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「トクリュウ頂上作戦」壊滅に向けて警察が本格的な対策に

「トクリュウ頂上作戦」壊滅に向けて警察が本格的な対策に

政府広報オンラインより
SNSや求人サイトで実行犯を募集して離合集散を繰り返し、闇バイト強盗や特殊詐欺などで資金を獲得する「トクリュウ」(匿名・流動型犯罪グループ)壊滅に向け、警察当局が本格的な対策に乗り出した。

警察庁は匿流情報分析室、警視庁は匿流対策本部を新設。昭和時代、山口組壊滅に向けた頂上作戦を、今度はトクリュウをターゲットにした令和版が始まった――。

2024年8~11月に首都圏の住宅や店舗で連続発生した闇バイト強盗事件を巡り、警視庁、神奈川、千葉、埼玉の4都県警合同捜査本部は12月上旬、指示役とみられる20代の男4人を強盗傷害と住居侵入の疑いで逮捕した。

合同捜査本部では一連の事件で実行役や現金.被害品の回収役など51人を逮捕、押収した約750台のスマホを解析、指示役を割り出した。

一連の事件では1人が死亡、22人が重軽傷を負い、約2300万円が奪われている。

指示役とみられる4人の逮捕容疑は、'24年10月17日未明、千葉県市川市の住宅に侵入し、50代女性に暴行を加えて肋骨骨折や眼底骨折などの重傷を負わせた上、現金4万8000円やキャッシュカード、軽自動車などを奪ったというもの。

10月15日に横浜市青葉区で住人の男性(当時75歳)が死亡した強盗致死事件への関与についても合同捜査本部は調べを進めている。

実行役は、「ホワイト案件」などと謳ったSNS上の闇バイトの投稿に応募し、事件に関与していた。

指示役は、「ビリー」「GG」「JOJO」「夏目漱石」「ヘルシンキ」「ゴッサム」「PTA」「ファルコン」「パトリック」など50以上のアカウントを使い分けて、匿名性の高いアプリ『シグナル』で実行役などに指示を出していた。

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2024年に検挙したトクリュウは1万105人

「実行役に加え、バールなどの道具を手配する役や、被害金や被害品を運搬する役、クレジットカードを使う役など細かく役割が分担されていた」(捜査関係者)

トクリュウの資金獲得活動は、特殊詐欺や闇バイト強盗、窃盗、SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺、給付金詐欺、悪質ホストクラブ、悪質リフォーム、ネットバンキングの不正送金、覚醒剤の密売、飲食店からのみかじめ料、貸金業、風俗店経営、AVスカウト供給など多岐にわたる。

警察庁の調査によると、'24年にこうした資金獲得犯罪で警察が検挙したトクリュウは1万105人。罪種別では口座譲渡など犯罪収益移転防止法違反が3293人と最多で、次いで詐欺2655人、窃盗991人、薬物事犯917人、強盗348人、風営適正化違反292人となっている。

全国の都道府県警察はここ数年、トクリュウの実態解明を進めるとともに摘発に注力してきたが、'25年10月、警察庁がトクリュウ捜査や対策の司令塔となる「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」を新設、さらに警視庁も「匿名・流動型犯罪グループ対策本部」を発足させた。

警察庁匿流情報分析室は、全国のトクリュウに関する情報を集約・分析し、グループの実態解明を進めるなど、トクリュウ対策の司令塔となる。

また、警視庁匿流対策本部は、トクリュウに関する情報を一元的に集約し分析、ターゲットを選定し順次摘発していく。

悪質ホストクラブやサイバー犯罪などトクリュウとの関連が疑われる事案についても広く情報収集・分析を行い、違法なビジネスモデルも壊滅に追い込む。

「捜査力強化のため、警視庁匿流対策本部は全国から約100人の捜査員を集めた新組織『匿流ターゲット取り締まりチーム(通称・T3)』を立ち上げた。さらに、警視庁の刑事部と組織犯罪対策部が統合されて“新刑事部”となり、トクリュウ事件を専門に捜査する『特別捜査課』も新設された」(全国紙記者)

捜査員が仮装身分捜査

トクリュウは、シグナルなど匿名性の高いアプリを使っており、メンバーからスマホを押収しても首謀者にまで辿り着かないことが多い。そこで、新たに導入された捜査手法が、警察官が一般の若者を装って闇バイトに応募して潜入捜査を行う仮装身分捜査だ。

捜査員は、偽の免許証などを使って闇バイトに応募してグループに潜入。特殊詐欺や強盗などの発生を未然に防止するとともに、首謀者の割り出しなど組織の全容解明を目指す。

警察が仮装身分捜査を行っているとの噂が広まれば、トクリュウがSNSで闇バイトの募集をしにくくなるとの相乗効果も期待できる。

'25年5月には早くも警視庁の捜査員が仮装身分捜査で特殊詐欺の実行役に応募し、トクリュウのメンバー1人を詐欺未遂容疑で逮捕するなど実績を上げている。

「現在、検討が進んでいるのが、架空名義口座を使った新たな捜査手法です。警察の開設した架空口座をSNSで販売してトクリュウなどの犯罪グループに購入させ、特殊詐欺やSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺などの被害金が入った瞬間に口座を凍結したり、被害金をあえて送金させて行方を追跡しグループの解明にもつなげたりする」(同)

トクリュウ捜査に詳しい関係者は「トクリュウはSNSや匿名性の高いアプリを駆使しているが、最近ではAIを使った新たな手口を生み出し、警察の捜査を免れようとする動きも出ている。

トクリュウは国際的な犯罪ネットワークの中で活動し始めており、警察はAIの専門家を雇い専門性を高めるとともに、諸外国の捜査機関と連携しながら、進化を続けていく必要がある」と指摘している。

山口組頂上作戦のように、トクリュウ頂上作戦は一定の成果を上げられるか。

「週刊実話」1月8・15日号より

配信元: 週刊実話WEB

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