思い当たる節は多々あった

さて今回は何回目の連載でしょう?(写真:新井見枝香/無断転載禁止)
思い当たる節はある。たとえば、何度も訪れている友人のマンションの部屋番号が一向に覚えられず、知らない人の部屋のインターフォンを何度も鳴らしてしまう。それも203と204とかではなく、203と908くらい違う番号だ。ほとんどあてずっぽうである。
その他にも、お気に入りのワインバーの店名を、正しくは「1803」なのに「1984」と人に教えてしまう。これでは一生たどり着けない。乗って来た車のナンバーを覚えたはずなのに、用を足して戻ってきたら、同じような形の知らない人の車のドアを開けようとしたこともあった。
忘れているくせに自信満々で間違えるところが実に不可解で、迷惑な話だ。数字となると、私の記憶力は著しく低下する。この連載がはたして何回目なのかも、正直記憶にない。
「15000」という数字は根深く覚えているニャ!

15000…(写真:新井見枝香/無断転載禁止)
「何月何日の何時に用がある」という記憶の中から数字が抜け落ちると、「何か用がある」という実に役に立たないぼんやりとしたスケジュールの記憶となる。それ故、今日がその何日という当日になっても、思い出せないのだ。
なるほど、私がスケジュール管理できない理由が、テストを受けることで、もはや結果を聞くまでもなくわかってしまった。できればこのテストに支払った〝15000〟という大きな数字も、とっとと忘れたいのであるが、そういうことはいつまでも根深く覚えている。
〝数字が覚えられない病〟という残念な情報を得るためのテストに、国民健康保険は利かないらしかった。ちょっと高すぎだニャ!
(新井見枝香/元書店員・エッセイスト・踊り子)
