昨年11月のデビスカップ・ファイナルズを最後に引退した男子テニス元世界1位のラファエル・ナダル氏(スペイン/39歳)が、スペイン紙『AS』のインタビューに応じ、自身のキャリアや引退後の生活、将来への考え方まで幅広く語った。その中で、ビッグ3に勝つために採っていた戦い方についても詳しく明かしている。
何度も対戦を重ねるライバルに対して、秘策を用意することはできなかったと語ったナダルだが、ロジャー・フェデラー氏(スイス/44歳)に対しては、当初から明確な戦術を持って臨んでいたという。
「特に最初の頃は、プランは明確だった。高いボールでバックハンドを攻め続ける。そうすると彼は次も同じショットが来ると構えて足が止まる。その瞬間にフォア側へと展開するんだ」
ただし、これを徹底するのは簡単ではなかった。メンタル面の負担が大きかったという。
「精神的な忍耐を強いる戦術だった。バックをしつこく攻め続けることが彼の精神的な疲労につながるとわかっているが、別の方向に打てる場面も多かったから。いつもやりたい戦術ではないけど、最も確実な方法だった」
一方、ノバク・ジョコビッチ(セルビア/38歳/現世界ランキング4位)との対戦については、不確定な要素が大きかったと振り返る。特にキャリア後半は、自身のフィジカルコンディションが戦術選択に直結していたという。通算成績が7勝20敗と分が悪かったハードコートでは、その傾向がより顕著だった。
「ハードでは、特にキャリア終盤になると、フィジカルが特定の負荷に耐えられなくなり、本当に厳しかった。勝機を見出すには身体が応えてくれる必要があったが、実際にはそうはいかなかった。そうなるとポイントを短くせざるを得ない。ただ、ノバクを相手に、わずか2、3球でポイントを奪うのは非常に難しい。サービスをより攻撃的にしてみたこともあったが、うまくはいかなかった」
ジョコビッチとのラスト10回の対戦戦績は、クレーで5勝2敗(キャリア通算では20勝9敗)、ハードで0勝2敗(同7勝20敗)、芝で0勝1敗(同2勝2敗)。ナダルは「特に最後の数年は、クレーや芝のほうが自分の可能性は大きいと感じていました」とも振り返っている。芝では勝利がなかったものの、2018年「ウインブルドン」準決勝では史上2番目に長い5時間15分の死闘を展開。結果はジョコビッチの勝利に終わったが、最後のポイントまで勝敗の行方が分からない大接戦だった。
なお、インタビューでは現在テニス界で高まる期待――フェデラーが示唆したシニアツアー構想についても触れられた。
「もし楽しくて、意義があり、やりたいと思えることができるなら...断る理由はない。再びラケットを手に取る可能性を否定しないが、そのためには徹底した準備が必要だ。プレーする以上、万全な状態でいたい。今の自分はそうではないし、それなりの時間が必要になるだろうね」
引退した現在も世界中で関心を集めるナダル。シニアツアーでの復帰の可能性も含め、その動向は今後も追われていくことになりそうだ。
構成●スマッシュ編集部
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