そんな「セックスの後の違和感」に悩んだ経験がある女性は、実は珍しくありません。
これらの症状は「膀胱炎」という病気のせいかも。
膀胱炎は恥ずかしいことでも、不潔なわけでもなく、女性のからだの特徴などによってセックス後、誰にでも起きることがあります。
この記事ではセックス後に膀胱炎になってしまう理由と、習慣的に取り入れてほしいケアについて、あんしん漢方薬剤師山形ゆかりさんに解説していただきます。
あなたのからだを守る知識を、一緒に身につけていきましょう。
実はみんな悩んでる?セックス後膀胱炎は“女子あるある”?

セックス後の膀胱炎は、決して珍しい症状ではありません。
デリケートな問題のため、なかなか相談しづらくて悩んでいる人もいると思いますが、実際には多くの女性が経験しているとされています。
どうしてセックス後、膀胱炎になるのか理解するだけでも、心がぐっと軽くなりますよ。
膀胱炎になりやすいからだの仕組み
膀胱炎は、膀胱の内部に細菌が入って増えてしまうことで起こる炎症です。日常的には免疫機能や排尿によって細菌が排出されるため問題ありませんが、細菌の侵入量が増えたり、膀胱内で留まりやすい状況が重なったりすると発症リスクが上がります。
セックス中に指や陰茎、潤滑剤などが膣口。
とくに女性は男性より尿道が短く、尿道口から膀胱までの距離も近いため、もともと膀胱炎になりやすいからだのつくりをしています。
そのためセックスの際、指や陰茎、潤滑剤などが膣口周辺に触れると、細菌が尿道口から膀胱へ入りやすく、膀胱炎が起こりやすくなるといわれています。
「私だけの悩み?」と思わなくて大丈夫。
女性のからだの仕組みから考えると、誰にでも起こりうる症状なのです。
衛生的理由
男性器には、皮膚や粘膜に常在するさまざまな菌が付着しています。それらの菌は通常、からだに害を与えるものではありませんが、性交時に尿道周辺へ移動して女性の膀胱へ侵入し、膀胱炎のきっかけになることがあります。
これは「大切なパートナーが不潔」という意味ではなく、排泄に関わる器官である以上、細菌が存在することは自然なことです。
ただ、デリケートな粘膜同士が触れ合うタイミングでは、普段より菌が侵入しやすい状態になるため、膀胱炎が起こりやすくなってしまいます。
セックス前には自分もパートナーも手洗いとシャワーで細菌を洗い流し、膀胱炎のリスクを減らすといいでしょう。
いたわりケアでセックス後の膀胱炎をブロック!

セックス後の膀胱炎は女性共通の悩みですが、できたら膀胱炎に悩まず過ごしたいもの。
セックス後にはいたわりケアで膀胱炎をブロックしましょう。
ここでご紹介する方法は、セックス後だけでなく、日常生活の膀胱炎予防にもつながるので、ぜひ毎日の生活に取り入れてください。
トイレでサッとアフターケア
セックス後はなるべく早く排尿するのがおすすめです。尿には膀胱に侵入した細菌を体外へ押し流す働きがあるため、排尿は一番簡単で効果的な防御手段です。
尿意がなくても、少しお水を飲んでトイレへ。
「面倒だな」と思うときこそ、未来の自分のためにひと手間をかけましょう。
ただし、温水洗浄便座の使い過ぎには要注意。
長時間の温水洗浄は粘膜バリアを弱らせ、かえって菌が侵入しやすい状態をつくることがあります。
清潔にするのは大切ですが、洗いすぎないこともポイントです。
また、拭き取り方も大切なポイント。
トイレットペーパーは前から後ろへ拭きましょう。
膀胱炎の原因になる細菌の多くは腸内由来の大腸菌です。
肛門側から尿道に菌が移動することで膀胱へ侵入しやすくなります。
拭き取る方向が逆だと、肛門側の菌を尿道に近づけてしまうため、知らず知らずのうちに膀胱炎のリスクを上げてしまいます。
水分補給で内側からキレイに
「菌を体外へ押し流す」という意味で、水分補給は欠かせません。十分な水を飲むと尿の回数が増え、細菌を物理的に排出することができます。
反対に、体内の水分が不足すると尿が濃くなり、膀胱の中で細菌が増えやすくなるのです。
温かいお茶や常温の水など、自分が飲みやすいものを選べばOK。
ただし、アルコールやカフェイン入りの飲み物は、睡眠の妨げになるので避けましょう。
気持ちよく過ごすために、セックス後の水分補給を習慣にしてください。
医療機関の受診
膀胱の違和感が続く、痛みが強い、発熱している……。そんなときは、迷わず医療機関を受診しましょう。
膀胱炎は、泌尿器科だけでなく、婦人科や内科でも対応できます。
膀胱炎を放置してしまうと、菌が膀胱から腎臓へ進み腎盂腎炎(じんうじんえん)を招くこともあり、発熱や悪寒を伴う重い症状につながることがあります。
膀胱炎は抗菌剤で治療できるので、悪化させてしまう前に、早めに医療機関を受診してあなたのからだを守りましょう。
