最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
美絽×池端杏慈×蒼戸虹子インタビュー スクリーンの中に自分が居るという感覚が不思議に思えた『白の花実』

美絽×池端杏慈×蒼戸虹子インタビュー スクリーンの中に自分が居るという感覚が不思議に思えた『白の花実』

『21世紀の女の子』(「reborn」) で注目された坂本悠花里監督の長編劇場映画デビュー作となる『白の花実』。本作は坂本監督の脚本による完全オリジナル作品です。

「いったい何故、学校の人気者だった彼女【莉花】が飛び降りたのか?」霊が視える転校生【杏菜】が、残された日記を頼りに調べ始め、【莉花】の親友だった【栞】との距離を縮めながら、ある秘密にたどり着く学園ファンタジー。主要キャスト3人はオーディションで決定、【杏菜】役はモデルとして活動していた美絽が務め演技デビューを果たしました。更に【栞】には『ストロベリームーン』(2025)にも出演する池端杏慈、【莉花】役には2024年より俳優活動を始めた蒼戸虹子が本作で映画初出演となります。今回は、この3人にそれぞれの印象や撮影現場での思い出を語り合ってもらいます。

――出来上がった作品をスクリーンでご覧になった時はいかがでしたか。

美絽:初めて作品を観た時は、“信じられない”というか、不思議な感じがしました。“自分が居る、スクリーンに自分が居る”って感じでした (笑)。

池端・蒼戸:確かに。

美絽:世界観も凄くて、想像していた以上に静かな雰囲気になっている印象を持ちました。

――映画撮影を初めて経験された蒼戸さんはいかがですか。

蒼戸:撮影していた時は、すべてが初めてだったので、ずっと緊張と驚きがありました。いざ完成した作品を観たら、この年代の女の子たちの揺れ動く感情が描かれていたのと、景色や衣装なども含めた世界観が凄く綺麗だったので、その世界に自分が居ることにも嬉しくなりました。でも最初は、冷静に観られなくて‥‥“大丈夫かな?”と不安もありました。 ただ、何より“この映画に出演できて、凄く嬉しい ! ”と思いました。

――池端さんはどうでしたか。

池端:私もまだ自分が大きなスクリーンに居ることに慣れなくて、初号を観た時も美絽と虹子が出て来た時は、“ワ~ッ、【杏菜】と【莉花】だ“と思えたんですが、自分自身が登場した時は少し恥ずかしさがあって慣れない感じはありました。台詞や音楽がないシーンの静かに映像だけが流れる時間がこの映画には結構多くて、印象に残っています。観ていて凄く心地良かったです。そういう作品だと思いました。

ーー映画に包まれる感覚を味わえる点でも、坂本悠花里監督が本当に素晴らしいと思いました。演出で印象に残っていることはありますか。

美絽:「呼吸を意識して、間を大事にして欲しい」とよく言われました。ダンスのシーンとかは特になんですが、「ここで息を吸う感じで」とか、とにかく呼吸について言われました。

蒼戸:私もダンスの時は目線や、呼吸を意識するように言われました。「そこにも【莉花】らしさ、【杏菜】らしさみたいなものが出るから」と監督から。例えば、【莉花】はダンスをする前に自分で息を整えます。そこで自分の空気を作るという時間があるんですけど、そこがたぶん【莉花】らしさなんじゃないかと思いました。

池端:これは3人の本読みの時に頂いた演出なのですが、「ほぼ棒読みで」と言われました。「フラットな状態で役になろうとしなくていいから、美絽さんは美絽さん、虹子さんは虹子さん、杏慈さんは杏慈さんのまま、そのままの状態で1回台詞を読んでみて下さい」という演出がありました。1回それを本読みでやった時は、そこから少しずつ色を足していく感じだったので、完成した作品を観た時は、“これで良かったんだ”と安心しました。あとは、間の取り方というか、「台詞はあるけど何でここに「・・・」があるのか?その理由を考えて欲しい」と言っていただきました。句読点について監督と話しました。

蒼戸:私と美絽は、撮影が始まる半年ぐらい前からダンスレッスンを含めてワークショップもしていたので、細かく監督と話す時間がありました。

――それは本当に素晴らしい体験ですね。3人の思い入れのあるシーンを教えて下さい。

美絽:私は杏慈が演じた【栞】と湖でダンスをするシーンです。その後の帰り道もそうなのですが、そこで【杏菜】と【栞】の距離がグッと縮まるので凄く大事なシーンです。

池端:あの創作ダンスは難しかったよね。

美絽:うん、自然を感じて創作するって難しかったよね。

蒼戸:“難しそうだな”って思って映画を観ていました (笑)。

美絽:事前に何となくアドバイスはもらっていましたが、現場に入って本物の木を見て、それを感じながらダンスするみたいな状況で、本当に難しかったです !

