「今夜はよくなかった。なんだかな、よくなかった」
試合後のリング上でそうコメントしたのは、ボクシング4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥である。
12月27日、サウジアラビアのリヤドで開催された、WBC世界同級2位アラン・ピカソ(メキシコ)を迎えての防衛戦。3-0の判定勝利でピカソを退け、元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス、元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(ともにアメリカ)を超え、世界戦27連勝の世界新記録を樹立した。早いラウンドでの井上のKO勝ちを予想するボクシング界OBの声は多かったが、井上は攻めきれず、淡々とした試合展開に終始した。
この試合を、専門家たちはどう見たか。まずは「K-1 WORLD MAX 2003・2008」世界王者に輝いた元キックボクサーでタレントの魔娑斗は、自身のYouTubeチャンネル「魔娑斗チャンネル」で、井上のコメントを否定しつつ、
「調子が悪かったじゃなくて、ピカソが強かったんでしょ。相手も(井上戦までは)負けナシの選手だからね。33戦32勝(17KO)1分だからね。相手の体が大きくなって耐久力が上がって、今まで倒してきたパンチが、そこまで効いてなかったっていうね。ちょっと違うぞ、っていうのはあるかもしれないね」
世界王座防衛13度を誇る元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏は自身のYouTubeチャンネル「具志堅用高のネクストチャレンジ」で、ピカソを称賛。
「うまい減量してます。素晴らしいコンディションで試合してますよ。たぶん計量後の体重もそんなに上げてないと思います。だからボディも耐えるんですよ。今までの選手なんかみんな(井上の)ボディが効いて、KOされてますから」
元WBA世界ライトフライ級王者・渡嘉敷勝男氏の見解はどうか。元WBA世界ミドル級王者・竹原慎二氏のYouTubeチャンネル「竹原テレビ」で、ひとつの提案をしている。
「スーパーバンタムでは相手がいないんだから、中谷(潤人)とやるよりも、上の階級のフェザーで5階級制覇した方が嬉しいんじゃないかと思うよね、ファンも」
来年5月に予定されている中谷潤人との東京ドーム決戦よりも、フェザー級挑戦を勧めたのだった。
しかし一方で、元世界2階級制覇王者の亀田大毅氏は自身のYouTubeチャンネル「亀田大毅」で、さらなる階級アップには否定的かつ「条件付き」の意見を展開。
「ピカソ選手が少しデカかったような気がするんですよね。ということは、井上選手ってスーパーバンタムがギリギリなのかな。フェザーってピカソ選手よりもっと大きな選手と戦うってことなので、ここまでくると井上選手に負けてほしくもないんで、サイズ(高身長)のある中谷選手と1回やってみて、フルマークか、もしくは終盤倒すとかしてフェザーに上げてもらいたいな」
ちなみに今回のサウジアラビア興行では中谷もスーパーバンタム級転向初戦のリングに上がったが、これまた冴えない判定勝ちだった。
両者ともに「黄色信号」が灯る試合を見せてしまったことで、なにやら先行きがわからなくなってきたような…。
(所ひで/ユーチューブライター)

