東京都は、知事が都政の重要課題について次世代を担う若者たちから直接意見を聞き、対話することを目的としたイベント「知事と議論する会」を毎年開催。
2025年は「AIなどのデジタルで叶えたい『未来の東京』」をテーマに、都内4つの高校の代表生徒らから、未来の東京についてのアイデアが発表されました。
「知事と議論する会」2025年のテーマはAI・デジタル技術
「知事と議論する会」は、子ども・若者の目線に立った施策を推進するため、高校生などが意見表明を行い、直接都知事と語り合うイベント。
今年度のテーマは「AIなどのデジタルで叶えたい『未来の東京』」となっており、知事へAIなどのデジタル技術を活用したアイデアを提案するべく、都内4校・12名の生徒が登壇しました。

本イベントに登壇した小池百合子都知事は、

「生成AIは、私たちが知るようになってから3年も経ってないんです。この間の進化たるや、もう“日進月歩”という言葉では足りないぐらい、もう分・秒とものすごいスピードで進化していると思うんです。こういった中で、AIなどのデジタル技術を活用し、イノベーションを加速させるということで、いかに明るい未来を切り開けるか。ここが勝負のしどころだと思うんです。」
と、AIを活用して暮らしをどのように豊かにして、どのような未来が描けるのか、ということをテーマに、次の世代を担う若者たちから多様な意見を聞きたいのだと語りました。
事前に集まった「AIなどのデジタルで叶えたい『未来の東京』」についての意見は、なんと1,000件を超えたそう。
中には実現が待たれる「空飛ぶ車」などについての意見も。

小池都知事は来年度中に、ベイエリアなどで空飛ぶ車の実証実験を予定しているなど、様々な施策が実現に向け進められていると明かしました。
高校生たちの具体的な提案に知事も感心「大きなヒントをいただいた」
そして、過去に「知事と議論する会」に出演したOB・OGや保護者らが見守る中、いよいよ高校生たちのプレゼンがスタート。
1チーム目は、都立新宿山吹高等学校「東京お助け隊」が、行き先案内・観光提案、音声チャットAIなど、複数の機能を搭載したスマートグラスのシェアリングサービスを提案。


区市町村の観光PRや経済効果などのほか、人口過密の緩和やお出かけによる余暇の充実といったメリットが見込まれると発表しました。
続く2チーム目は、渋谷教育学園 渋谷高等学校「未来Makers」による、行政手続きや生活サービスを一元化したアプリ「FASPO」構想を提案。


東京都に住む駐在員とその家族の生活をワンストップで支える機能で、外国人にとっても住みやすい都市を目指そうと語りかけました。
3チーム目は、東京電機大学高等学校「SUIGAI buster.」

1人で登壇した本チームは、都民を内水氾濫から守るための、AI予測による統合的な防災システムを提案。

東京では許容量を超えた大雨によって起きる「内水氾濫」が多いとし、都営バスなどのドライブレコーダーや、AI予測によって事前対策を早期に打ち出せる防災システムによって、都民が安心して暮らせる東京を作りたいと、堂々と語りました。
そして最後の4チーム目、東京学芸大学附属国際中等教育学校「Crossroad Tokyo」は、高齢者の孤立世帯の増加、健康・生活課題のサポートを目的としたAI搭載ロボット「もの助」を提案。


内蔵カメラによる孤独高齢者の見守り、AIによる異常察知機能、またカスタマイズによって所有者とのコミュニケーションを行える機能を搭載することで、世代を超えて暮らしやすい街へと導く架け橋になるとプレゼンしました。
全チームの提案を聞いた小池都知事は、
「地域の魅力の発信、国際都市としての環境作り、防災の高度化、高齢者が安心できる暮らし、どのテーマも全部カバーしてくれました。未来の東京を背負うみなさんが素晴らしい提案をしてくださったことを、とても心強く思います。都民の全員が輝いて、そして一人ひとりが幸せを実感できる、そんな東京を目指しております。(世界の都市総合力ランキングで)世界一を目指す目標がより明確になりました。今日の皆さんの発想に、東京の未来を切り開く大きなヒントをいただいたと思っています。」
と今回の提案を高く評価しました。
イベント後半では、MCを務めたタレントのハリー杉山さん、ITAMAE1期企画メンバーの小目谷藍美さんと高校生らのクロストークを実施。
今回発表された提案内容についてハリー杉山さんは、

「素晴らしい、びっくりしました!ここまで形になっていて、一つひとつが『すぐ形にしたら、東京という街の魅力をさらに伝える力が本当にある』と感じました。」
と感心したと同時に「高校生(子ども)」というフィルターを通して見ていたことを謝りたくなったほど、素晴らしい提案だったとコメント。
小目谷さんも、本提案は各チームがわずか2〜3ヶ月という期間で、ゼロベースから作られたものだと明かされ驚かれていました。
イベント終了後、チーム「Crossroad Tokyo」の4人にお話を伺うと、

「テレビで観ていた東京都のリーダーを間近で見ることができて、しかも目の前でお話を聞いたり、話し合ったり機会をいただいてすごく嬉しかったです。小池都知事に実際に会って質問をされたことで、自分たちの案がより具体化されたという印象を受けましたし、いま東京都が取り組んでいる今後のプランも紹介してくださったので、より東京都の未来を強く考えるきっかけになりました。」
と、メンバーたちは口を揃えて非常に良い体験だったと語りました。
メンバーの1人が祖父を亡くした実体験からできたという今回の提案。
メンバー同士で何度も電話会議を行い、意見同士をぶつけたそうで、それが提案内容のブラッシュアップに繋がったとともに、大変だったことでもあると振り返りました。
もの助は短期・中期・長期と具体的な普及ビジョンまで考案されていましたが、その中でもの助が実現し、普及する中で「(遠い未来も含めて)将来的に搭載できたら嬉しい機能」について聞くと、

「(現在の提案の時点では)タブレット部分とぬいぐるみ部分が分かれている想定で、そのぬいぐるみの部分だけ持ち運んでも、出先では可愛いがるぐらいしかできない。タブレット部分の機能を内蔵して、外でも使用できるようになってくれればいいなと思います。」
「高齢者の方々は足腰が弱く、自分で買い物に行けないという悩みを抱える方もいます。もの助はその点を助けられる機能がなかったので、もし技術が進歩すれば、もの助が買い物を代行してあげたり、落ちたものを拾ってあげるようなお手伝い機能で、介護士の方々の負担も軽減できたらいいなと思います。」
「かなり技術が発展しないと難しいと思いますが、旅行に行きたい・家族と触れ合いたいという想いを抱える方に、それをAIで再現し、実際に旅行したり家族と過ごしているような感覚になれる機能があると、(孤独感も解消できて)いいなと思いました。」
「私もすぐ実現することは難しい機能なのですが、私の祖母は年齢を重ねるとともに料理をすることが難しくなってきたと聞いたので、例えば料理を補助してくれるような機能があれば、日々の負担を軽減してくれるのではないかと思います。」
と、それぞれが孤立して暮らす高齢者のことを想った機能を教えてくれました。
都民の生活をよりよいものにする提案を、都知事に直接提案した本イベント。
どれもが実現してほしいプランばかりで、東京の未来を担う素晴らしい若者が育っていることを改めて実感できたイベントとなりました。
