
趙雲の鉄拳が衝撃的な「兄嫁騒動」が描かれる、横山光輝『三国志』28巻(潮出版社)
【画像】「えっ、どちら様?」「本人じゃないか」これがトンデモだが美人な趙雲の「妻」たちです(5枚)
「無礼もくそもあるものか、この蛆虫めが」
「趙雲」は劉備の息子・阿斗を胸に抱き、敵陣を一騎駆けした「長坂の戦い」で知られ、『三国志』の数のなかで、多くの見せ場がある人物です。趙統と趙広というふたりの息子がいたことから、妻の存在は確実ですが、その正体は不明です。そのためか、趙雲の結婚相手については創作が入りやすく、さまざまな「妻たち」が登場しています。
趙雲の潔癖なカタブツぶりを象徴する有名な逸話が、桂陽の太守・趙範(ちょうはん)との「兄嫁騒動」です。劉備軍が侵攻してくると、趙範は趙雲に取り入ろうと寡婦となった兄嫁を嫁がせようとします。
その申し出を聞いた趙雲は目を見開いて激怒、趙範の顔面に鉄拳をお見舞いし、こう言い放ちました。
「兄嫁を客席にはべらすさえ言語道断。そればかりか、その兄嫁を男にすすめるなど畜生にも等しい!」
その後、桂陽を平定した劉備が「なぜ美女を手に入れる機会を断ったのか」と問うと、趙雲はこう答えます。
「力づくで太守の兄嫁を奪ったと思われるのは、劉備の徳が知られていない地では害になる。家臣が驕り高ぶれば、その後の統治に支障が出る」と。
この完璧な回答に、劉備と孔明は「真から武人だのう」と感嘆の声をあげました。正史には鉄拳制裁の描写はなく、口頭で断ったとだけ伝わっていますが、趙雲の潔癖さが伝わる逸話です。
このような人物像だからこそ、正史・演義のいずれにも女性関係の記述がないのかもしれません。
創作で「最強カップル」爆誕?
1920年代、周大荒が新聞小説として発表した『反三国志』は、蜀が圧倒的な力で曹操や孫権を滅ぼし、中華を統一するという歴史改変型の二次創作です。
そこで登場するのが、馬超の妹にして趙雲の妻となる「馬雲リョク(馬へんに綠の右側)」です。ゲーム『三國志』シリーズや『真・三國無双』でおなじみのキャラクターですが、実は史書にも『三国演義』にも登場しません。
作中では兄・馬超に匹敵するほどの豪傑として描かれ、趙雲と互角に張り合う「最強カップル」として存在感を放っています。まさに「馬超の妹」「趙雲の妻」という空白を埋めるために創造された人物といえるでしょう。
