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「THE FAT HATTER」菊地氏、最上の素材を求めて欧州へ。ポルトガルの名門『FEPSA』社を訪れた。

50年代以前の旧きよきアメリカのハット作りをオマージュし、伝統的な製法にて1点ずつ仕上げるTHE FAT HATTER。時代を逆行するかのように、多くの手作業と技術を要する生産背景を選び、世界中から最上の素材を探し出す。その手間隙を掛けてこそ生まれる最上のハットは、今や世界中から評価されている。秋冬コレクションを構想する前に、THE FAT HATTERの代表である菊地氏が訪れたのが、ヨーロッパだ。ハット作りに欠かせない生地の産地であるポーランド、チェコ、ベルギーなどを巡った。旅の最終目的地はポルトガルのポルト。滅多に入ることが許されない名門『FEPSA』社に潜入した。

強いクラフトマンシップで繋がったポルトガルの名門。

THE FAT HATTERではアイコンであるビーバーファーを筆頭に、素材に関しても強いこだわりを持つ。素材を突き詰めていくと、欧州へ行き着くそうで、使用する帽体はヨーロッパの名門工場へ特別オーダーをしている。今回の旅の目的は、自身の目で生産の現場を確認することだと菊地氏は語る。

「日本の帽体屋でもっとも信頼しているのがサハラの佐原さんという方で、先代が独自にヨーロッパの工場を開拓されたので、日本では手に入れることが困難な高品質な帽体を取り扱っているんです。今回は、その佐原さんの手引きで、ポーランドやチェコを周り、最後にポルトガルの有名フェルトメーカーであるFEPSA社に招かれることになりました。同社は世界的なハットメーカーやメゾンにも帽体を提供する名門。弊社も佐原さんを通じて、特別なビーバーファーやラビットファーなどのフェルトなどを作ってもらっており、10年目にして、念願叶って、工場へ訪れることができたんです」

旧きよき時代のハット作りには高品質で昔ながらの生地が必要不可欠。一般的にはビーバーであれば、90グラム程度であるが、菊地氏の生み出すハットに応じて100gから240gまで細かくオーダー。そのようなオーダーを受けてくれるメーカーは世界に数社のみであり、FEPSA社は、菊地氏のプロダクトを生み出す源流になっているのだ。

世界中のハッターが憧れるポルトガルの名門工場へ潜入。

旅の最終目的地はポルトガルのポルト。市街から車で40分ほどの立地に世界的なフェルトメーカーであるFEPSA社がある。有名メゾンもこぞってオーダーする名門である。

ビーバーファーを用いたフェルト生地の生産風景。ビーバーファーはウールとは違い、特殊な工程で生産されるため生産量が少ない。

フェルト帽体を作るための特殊工具。フェルトと聞くとまっ平らな生地をイメージするが、ファーは特殊な手法で縮絨していく。

ウールフェルトを作っている機械。ウールは特性上、縮絨しやすいため、ビーバーファーに比べると生産効率が高い。そのため安価なのだ。

ビーバーやラビットのファーを用いた帽体は徹底管理され、機械から取り外した後も職人の手作業で、糊入れや磨き加工を施す。

配信元: Dig-it

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