池端:私もこのシーンは好きなんですけど、もうひとつ挙げるとするなら【杏菜】と一緒に湖で話すシーンです。あそこは初めて【栞】の感情が出て、【杏菜】に感情をぶつけるシーンなので、スタッフさん達とも話し合って、【杏菜】と【栞】をどう表現すればいいのか考えた思い出があります。でも後ろから【杏菜】がギュっと包み込んでくれるようなシーンだったので、あのシーンが一番のお気に入りです。あと、私のシーンではありませんが【杏菜】と【莉花】がルームメイトなので、部屋で2人がリボンの取り合いっこをするシーンがあって、その姿が可愛くて凄く好きです。

蒼戸:私が思い入れのあるシーンは、杏慈が言ってくれた、ルームメイトである【杏菜】と【莉花】が部屋で話したりするところです。そこが【莉花】の素の部分が見える数少ないシーンだと思っています。普段は完璧に見えるように自分でも意識的に頑張っている【莉花】なのですが、このシーンでは、本当に普通の女子高生として楽しく話している瞬間だったので、あのシーンが私のお気に入りです。最初くすぐるところは、2人ともコチョコチョすることに慣れていなくて‥‥、「ちょっと相撲をとっているように見えるから、もう少し自然とコチョコチョ出来る?」と言われてしまいました (笑)。

美絽:2人とも最初は緊張してしまって、コチョコチョが上手く出来なかったよね (笑)。

蒼戸:やっていくうちに慣れて、そこで少し仲良くなれて、距離も近くなった気がしました。

美絽:お陰で最後の方では、素の感じで演じることが出来ました。

池端:可愛いシーンで好きです。

――役者としてお互いを見ての魅力を教えて下さい。

池端:じゃぁ、私から!美絽は、【杏菜】になった瞬間の目が好きで、今もこの目が好きなんです。【杏菜】は元々大人に対しての反抗心というか、中学校3年生なりの葛藤や悩みを抱えているキャラクターだったので、少しダークな目というか、演技にスッて入る瞬間の目が素敵だなって思っています。【栞】として目を合わせた時も、少しドキッとするような瞬間もありました。

虹子は、声が凄く好きなんです。【莉花】として【杏菜】に声をかける一言目の「ねえ」という声が、“どこから出しているんだろう”って、それだけでパッと振り返ってしまうような声が魅力的だと思っています。

蒼戸:嬉しいです。美絽はさっき杏慈が言っていたみたいに一緒にお芝居をしている時に、その目に吸い込まれそうになるんです。それが美絽にしかない魅力だと思っています。杏慈は自分の役に対する熱量だったり、責任感を凄く感じていて、私自身、現場が初めてだったので杏慈の姿を見て、学ぶところが沢山ありました。

池端:本当に? 嬉しい。

美絽:私も一緒です!凄くわかる。私も杏慈の事を、そう言おうと思っていました。杏慈の目についてですが、最初は私が演じる【杏菜】とあまり仲良くない怖い目をするんです。【莉花】に対する目と私【杏菜】に対する目や表情が全然違っていて、それを見て“【栞】だ、【栞】が居る”と思いました。虹子は最後の湖のシーンですね。【莉花】が立っているところを裏側で見ていたのですが、その姿が本当に【莉花】で“【莉花】がそこに居る”と凄く感じて、ちょっとウルッと来ました。

蒼戸:ありがとう。

――これからも役者を続けたいと思われましたか。

一同:思いました !

