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北条司が語る“令和版キャッツ・アイ”「どんどん変更していいですよ、という気持ちです」

北条司が語る“令和版キャッツ・アイ”「どんどん変更していいですよ、という気持ちです」

「キャッツ・アイ」より
「キャッツ・アイ」より / (C)北条司/コアミックス

「シティーハンター」「エンジェル・ハート」など多くの名作を生み出してきた漫画家・北条司。代表作の一つに挙げられる「キャッツ・アイ」が完全新作としてアニメ化され、9月26日(金)よりディズニープラスのスターで独占配信開始。1981年から1984年にかけて「週刊少年ジャンプ」で連載され、アニメ化もされた同作は、喫茶「キャッツアイ」のオーナーである美人三姉妹の来生瞳、泪(るい)、愛が“怪盗キャッツアイ”としてクールに華麗に盗みを働き、刑事の俊夫とのスリリングな恋も描かれている。

このほど原作者の北条にインタビューを行い、新作アニメ「キャッツ・アイ」の印象や原作の連載当時のエピソード、お気に入りのキャラなどについて聞いた。

■「昔のアルバムを見ているような恥ずかしさがあります(笑)」

――「キャッツ・アイ」が新たにアニメになるというのはどういう気持ちでしょうか?

連載終了から40年ですからね。自分の昔のアルバムを見ているような恥ずかしさがあります(笑)。今回のアニメ化にあたって「現代風にアレンジしたらどうですか?」とも言ったんですけど、「あの雰囲気のままやりたい」という意向で、キャラクターも原作に近い形にしたい、と。なので、余計恥ずかしい気持ちになりました。

――制作サイドが、当時の雰囲気をそのまま生かしたものにしたいと。

はい。と言っても、時代が変わっているので携帯電話とか、そういうのは出てきますけど、「全体の雰囲気と話の流れは原作に近いものを」と言っていただきました。

――完成した新作アニメを視聴されてどう思われましたか?

やはり新作アニメの制作が決定したときの気持ちと同じで、恥ずかしさが先に立つんですよね。どこか正視できないという感じがありました(笑)。ケータイを使ったりして現代風にアレンジされていますけど、根底は同じなので。

――主題歌をAdoさんが歌われていますが、Adoさん版の「CAT’S EYE」を聴いた感想も教えてください。

なんか艶がありますよね。同じ曲でも歌う人によって雰囲気が変わるんですけど、楽曲自体は古い曲ですけど古くは感じなかったです。

――新しいオープニングテーマ「MAGIC」(作詞・作曲・編曲:ツミキ)に関してはいかがですか?

格好いいですね。こちらの曲はまさに令和の雰囲気も感じられますし、すごくいい曲だなと思いました。今回の新しい「キャッツ・アイ」に合っているんじゃないでしょうか。

――今回のアニメに関して、現代風のアレンジを含めて、原作からの変更点に関してはどのように受け止められていますか?

全然気にならないので、どんどん変更してもらっていいですよ、という気持ちです。まさか1980年代を舞台にするわけにもいかないでしょうし、それだと古臭いだけのものになるので、変えてもらう分には「どんどん変えてください」って思っていました。逆に言ってしまうと、原作に近づけてもらうほど恥ずかしくなる感じなんです(笑)。

■三姉妹設定は「3人というバランスがいいなって思ったんです」

――以前、「ルパン三世VSキャッツ・アイ」というコラボ作品がありましたが、そういうのも大歓迎という感じですか?

そうですね。「ルパン三世VSキャッツ・アイ」は、ルパン三世のほうにキャラクターを合わせてくれたので、あんなに安心して見られたアニメはなかったです。自分のキャラクターとは全然違うものになっていたので。

――「キャッツ・アイ」の魅力といえば、瞳、泪、愛の三姉妹ですが、それぞれキャラクター(性格)も違っていていいですね。

3人というバランスがいいなって思ったんです。2人とか4人とか偶数になるとけんかして別れてしまう場合もあると思いますし、かと言って5人は多いよなぁって(笑)。

なので、3人だと誰かと誰かがもめたとしてももう一人が間に入ってくれるのでいいんじゃないかって思ったんです。この三姉妹に関してはキャラが違っていて、それぞれの役割も見えやすいのも良かったかなって思いますね。
「キャッツ・アイ」ティザービジュアル(夜)
「キャッツ・アイ」ティザービジュアル(夜) / (C)北条司/コアミックス


