クラシックを愛する人ほど、“黒”に慎重になる。けれど、上品さと洒落感を両立させる鍵もまた、この色にある。トラッドを知る人たちは、黒をどう自分のスタイルに落とし込むのか。今回は「Pt.Alfred」店主・本江浩二さん流の着こなしに注目したい。
「Pt.Alfred」店主・本江浩二さん|1960年、富山県出身。数々のブランドの営業、生産を経て88年に独立。94年に「Pt.アルフレッド」をオープン。オリジナルブランドのチノパンは世界随一のラインナップを誇る
ベーシックなデザインの黒アイテムを濃い目のネイビーに合わせるのが王道

「ファッションの入口がアメカジやアメトラなのか、モードなのかでブラックの捉え方が異なると思います。前者だと茶を好み、後者だと黒をすんなりと取り入れられる印象です」と語るのはファッション業界の生き字引でもある本江さん。自身も黒には抵抗のあるアメトラ世代だったが、トレンド周期を重ねるうちに、おのずと取り入れたそう。
「黒はいろいろな色が混ざり合うことができるので、実は意外と色を選ばない。ただトラッド的な視点で考えると、濃紺に合わせるのが個人的にしっくりときます。黒に慣れてない方はまずは濃紺。挿し色を入れると、一気にバランスが悪くなってしまうので、まずはベーシックにまとめるのが正攻法です」
【着用アイテム】Pt.アルフレッドのオリジナルチノ[58118]

30年以上のロングセラーモデルとなっているアメリカンストレートのブラックチノ。限界まで打ち込んだ光沢感のあるツイル生地で、色落ちしにくいように配慮されているため、長年使っても白っちゃけずに、ブラックの精悍さをキープできる。
【コーディネイトのポイント】濃紺と黒の絶妙なトーンを楽しむ

ブラックに合わせるのは同じネイビーでも濃い目を選ぶのが正解。ここで茄子紺のような薄いトーンを選ぶとコントラストが出過ぎてしまう。またパンツがコットンに対して、ネイビーのウールアイテムを合わせて、素材感でも差を出している。
(出典/「2nd 2025年12月号 Vol.215」)