――目標を教えて下さい。

美絽:まだ経験も全然ないので「こういう役をやりたい」というのはないのですが、とにかく“色々な役に挑戦したい”という思いがあります。目の前のことに1つ1つちゃんと向き合えるような役者さんになっていきたいと思っています。でもそれは、この作品がきっかけです。現場の雰囲気とか、全部含めて凄く“いいな”と思いました。

池端:私も“これからも役者を続けたい”と思いました。今はまだ高校生なので、学生の役もやりたいと思いますし、運動が好きで中学校の頃はバトミントンをずっとやっていたので、部活に真っすぐに打ち込む青春物語みたいなものとかもやってみたいです。1つの作品に対してキャストやスタッフが沢山の情熱を注いで、“この作品を絶対にいいものにするぞ”という思いを現場で見ていて感じていました。その雰囲気が大好きなのでまだまだ味わいたいと思いました。

蒼戸:私は元々映画が凄く大好きなんです。この作品で好きな映画の世界の中に居られことが凄く嬉しくて、これからも色々な役に挑戦してみたいと思っています。普段からギターを弾いていて音楽も凄く好きなんです。『リンダ リンダ リンダ4K』(2005のデジタルリマスター版、上映:2025)をこないだ見に行って感動して、あんな形で音楽に関われるような青春モノにも出演してみたいです。

――『リンダ リンダ リンダ』観に行ったんですね、私も舞台挨拶で司会していましたよ。他にも何か最近のお気に入り映画はなにかありますか。

蒼戸:あ、その舞台挨拶付き上映を見ました ! (笑)。最近、観た中で凄く好きだったのは『ワン・バトル・アフター・アナザー』(2025)です。上映時間は3時間くらいになるのですが、凄くあっという間に感じる映画です。ちょっと笑えるところもあったり‥‥、最後の坂でのカーチェイスのシーンだけでもワクワクして興奮して…凄く衝撃を受けました。女優さんだと、シアーシャ・ローナンやセイディー・シンクが好きです。

美絽:最近観た映画は2本あって、1本は『リンダ リンダ リンダ 4K』をお勧めされて観ました。観て良かったし、ああいう青春がしたいと思いました (笑)。もう1本は『F1/エフワン』(2025) です。映画館に観に行って、熱くなる感じで、めちゃくちゃワクワクしました。

池端:私は『セッション』(2015) です。お仕事をご一緒した監督さんからお勧めして頂いて、家で観たんですけど、“最後、こういう終わり方するんだ!”と、その意外性にビックリしました。しかも途中も観ている自分も音楽に没入して、“この先どうなるんだろう?”と先が気になっていました。最後まで観た後に色々な人が書いている感想をネットで見に行ったのですが、色々な意見があって、共感出来る部分もあって、それらを理解したうえで“もう1回観たい”と思える映画でした。追及し続けていたらあそこまで行くのか、って感じでした。

――そうですよね。没頭しすぎることでの狂気、気を付けないといけないですね (笑)。

池端:はい、気を付けます (笑)。

無邪気な笑顔で語らう3人は、映画ではまた違った表情を魅せています。それがミステリアスで美しく、タイプの違う3人だからこそお互いの魅了を引き立て合っている点を考えると、優れたキャスティングだと感心してしまうのです。更に初演技の2人を含め、3人には時間をかけ読み合わせをしていたと聞くと、監督の撮影前からの準備での演出の手腕を感じる映画でした。純度が高く冷たい早朝の空気のような『白の花実』。才能の蕾が花開き出した瞬間を捉えた崇高ささえ感じたのでした。

取材・文 / 伊藤さとり
撮影 / 奥野和彦

美絽)ヘアメイク:外山友香 / スタイリスト:石川尚人[dust free production]
池端杏慈) ヘアメイク:伊藤絵理 / スタイリスト:石川尚人[dust free production]
蒼戸虹子)ヘアメイク:石川奈緒記 / スタイリスト:佐々木翔

作品情報 映画『白の花実』

周囲に馴染めず、転校を繰り返す杏菜が、新たな寄宿学校で出会ったのは、美しく完璧な少女・莉花。しかし、莉花は突然、屋上から飛び降りて命を絶ってしまう。残されたのは1冊の日記。ページをめくるたび、莉花の苦悩や怒り、痛み。そして、言葉にできなかった“ある秘密”が浮かび上がる。やがて日記から青白く揺れる“鬼火”のような魂が現れ、杏菜の心に静かに入り込み‥‥。杏菜は予想もつかない行動へと踏み出す。

監督·脚本·編集:坂本悠花里

出演:美絽、池端杏慈、蒼戸虹子、河井青葉、岩瀬亮、山村崇子、永野宗典、田中佐季、伊藤歩、吉原光夫、門脇麦

配給:ビターズ・エンド

©2025 BITTERS END/CHIAROSCURO

公開中

公式サイト bitters.co.jp/kajitsu/

配信元: otocoto

あなたにおすすめ