学歴詐称疑惑に端を発した出直し選挙に落選した田久保眞紀前市長(55)。連日、ワイドショーを騒がせた“田久保劇場”とはいったい何だったのか─。
党開票日前日の12月13日昼前、伊豆急行線川奈駅から徒歩15分にあるコーヒーショップ前の交差点は騒然としていた。それもそのはず、正午に田久保氏の街頭演説が予定されていたのだ。ところが、「紫ダサリュック虚言癖」や「保身のための議会解散:¥6300万円」というようなプラカードを掲げた、4〜5人の一群が会場をなかば占拠。街宣を楽しみにしていた市民からは「マキちゃんの選挙妨害はやめろ!」「よそ者は出てけ!」と抗議の声が上がっていた。その異様な空気が遠目からも察知できたのか、定刻過ぎに選挙カーは現れたが、助手席に座る田久保氏をチラ見せだけして「街宣は中止です!」と会場をスルーしてしまった‥‥。
ファンもアンチもモヤモヤしたまま1度は解散ムードに。だが、数十分後に田久保氏が再び現れた。街宣はせずとも、集まった市民に投票をお願いに来たようだ。
「どっちもどっち! 商売している店には迷惑ですよ。みんな1万円分くらい買い物していくべきです」
と、周囲の店舗を気遣う言葉を吐き、信号待ちの間にプリプリしたのもほんの一瞬だけ。会場に集まる市民の前では、テレビでほとんど放送されていない満面のスマイルを見せていた。その人気ぶりはアイドルのごとし。握手はもちろん、色紙にサインを求められたり、ツーショット撮影でハートマークを作ったりと、ノリノリで“ファン対応”をしていた。
午後7時30分にJR伊東駅近くのホテル駐車場で開催されたマイク納めにも、市民と報道陣合わせて100人近くが駆けつけた。
「この伊東の町は皆さんのものです!」
と、最後の訴えに拍手喝采。演説後の囲み取材を終えた田久保氏を直撃した。
─「卒業証書19.2秒」が25年の新語・流行語大賞にノミネートされました。
「(大賞から外れて)ほっとしました‥‥(笑)。そもそもノミネートされたことにビックリです。高市さんが大賞を獲ってくれてよかった〜。おかげで助かりました。女性初の総理大臣として頑張ってほしいですね」
─テレビで見るよりも柔らかい雰囲気なんですね。
「マスコミの皆さんが上手に切り取りますからね。あと、役所の中にいた時にはいろいろありましたけど、こうやって下に降りて地面に立つとこんなもんでございます。(名刺をチラ見して)アサヒ芸能? 読んだことがないので、ぜひ買ってみます!」
と、最後の最後まで笑顔。こうして市長職のほうは無事に卒業したのだった。

