わった。ベッテルにとって最後の表彰台は2021年のアゼルバイジャンGPで最後のF1表彰台。ハンガリーでも2番手でフィニッシュしたが、燃料サンプル不足により失格となった。

