3位:うたごえはミルフィーユ
アカペラをテーマにした音楽プロジェクトのアニメで、人見知りな高校1年生の小牧嬉歌を主人公に、アカペラ部の面々の物語が描かれる本作。キラキラした青春部活ものかと思いきや、独特なキレのある会話や徹底したぶつかり合いを通じてキャラクターが自身のコンプレックスと向き合い、不協和音を起こしていたメンバーが調和していくさまが多くのアニメ好きの心をつかんでいます。
また「音楽と才能に対する向き合い方が真剣すぎる」「趣味として楽しくやる派閥と、プロを目指し本気で究める派閥による平行線の議論は部活ものでは頻出だが、それに素晴らしい回答を示した」といった側面や最終話の評価も上々。「アカペラということでBGMを極限まで抑えた演出」「上位グループのステージや失敗したステージを『きちんとそうだとわかるように』感じられる演技」といった細部へのこだわりも、作品の説得力を一段引き上げました。
4位:Turkey!
「もめんたりー・リリィ」に続いて、工藤進監督作の「Turkey!」が4位となりました。「青春×ボウリング×戦国時代」という、予測不可能な組み合わせを強気に成立させてしまった2025年最大の“怪作”として、多くのアニメファンの心に刻まれたようです。
長野県千曲市を舞台にした女子高生部活ものという表向きの顔を持ちつつ、第1話のラストで戦国時代へタイムスリップ! 最終的には命がけのボウリング勝負を繰り広げるという衝撃展開の連続は、原作のない、視聴者の誰も先を知らないアニメの真骨頂であり、オリジナル作品が強かった2025年を象徴する作品といえるかもしれません。
「ボウリングと戦国というスネークアイ(難関)への偉大な挑戦」「企画自体がクレイジーだが、SFとしては無駄に真剣」と、その作風を楽しんだ声が殺到。一方で、少女から大人への成長や死生観といった重いテーマを、「ボウリングの二投目」というメタファーに乗せて描き切る手腕には目を見張るものがあり、(戦国時代側のメインキャラクターを演じた)ベテラン声優陣が「感動作」と口をそろえるのも納得の、熱い魂が込められた一作です。

