『STARDOM DREAM QUEENDOM 2025』両国国技館(2025年12月29日)
ワールド・オブ・スターダム選手権試合 ○上谷沙弥vs安納サオリ×
プロレス大賞MVPの上谷が安納を熱戦の末に撃破し、ワールド王座V8。2026年に向けて、「この私の生きる場所はスターダムのリングってことだ」と宣言した。試合後、スターライト・キッドが次期挑戦者に名乗りを挙げた。
昨年末の両国大会でワールド王座初戴冠を果たした上谷は、7度の防衛を重ねて、1年間赤いベルトを死守。女子プロレス界どころかプロレス界の中心に立ち、プロレス大賞MVPも受賞して、再び両国の舞台に立った。
8度目の防衛戦で迎え撃つのは赤いベルト初挑戦となる安納だ。前哨戦となった12・24後楽園大会では安納が上谷からピンフォール勝ちで弾みをつけたばかり。上谷は来年の新日本プロレス1・4東京ドーム大会で、IWGP女子王者・朱里とSTRONG女子王座を懸けての二冠戦も控えており、負けられない状況での一戦となった。
6563人(満員札止め)の観客が見守る中、パイプイスをリングに持ち込み、巧みに使った上谷が先制。ラフファイトと正攻法を上手く入れ換えながら、安納を圧倒すると、場外戦に持ち込む。安納を観客席に投げつけると、チェーンを首に巻きつけて、マス席まで連行。チェーンで痛打すると、安納は階段を転げ落ちた。
しかし、リングサイドに戻ってきたところで、安納がエプロンでのジャーマンで反撃ののろし。スターダムでは見せないヒールファイトを披露する。チェーンを奪い、首に巻きつけると、鉄柱の金具を使って絞首刑。コーナー最上段からプランチャも敢行した。さらに、フィッシャーマンズスープレックスを連発。上谷もニールキックやスワンダイブ式プランチャで反攻したものの、止まらない安納はロコモーション式ジャーマンで追い討ち。上谷の雪崩式フランケンには、同じく雪崩式フランケンを返すが、フロントハイキックは相打ちにに終わり、2人は同時に崩れ落ちた。
2人は必死に立ち上がると、ビンタ合戦を展開。安納は両手を背中で組んで、あえてビンタ連打に仁王立ちしてみせる。意地でも倒れない安納だったが、上谷はスキを突いてスタークラッシャーで突き刺した。一気に旋回式スタークラッシャーでトドメを狙うが、安納は間一髪で不時着すると、ドラゴンスープレックス、タンタンドルと大技ラッシュへ。ジャパニーズオーシャンスープレックスもさく裂する。
必死の抵抗を見せた上谷は、フランケンシュタイナーで形勢打開。スピンキック、旋風脚と蹴り技を唸らせると、手首を固めた状態のままフロントハイキックを乱射した。安納がムクリと立ち上がってどよめきを誘っても、上谷はスクールボーイスープレックスで追撃。そして、カミゴェを仕掛けるも、切り返した安納は掟破りの逆カミゴェからリストクラッチ式変型ジャーマンをズバリ。決定的な場面だったが、上谷は肩を上げた。
フロントハイキックの打ち合いになると、鼻血を流しながらも上谷は競り勝ち、スタークラッシャーが再度さく裂。安納はキックアウトすると、旋回式スタークラッシャーを崩してスペシャルポテリングで丸め込んだものの、ギリギリでキックアウトした上谷はフロントハイキックで蹴り倒す。今度こそ旋回式スタークラッシャーで突き刺して、3カウントを奪った。
上谷がワールド王座V8を果たし、赤いベルトの王者として越年が決定した。マイクを持つと、「これが現実だよ。残酷だろ。沙弥様のこのかわいい顔を汚くしやがってこの野郎」と安納に怒りをぶつける。一方、安納は「いつもと変わらんて」と返して笑いを誘うと、「あんたこそさ、こんな顔にさせて、さらけ出させて。でも、ここまで出さな、上谷沙弥と向き合えへんもんな。覚えとけ。私は諦めへんからな」と言い返す。しかし、リリングサイドでなつぽいと抱き合うと、たまらず号泣した。
安納と入れ代わるようにしてキットが現れる。キッドは「上谷のダブル受賞とか、イヤでも視界に入ってくる活躍、いてもたってもいられなくなっちゃいました」と話し始めると、「今まで上谷にはイヤというほどの悔しさを見せられてきた。だから、私が上谷の時代を終わらせてやる」と宣戦布告した。
一方、上谷は上から目線で「おい、かわいい小猫ちゃんよ。いつも沙弥ちゃん、沙弥ちゃんってキーキーうるせえんだよ。でも、嫌いじゃないよ。いいか、やろう。沙弥様を楽しませてくれるなら、いつでもどこでもやってやるよ。小猫ちゃん」と迎撃表明。キッドは「いつでもどこでも…じゃあ、2026年、一番最初のビッグマッチでやれよ。約3年前のワンダー戦の悔しさを忘れてないからな」と言い返して、両者の対戦が決定的となった。
