錦織圭などの活躍以降、「テニス選手になりたい!」「子どもをテニス選手にさせたい!」と考えているジュニアや親が多くなりました。しかし、根本的な問題として、どうすればテニス選手になれるのでしょうか? プロになるまでの道筋を詳しく紹介していきます。
今回は、前回に引き続きアカデミー選びとナショナル入りが大切な理由について。解説は、プロとしてツアーを回り、引退後はMTSテニスアリーナ三鷹を運営しながらコーチとして選手を指導している増田健太郎氏です。
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海外のITFの大会に出場するには情報が重要
国内の大会だけではランキングが上がらないので、海外の大会にも出場しにいきます。ここで難問なのが、どの大会に出るかということ。ネットで大会を見ながら考えていくのですが、トップジュニアの親は情報収集に熱心です。
現在14歳以下(※2017当時。以下同)でトップジュニアの末岡大和君の父、善之氏は、兵庫のビーンズドームで行なわれる、コーチのための講習会に参加してITFの情報などを収集したと言います。また、杉山愛さんのコーチをしていた方からアドバイスを頂いたりもしているそうです。
同じ14歳以下でトップジュニアの磯村心君の父は、「やすいそ庭球部」でコーチをしている忍氏。「11歳から12月にアメリカで開催されるエディハーとオレンジボウル(※この2大会は18歳以下がITFジュニア大会で、16歳、14歳、12歳以下は違う)に出場していて、それは岩本功さんが引率してくれていました」と言い、その縁で岩本氏からアドバイスをもらっていたそうです。
岩本氏はナショナルの16歳以下の監督。この遠征にはナショナルとは関係なく引率をされていたそうですが、多くの情報を持っているのは確かです。他にもメーカーさんの知り合いからも教えてもらったりと、様々な方法で情報収集をしていました。
ナショナルに選ばれておくことの重要性
磯村親子はITFジュニアの初大会を韓国の大会に決め、2人で行ってきたそうです。わからないことだらけの中、手探りで学んでいったとか。おそらく2回目は要領がわかってもっと簡単に参戦できることでしょう。しかしこれも親がコーチだから一緒に学びながら遠征に行けたとも言えます。増田氏が言う、「14歳以下、早いかもしれないけど12歳以下から国内の大会で上位にいなければダメです」という言葉の意味がわかってきます。
つまり、「その段階でトップにいればナショナルジュニアチームとして登録されるので、遠征へのチャンスも大きく膨らみます。協会の遠征があるから来ないかと誘われるケースもあります。ただし、大体自腹で、協会が負担してくれるケースは少ないと思います。ただ、引率者は付いてくれます。そのルートに乗り遅れると、スムーズに移行できなくなるので、全て自分で行なわなくてはいけないため、とても苦労することになります」。
ナショナルジュニアチームにいれば、情報も入手しやすくなりますし、遠征に行くチャンスも膨らむのです。12歳以下から全国大会で優勝していた奈良くるみ選手は、初めて海外遠征に行ったのは12歳以下のエディハーとオレンジボウルで、「私の時には、ジュニアの遠征は全部、協会の遠征でしか行ったことがありません」。その流れに乗ってプロになったというわけです。
しかし、12歳ぐらいの時期は、『勝負にこだわらず、ここで勝てなくても、将来勝てるようなテニスを身に付けよう」と言われるのもよく聞きます。この兼ね合いはどのように付ければいいのでしょうか?
増田氏によれば、「絶対勝っておきたいものは、勝ちに徹するべきです。自分の将来を左右する全国タイトルものなどですね。普段の小さい大会まで勝ちにこだわって小さいテニスをする必要はありません。
その時、コーチたちは将来のことを考えて、ポテンシャルを感じられるダイナミックなテニスを身に付けるために、大会に出るというテーマを持ってやっていると思います。ただ、全国につながる予選が始まった時は、そんなことを言っている余裕はなくなります。将来のナショナルのルートに乗れるような大会はしっかりと勝つ。これが大事です」
早い年代から海外遠征を経験するようになった
ナショナルに選ばれることは当然大事ですが、時代は刻々と変わってきており、それだけでは十分でないかもしれません。今のジュニアたちはもっと早い段階から海外遠征を経験しています。
2017年の全国小学生の決勝を戦った虫賀姉妹、ベスト4の石井さやかさん、16年の全国小学生優勝の久保杏夏さんの4名は小学3年生の時に約1カ月間アメリカに遠征に行き、そこで刺激を受けて、それ以降は個人的に遠征に行くようになったと言っていました。
14歳以下のトップジュニアである池田涼子さんは富士薬品が女子テニスをサポートする、「富士薬品セイムス ワールドチャレンジプログラム」に参加して遠征のサポートを受けています。これも親がどれだけ情報を収集でき、行動に移せるかということが影響してくるでしょう。
ITFジュニアの大会に出場できる13歳までに実力をつけておく。そのために親はできる限り情報収集を行なって、少しでも可能性を広げる。これがプロになるために、重要なことなのです。
取材・文●スマッシュ編集部
※スマッシュ2017年10月号から抜粋・再編集
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