個人タイトルの対象ではなくとも、今季の選手個々の活躍や貢献を振り返る上で見逃せない部門のベスト3を紹介する。今回はセ・リーグの投手編だ。(※先発で120投球回以上16人、救援が45投球回以上20人を対象)
■奪三振率(奪三振×9÷投球回)
【先発】
1.バウアー(DeNA)8.01
2.ケイ(DeNA)7.55
3.山﨑伊織(巨人)7.54
【救援】
1.松山晋也(中日)12.34
2.マルティネス(巨人)10.32
3.伊勢大夢(DeNA)9.85
先発ではDeNAの両助っ人がワンツー。いずれも任された試合は長いイニングを担いながら三振を多く記録したが、防御率4.51と1.74で投球結果自体は明暗が分かれた。対照的に、松葉貴大(中日)は奪三振率3.77の低さでも好投。対象外選手ではデュプランティエ(阪神)が11.22と、戦列を離れるまで凄まじい勢いで三振を量産した。救援ではリーグ最多タイに並ぶセーブを挙げた2人が1、2位で、松山の72奪三振は救援投手最多。
■与四球率(与四球×9÷投球回)
【先発】
1.村上頌樹(阪神)1.28
2.赤星優志(巨人)1.41
3.東克樹(DeNA)1.46
【救援】
1.石井大智(阪神)1.19
2.マルティネス(巨人)1.75
3.松山晋也(中日)1.88
阪神のリーグ優勝を支えた投手2人が先発、救援でそれぞれ1位に。村上は3四球が1試合だけで残り全試合は2つ以下、石井は全登板で1以下の制球力が好成績の源泉だった。先発では赤星と東も1試合最多で3四球にとどめるなど余計な走者を出さず。DeNAはジャクソンが3.29でワースト、バウアーの3.23が同2位と乱れた。対象外の選手では戸郷翔征(巨人)が3.73と数字を大きく悪化させ、来季復活へ向けてのポイントになりそう。
■K/BB(奪三振÷与四球)
【先発】
1.村上頌樹(阪神)5.76
2.東克樹(DeNA)4.73
3.赤星優志(巨人)4.63
【救援】
1.松山晋也(中日)6.55
2.石井大智(阪神)6.00
3.マルティネス(巨人)5.91
三振を多く奪いながら四球を少なく抑える投球ができていた投手として、やはり今季の象徴的な投手が多く並んだ。先発1位の村上は奪三振王に輝いただけでなく、与四球率部門でもベスト。救援1位の松山は豪快な投げっぷりのイメージそのままに奪三振率1位に輝いただけでなく、与四球率でも3位に食い込んだ。対象外選手では井上温大(巨人)も5.26と質の高い投球を続けた結果が表れている。
■HQS率(HQS÷先発数)
1.東克樹(DeNA)62.5%
2.森下暢仁(広島)59.1%
3.ケイ(DeNA)54.2%
先発登板で7イニング以上&自責点2以内に収めた回数を表すHQS(ハイクオリティ・スタート)では、東がリーグ最多の15回を記録した。森下はHQSを記録した13登板でも4勝6敗と援護に恵まれず。6イニング以上&自責点3以内のQS率86.4%はリーグベストだったが、シーズンで6勝14敗と大きく負け越している。新人の金丸夢斗(中日)は4回のHQSで白星がつかず、12回のQSでも4勝のみと勝ち運がなかった。
■被OPS(出塁率+長打率)
【先発】
1.ケイ(DeNA).535
2.村上頌樹(阪神).548
3.大野雄大(中日).561
【救援】
1.島内颯太郎(広島).433
2.及川雅貴(阪神).442
3.マルティネス(巨人).454
先発1位のケイは被長打率.275、2位の村上は被出塁率.244とWHIP0.89もリーグベスト。対象外の選手ではルーキーの伊原陵人(阪神)が被OPS.585と3傑に近い水準で、新人王に輝いた荘司宏太(ヤクルト)は.408と救援ベストに相当する数値を残した。巨人は戸郷翔征が昨季から.510→.767と大幅に悪化し、初のセ・リーグに臨んだ田中将大も.787とぼろぼろ。
■被打率
【先発】
1.ケイ(DeNA).201
2.村上頌樹(阪神).207
3.才木浩人(阪神).214
【救援】
1.島内颯太郎(広島) .152
2.及川雅貴(阪神) .163
3.マルティネス(巨人) .164
才木は被本塁打率0.34と得点圏被打率.140が先発のベスト。同じく及川はピンチで.109、マルティネスも.114と強さを発揮した。対象外の選手では先発のデュプランティエ(阪神)が被打率.168、救援の荘司宏太(ヤクルト)も.138と優秀な数字でそれぞれが“隠れ1位”。対照的に、石川雅規(ヤクルト)は.365と打ち込まれた。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。X(旧ツイッター)IDは@Struggler_AKIRA。

