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映画『楓』石井杏奈インタビュー「登場人物全員の矢印が真っすぐに向いていて、いとおしい」

映画『楓』石井杏奈インタビュー「登場人物全員の矢印が真っすぐに向いていて、いとおしい」

スピッツの名曲「楓(かえで)」を原案にした、映画『楓』(配給:東映/アスミック・エース)が公開中です。

事故で双子の弟を失った涼は、ショックで心を乱した弟の恋人・亜子に弟と間違えられたまま恋人として過ごす。涼は、亜子を想うあまり、恵のフリをし続けるが、しかし亜子もまた<秘密>を抱えていた…。真実を言えないまま惹かれあってしまう2人の運命が交差するとき、驚き涙するこの冬一番の感動作。本作で監督を務めるのは、多様な恋愛映画を手がけてきた行定勲。『世界の中心で、愛をさけぶ』に続く令和を代表するラブストーリーに挑みます。

本作で日和を演じた石井杏奈さんにお話を伺いました。

——本作とても楽しく拝見いたしました。スピッツの名曲をベースにしたストーリーですが、石井さんはスピッツをお聴きになったりしますか?

本当にスピッツさんが大好きで。「楓」は自分のプレイリストに入れてずっと聴いていました。草野マサムネさんの温かい歌声とは裏腹に、別れを描いた切なくて、すごく心に響くなと思っていて、こその曲が原案になった映画ができると聞いた時は、まさかと思って衝撃を受けましたが、ファンの一人としてすごく楽しみでもありました。
しかも、「楓」は私と福原遥さんが生まれた年の曲でもあるので、その時にリリースされた曲が今もこうして受け継がれていることに驚きます。

——「楓」と同い年なのですね!本当に長年愛されている楽曲なのだなあと感じます。

物心ついた時から、気付いたら聴いていて。大人になってもずっと好きですし、昔からの名曲はもちろん新曲も好きですし、スピッツさんには世代問わず愛されるすごさを感じます。

——改めてどんな所に魅力を感じましたか?

寒色系のイメージがあって、冷たい温度の印象なのに、歌声があたたかいという不思議な魅力を感じていたのですが、この作品を経てより深みが増したと思います。「さよなら」とか「別れ」というフレーズが多いですけれど、この映画を通して前向きな気持ちを感じられるようになりました。

——脚本を読んで、どの様に受け止めましたか?

大好きなスピッツさんの「楓」を基にした映画にまさか自分が出演させていただけるなんて驚きでしたし、嬉しい気持ちで読みました。優しい嘘やけなげな愛があったり、別れや悲しみだけではなくて、すごく深みのある話だと感じました。皆がいろんな矢印を真っすぐに向けて、その人と向き合おうとしている姿がすごくかっこよくて、本当に儚い物語だと思います。

——日和というキャラクターに感じた魅力や、演じる上で意識したことを教えてください。

不器用だけど愛嬌があって、自分のやりたいことを真っすぐにできる日和が大好きです。脚本を読んだ時に、日和に共感できる、応援したいと思えたからこそ、観てくださる方にもそう思っていただけるように演じたいと思いました。
先輩の涼くん(福士蒼汰)との関係性が、どこか兄妹のようでもあり、友達のようでもあり、上司と部下のようでもある。その塩梅が難しかったですし、福士さんとも初めての状態から、2人の掛け合いがほぼ毎日あったので、恥ずかしいと思う気持ちや緊張をなくして、日和としての気持ちを思いっきりぶつけようと思って、福士さんの胸を借りるつもりでやっていました。

——福士さんに助けられた部分も多かったのですね。

福士さんに「ここでトーンを少し下げてみたらどうだろう」とアドバイスをいただいたことがあって、それを実践したら、お芝居にすごく深みが出たんです。自分でも納得しながら演じることができて、これまでは一つのセリフを言う時に別パターンのお芝居を試すことというのは無かったのですが、この撮影を経てからは「ここでトーンを落としてみようか、上げてみようか」と、色々挑戦してみるようになりました。

——行定監督の演出はいかがでしたか?

とにかく主演のお二人が可愛くて、素敵なラブストーリーだなと感動しました。試写で観た時に、ニュージーランドの風景も含めてとても素敵で、屋上のシーンでも、福原さんのアップがすごく綺麗だなと。綺麗でありながら切なさを表現しているところが素晴らしいですし、それを引き出したのが行定監督の手腕というか、すてきな部分だなと思いました。私は行定監督を信じてお芝居をしていました。

まるで「楓」という曲のように、すごく優しくて、温かい現場だったので、現場に入った瞬間に日和になれたというか、ずっと日和のようなテンションで行けたし、それを許してくださる現場だったのでとてもありがたかったです。

——これからの季節にとても沁みる作品だなと思います。

人肌恋しい冬の季節にすごく観たくなる映画ですよね。登場人物全員の矢印が真っすぐに向いていて、いとおしいからこそ、観終わった後、自分も大切な人のことを思いたくなります。それは、家族や友人、恋人、今近くにいる人、今会えない人、いなくなってしまった人、そういう全ての大切な人たちのことを思える作品になっています。冬ならではの儚さも描かれていて、映像もとても綺麗なので大きなスクリーンで楽しんでください。

——今日は素敵なお話をありがとうございました!

撮影:オサダコウジ
スタイリスト:道端亜未
ヘアメイク:八戸 亜季子

配信元: ガジェット通信

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