リングに残った上谷は「しもべたちよ!」と叫んだものの、感極まって言葉が続かない。それでも「上谷」コールが巻き起こると、「この1年振り返ると、いろんなことがあったけど、改めてわかったことがある。この私の生きる場所はスターダムのリングってことだ! 来年もお前らが見たことのない景色に連れていってやるから、まだまだ沙耶様から目を離すなよ」と吐露。最後に「しもべたちよ、ひざまづけ。2025年、永遠にさようなら」と2025年のスターダムを締めくくった。
バックステージでは涙ながらに「私はまだまだこれからもプロレスのために生きる。そして、スターダムのリングで黒く光り輝き続ける。来年もまたお前らが見たことのないところまで連れていってやるから。全員沙弥様についてこいよ」と宣言した上谷。休む暇もなく、新春の新日本1・4東京ドーム大会では朱里との2冠戦が控えているが、上谷は歩みを止めることなく、2026年もスターダム、そして日本プロレス界をけん引する覚悟だ。
【上谷の話】「サオリよ、沙弥様のこのかわいい顔をボコボコにしやがって! ムカつくな、この野郎!! なんか途中でちょっと記憶が飛んで、全然わからないけど。でも今、手元に赤いベルトがある。この1年間、本当にいろいろなことがあって…。(泣きながら)毎日、気が狂いそうで、逃げ出したいこともいっぱいあったけど、自分から逃げなかったし、プロレスと毎日毎日向き合い続けた。だからこそ、誰も手に入れられないものを手に入れられたと思うし、私はまだまだこれからもプロレスのために生きる。そして、スターダムのリングで黒く光り輝き続ける! 来年もまだお前らが見たことのないところまで連れていってやるから。全員沙弥様についてこいよ」
【安納の話】「この戦いを続けていく中で、私はいつの間にか、どんどんワールドのベルトが欲しくなってきて。上谷と戦って、体で感じて会話する中で、上谷のことをたくさん知ったし、上谷が背負ってみるものやったり、人を引きつける魅力やったり、私にはないものをたくさん持っている、あの子は。私はあの子にはなれない。あの子みたいなやり方はできへん。でも、私は私のやり方でプロレスを届けたい。私は無愛想かもしれへん。ファンサービスもしいひん。笑顔も振りまかへん。手も振らへん。だけど、プロレスが大好き。これからも戦い続けるし、リングに立ち続ける。だから、これからも見ていてください。私は諦めないから」
【キッドの話】「次期ワールド・オブ・スターダムに挑戦しますスターライト・キッドです。2026年は徐々にいこうかなとか考えてたんですけど、上谷のあの活躍っぷりを見て、いかなきゃいけないなって思いました。正直、上谷は2025年本当にすごかったと思います。史上初を獲り、テレビにも出演して、週プロの表紙を飾り、私がやりたかったことをすべてあいつは持っていきました。私は上谷にとんでもない数の悔しさをたくさん叩きつけられてきましたね。ワンダーチャンピオンに私があった時も、今年デビュー10周年であり、ホワイトタイガーとして頑張ってきたけども、上谷も赤も上回ることができなくて、本当にそれが悔しかったというか。それだけじゃないです。もうずっと私は上谷のことを意識し続けてきたのもあったんで。数え切れないぐらいの負けもあると思います。上谷がデビューしてすぐのその場飛びシューティングスターでの負けとか、スタークラッシャーを出した相手も私が初めて。5★STARだったり、他にもあると思うし、ワンダーだったり、東京ドームだったり、去年の5★STARの準々決勝だって私が負けました。上谷にはことごとく散々と私の邪魔をされてきたんですよ。もうそれがふつふつと心の中で煮えたぎっているというか、爆発しそうな勢いがあるので。だから、行動に出てしまいました。でも、ワンダーの試合とかは納得いっている部分はあったんですけど、何かがずっと満たされていない感じがあって。それは上谷の存在…。まあ、私はやっぱりずっと邪魔されてきているんだなって改めて思いましたね。だから、散々邪魔されてきた私が、今の上谷からすべて奪う相手に相応しいんじゃないかなと思います。まあ、赤への挑戦は私も初めてなんで、自分への挑戦でもありますけど、上谷からすべて奪ってやりたいと思います」

