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正確さを要求される公認会計士は、『ScanSnap×AI』をどう活用しているか?【ふかほり税理士事務所】

Claudeの文字認識にどのぐらい負担をかけるかの設定が難しい

仕訳については高速モードと、詳細モードが作ってある。全部を詳細モードにすると時間がかかり過ぎてタイムアウトになるから、高速モードでザッと見て、その後必要な部分だけ詳細モードにするのだそうだ。

たとえば『道路公団』と入っていると、高速道路代になる。コンビ二の買い物なども内容まで読んで、ボールペンやA4ファイルがあると消耗品費になる。

ただ、これが万事詳細モードになってしまうと、コンビニでお茶や弁当を会議費として買っていて、その時にボールペンも買っていると、1枚の領収書を分けなければいけなくなってくる。厳密に言えばそうなのだが、あまり少額のものを厳密にやっていると実務的でなくなる部分も発生する。そのあたりの実務的なチューニングが難しいところになりそうだ。

「設定していると分かるんですが、人間はとても複雑な判断をしているんですよね。逆に人間について理解が深まります。システムに反映しようとすると、人間の『いい意味での曖昧さ』というものの表現が実に難しいんです」と深堀さん。

同じペットボトルのお茶でも福利厚生費なのか会議費なのかは、誰が飲むのか、どういう状況で使われたのかによって違う。金額が小さいからそこは大ざっぱに……とか、金額が大きいからここは正確にということもある。人間は実に複雑な判断をしている。たとえば、会社の経費で、遠距離をタクシーで移動してしまうのは贅沢だとしても「この時は緊急だったんだな」とか、「この場所は公共交通機関がないから」「終電以降の時間だから」など、時間や状況から判断できるのは人間だ。

iX1600にも要望がある

深堀さんはiX1600を便利に使っているそうだ。でもまだいくつか要望はあるという。

「たとえば極端に長い領収書。間にクーポンが入ってるようなの。もちろん、1枚で読み込ませれば読めるんですが、重ねて読み込ませた時に読み込めない。逆に、パーキングメーターの小さな領収書。あれも重ねるとダメですね」

ホチキスも検知して欲しいという。「自分で気をつけてても、お客様の書類がホチキス止めしてあって、巻き込まれてクシャクシャになるっていうのもありますよね。理想は、ホチキス止めしてあっても、折り畳んであっても読み取ってくれると一番ありがたいですが……無理ですよね(笑)」しかし、そういうところに労力がかかるのは事実なのだ。

AIを良く理解して、使いこなすことが大切

AI利用に関しても意見があるという。

「AIにみなさん期待しすぎな部分があると思うんですよね。『人工知能』っていうぐらいだから、何でもできる……って思い過ぎて。『AIが間違った』『オレの期待したAIじゃない』とかなってしまう。AIは理解して、それでGASなどのプログラムを書くとか、そういう使い方になるのではないかと。マネーフォワードみたいな会社が、そこを理解してアプリで解決してくれるか、それとも個人個人が自分で自分用のアプリを作るようになるんじゃないかと思います。数年後には、若い人達は『自分が使いたいソフトウェアをAIに協力してもらって作るから、市販サービスは要らない』みたいなことになるかもしれません」

AIがあれば、弁護士や会計士の仕事がなくなる! といった意見もあるが、そうはならないと言う。

「結局、文化や背景みたいなものがあって、そのお客様、状況みたいなものに対応しなければなりませんから。もちろん、作業はあるていど簡略化されるとは思いますが。また、長い間培った経験値のある人の仕事はなくならないと思います。ただ、単純作業みたいなところは簡略化されるので、逆に仕事経験が浅い人の仕事はなくなる。すると、10年、20年経った時に、訓練された経験値のある人がいなくなるというような問題は出てくるかもしれません」とのこと。

まだまだ過渡期ということで、これからもAIに関してはいろいろと変化していきそうである。

(村上タクタ)

配信元: Dig-it

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