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阪神のリーグ優勝を支えた大山の“選球眼”と“勝負強さ”。FA移籍の桑原が残した「100%」の記録とは【リーグ1位の男たち:セ・リーグ野手編】<SLUGGER>

阪神のリーグ優勝を支えた大山の“選球眼”と“勝負強さ”。FA移籍の桑原が残した「100%」の記録とは【リーグ1位の男たち:セ・リーグ野手編】<SLUGGER>

個人タイトルの対象ではなくとも、今季の選手個々の活躍や貢献度を語る上で見逃せない部門のベスト3を紹介する。今回はセ・リーグの野手編だ。(※率系部門は規定打席到達者18人が対象)

■OPS(出塁率+長打率)
1.佐藤輝明(阪神).924
2.森下翔太(阪神).813
3.キャベッジ(巨人).781

 持てる才能を完全に開花させた佐藤は、生え抜きで球団3人目の40本塁打&100打点をクリアして打撃二冠を獲得。長打率.579とともに総合的な打力を測るOPSでも2位の森下に100ポイント以上の差をつけるリーグベストで、当然のようにMVPにも選ばれた。なお、故障でシーズンの半分ほどを棒に振った村上宗隆(ヤクルト)は1.043、岡本和真(巨人)も1.014と格別の数値を残している。

■四球率(四球÷打席)
1.大山悠輔(阪神)12.6%
2.佐藤輝明(阪神)9.5%
3.近本光司(阪神)9.4%

 3年連続でリーグトップの四球を記録した阪神勢がベスト3を占めた。大山は出塁率.363がリーグ2位で惜しくもタイトルは逃したが、2年ぶりにリーグ最多の74個を選んだ。同じ虎打線では、坂本誠志郎が規定打席に届かなかったが四球率12.8%で大山を上回り、髙寺望夢も少ない打席数ながら11.3%など、チーム全体で出塁に対する意識の高さを感じさせた。
 ■三振率(三振÷打席)
1.小園海斗(広島)8.2%
2.岡林勇希(中日)8.9%
3.泉口友汰(巨人)10.5%

 首位打者と最高出塁率のタイトルを得た小園を筆頭に、打率でリーグ3位の岡林と2位の泉口がベスト3入り。対象選手ではないが、松尾汐恩(DeNA)は8.9%と3傑級の数字を残して年齢離れしたコンタクト能力を示した。巨人のキャベッジが30.3%でリーグワーストだが、それを上回ったのが同じ打線のリチャードで35.6%だ。トレード移籍後に11本塁打を放つなど開花の兆しも、粗さは変わらない。

■BB/K(四球÷三振)
1.岡林勇希(中日)0.895
2.小園海斗(広島)0.894
3.泉口友汰(巨人)0.78

 三振率ベスト3の3人が、四球との比率において優れた打席アプローチを示した。1位の岡林は前年の0.47から倍近くまで向上と、目覚ましい成長を果たしている。復活を遂げた上林誠知(中日)の0.20はリーグワーストで、積極的に打ちに行くスタイルは来季への懸念材料か。岡本和真(巨人)は限られた出場ながら四球と三振が同じ33個で、K/BB1.00と成熟を感じさせた。

■得点圏打率
1.小園海斗(広島).413
2.佐野恵太(DeNA).359
3.大山悠輔(阪神).316

 チャンスでの小園は打率4割超えと打ちまくり、得点圏での打率上昇値はリーグで唯一1割を上回っていた。それ以上とも言える打棒を振るったのが岸田行倫(巨人)で、得点圏でのOPS.971は約200ポイントも上昇と、ここ一番の場面では最強打者化。一方、キャベッジ(巨人)は得点圏打率.177がリーグワーストと苦戦し、出場自体が少なかったオースティン(DeNA)も.180で前年の勝負強さは見る影もなし。
 ■内野安打
1.岡林勇希(中日)24本
2.中野拓夢(阪神)21本
3.岩田幸宏(ヤクルト)20本

 岡林は足で稼いだヒットを2年ぶりの最多安打獲得につなげた。それ以上にスピードを拠り所にしたのが岩田だろう。放った全打球の65.0%がゴロで、リーグ最多のバント安打8本を含めて、記録した95安打のうち3分の1近くが内野安打だった。右打者では桑原将志(DeNA)の16本が最多。村上宗隆(ヤクルト)は前年の10本から今季はゼロと、故障の影響を感じさせた。

■盗塁成功率
1.桑原将志(DeNA)100.0%
2.田中幹也(中日)85.7%
3.上林誠知(中日)84.4%
※10盗塁以上

 桑原はレギュラー定着から盗塁成功率が低かったが、昨季は8個、今季は10個を失敗なしで成功させるなど別人に生まれ変わったよう。中日は2、3位の2人を筆頭に、チーム全体でリーグベストの成功率72.1%を記録した。特に、上林はキャリアハイを大きく更新する27盗塁を決めて周囲を驚かせている。佐藤輝明(阪神)も成功率83.3%で10盗塁と走塁面での貢献も見逃せない。
 ■補殺(外野手)
1.蝦名達夫(DeNA)6
1.中山礼都(巨人)6
1.上林誠知(中日)6

 右翼手での起用が多かった3人が最も多くの走者を刺した。蝦名は5月11日のヤクルト戦でライトゴロを完成させるなど肩での失点抑止能力が高く、定位置獲得のアピールポイントにできた。本職が内野の中山は今季から外野にも就き、50試合足らずの起用で1位に並んだ。上林はソフトバンク時代の2017、18年にいずれもリーグ最多の10補殺を記録していただけに、今季は走攻守とも復活と言える。

■盗塁阻止率(捕手)
1.古賀優大(ヤクルト).500
2.岸田行倫 (巨人).419
3.石伊雄太(中日).413
※規定試合以上

 正捕手獲りをうかがう3人が盗塁阻止能力を発揮。古賀はマスクを被った85試合のみでリーグ最多の30盗塁刺を記録した。岸田も捕手出場は78試合だけだが、昨季同様に.400超えの高水準。新人の石伊も高い評価を得ていた肩をプロの舞台でもアピールした。下半身のコンディション不良が続いた中村悠平(ヤクルト)がリーグワーストの.132でほとんど刺せず、昨季までの2年連続4割台から急降下。


文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

配信元: THE DIGEST

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