村上宗隆がホワイトソックスと契約し、地元シカゴは歓迎ムードである。
今季のホワイトソックスは60勝102敗、ア・リーグ中地区の最下位だった。シーズン100敗超えはこれで3年連続となった。そんなメジャー最弱球団と契約した直後から言われているのが「再建過程にあるチームだから、村上は出場機会に恵まれるだろう」。DHか一塁でのスタメン起用が予想されている。
アメリカの野球データサイト「fangraphs」の成績予測では、メジャー1年目の来季、村上は138試合に出場して打率2割3分1厘、30本塁打、75打点。三振は158となっていた。
「このサイトの的中率は高いですよ。打率はちょっと寂しいですが、30本塁打なら問題ないでしょう」(メジャーリーグ担当記者)
村上の契約は2年総額3400万ドル(約53億7000万円)。いきなりチーム2位の高級取りとなったわけだが、低打率でもホームラン30本を打てば、ファンは許してくれるようだ。だがこの同サイトの予想通りとなれば、ややこしいことになりそうである。
それはチーム最高額の年俸をもらっているルイス・ロバート・ジュニアの放出だ。ロバート・ジュニアは2023年にシルバースラッガー賞を受賞した強打者であり、「スピード感ある堅守の中堅手」と称される。
「来季は29歳、これからもやってくれそうな選手ですが…」(前出・メジャーリーグ担当記者)
アメリカ流と言ってしまえばそれまでだが、働き盛りのNo.1選手を放出し、交換要員で複数の若手をもらい、育てていくプランだ。ロバート・ジュニアの放出論に、メジャーリーグ各球団は「興味アリ」の姿勢を示したが、月に肉離れでリタイアしてしまい、このプランは立ち消えになっている。
ただ、村上が30本塁打を実現してくれるのであれば、ロバート・ジュニア放出論が再検討されるというわけだ。
「チーム再建を託されたウィル・ベナブル監督は、来日経験があります。父のマックス・ベナブル氏は1992年から2年、千葉ロッテでプレーしていました」(スポーツ紙デスク)
1992年のロッテといえば、現在のZOZOマリンに本拠地を移転した年だ。順位は最下位だった。
ベナブル監督は現役時代から「リーダー気質」で、チームが劣勢になると率先して声を張り上げていた。この姿勢は異国で戸惑う父を見て学んだそうだ。村上もヤクルトで声を張り上げていたので、気が合うだろう。ロバート・ジュニアの放出論が再燃した場合、村上がリーダー役まで任されそうだ。
(飯山満/スポーツライター)