■衣装について「僕は一言も“レオタード”と言ったことはないんです」

――レオタード姿というのも特徴的な部分かと思いますが。

実は、僕は一言も“レオタード”と言ったことはないんです。単純に体にフィットしたスーツというイメージで描いていたので、ボディースーツという感じなんですけど、編集部が“レオタード”と言っていたので、そう伝わっていったんだと思います。みんなが“レオタード”って言うから、だんだんとレオタードっぽい形になっていったところはあります。

――元々は「読み切り」として描かれたということですが、それが連載になったことでストーリーを考えるのが大変じゃなかったですか?

あまり大変とは思ってなかったかな。大河ドラマじゃないのでゴールというか、結末を見据えて描く感じではないですし、結構自由にストーリーを作らせてもらった記憶があります。基本的には1話完結で、事件が起きてそれを解決するというパターンが続くわけですから、描いていくうちに後付けでいろんな設定が決まっていったりしましたけど、それは別に足枷になることもありませんでした。

ただ、連載っていつ終わるか分かんないですからね。こっちで決められるものでもないですし。だからこそ、着地点が見えない設定を考えている節はあります。

――着地点を決めてしまうと、そこに向かっていろんなことが収束してしまいますからね。

そうなんです。それに、読者の方は、瞳と俊夫の関係性を面白がってくれていましたから、正体がバレそうでバレない、スレスレのところが良かったんだと思います。

――三姉妹と俊夫がメインのキャラクターですけど、他にも個性的なキャラが登場してきました。今の北条先生の視点で、お気に入りのキャラは誰ですか?

パッと浮かぶのは神谷真人ですね。初期のアニメの「キャッツ・アイ」には出てこなかったんですが、今回は登場するのでうれしいです(笑)。

――「シティーハンター」の冴羽リョウのベースになったキャラクターですよね。原作でも、神谷が登場したことで騒動が広がっていったところもありました。

はい、俊夫とキャッツの両方とつながっているキャラなので、両方に顔を出せるんです。彼をいろんな所に登場させることもできたし、動かしやすいキャラで、性格もいいというか、読者の方も神谷を好きな人が多かったと思います。

■「新しいものを作っていきたいという気持ちが強い」

――先ほど「どんどん変えてください」とおっしゃっていましたが、もし今、ご自身でアニメ脚本を描かれて制作されるとしたら、どんな感じにしたいですか?

そういう考えは全くないですね。やっぱり新しいものを作っていきたいという気持ちが強いので、もしやるとしたら設定を全部潰して全く違うものにしてしまうと思います。もしかしたら“怪盗”ですらなくなるかもしれません(笑)。僕の中では「キャッツ・アイ」はすでに完結した作品ですから、完結した作品に関わるよりも新たな作品を描きたいという気持ちが強いです。

――今だとSNSなどを含めて、アニメ化決定のお知らせへの反応も即座に知ることができますけど、80年代は違いますよね。当時、アニメ化された頃のファンの反応はどうやって知ったんですか?

当時は編集部宛にファンレターを送ってくれたりしていたので、アニメ化や放送されたアニメに対しての反応、反響もファンレターで知ることが多かったです。最初は賛成派と反対派が半々ぐらいだったかな? 今もそうかもしれないんですけど、原作への愛が強い人は「アニメ化はしてほしくない」っていう意見も多くて、「絵が違う」とか「声がイメージじゃない」とか「音楽が嫌だ」とか、いろんな意見がありました。

もちろん賛成派の人たちからは「良かった」という反響も頂いて。アニメ化されるときに、声や音楽についての意見が届くことがあるんですけど、僕自身は声とか音楽をイメージしたことがないんです。“存在しないもの”として描いているので、そういう意味では、「この声はイメージじゃない」と思ったことはありません。

――最後に、今回のアニメ「キャッツ・アイ」をどんなふうに見て楽しんでもらいたいですか?

もうね、受け入れてくれるんなら何でもいいです(笑)。原作に寄せて作ってもらったので、気恥ずかしい感じはありますけど、楽しんでもらえたらいいなと思います。

◆取材・文=田中隆信

※記事内、作品名の「キャッツ・アイ」の『・』はハートマークが正式表記
※冴羽リョウの「リョウ」は、「僚」の“にんべん”が“けものへん”


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