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人気盲点だったロブチェン、ホープフルS史上初快挙を飾った素質馬の快走

人気盲点だったロブチェン、ホープフルS史上初快挙を飾った素質馬の快走

12月27日、2歳の中距離王者を決めるホープフルステークス(GⅠ、中山・芝2000m)が行なわれ、単勝7番人気のロブチェン(牡/栗東・杉山晴紀厩舎)が、先に抜け出した4番人気のフォルテアンジェロ(牡/美浦・上原佑紀厩舎)、9番人気のアスクエジンバラ(牡/栗東・福永祐一厩舎)を差し切って優勝。新馬勝ちのみの1戦1勝馬ながら、一気の飛躍でデビュー2戦目にしてビッグタイトルを手にした。本レースがGⅠに昇格して以降、キャリア1戦の優勝馬は史上初の快挙だった。

 一方、上位人気馬は総崩れ。1番人気に推されたアンドゥーリル(牡/栗東・中内田充正厩舎)は直線で伸びを欠いて7着、2番人気のジャスティンビスタ(牡/栗東・吉岡辰弥厩舎)は追い込み切れず8着となり、3番人気のショウナンガルフ(牡/栗東・須貝尚介厩舎)は後方のままで14着に終わった。

 人気の盲点となっていた素質馬がGⅠのステージでファンを驚かせる快走を見せた。レースは13番人気のテーオーアルアイン(牡/栗東・奥村豊厩舎)が先手を取ったが、1000mの通過ラップが1分01秒3。やや湿り気が残った馬場ではあったが、流れは平均寄りのスローペースになった。フォルテアンジェロ、アスクエジンバラ、アンドゥーリルは4~5番手付近でレースを進め、4番枠から出たロブチェンはその直後の内ラチ沿いできれいに折り合いを付けて追走。ジャスティンビスタとショウナンガルフは後方集団で終いに賭ける算段だと映る。

 第3コーナー過ぎからピッチを上げて馬群は直線へ向く。アンドゥーリルが先頭をうかがうが伸びを欠き、アスクエジンバラがそれを交わしにかかる。そこへフォルテアンジェロが並びかけるが、前の2頭を急襲したのが馬群の切れ目を突いて内から外へと持ち出したロブチェンだった。松山弘平騎手の渾身の手綱に応えて爆発的な末脚を繰り出し、フォルテアンジェロを3/4馬身交わして真っ先にゴールへ飛び込んだ。
  ロブチェンは11月の新馬戦(京都・芝2000m)で2着に3馬身(0秒5)差を付けて逃げ切っていたが、重馬場で時計がかかっていたため(2分04秒5)、重賞経験組やオープン競走の勝ち馬などが揃ったここでは目立たぬ存在になっていた。

 昨年は同じ杉山晴紀厩舎のジョバンニで2着となり悔しい思いをしていたという松山弘平騎手。この日はロスのないコース取りと、直線での落ち着いた手綱さばきがことさら素晴らしかった。レース後のインタビューでは、「最後は交わしてくれ、と。調教の動きでも終いは凄く切れるいい動きをしていたので、こういう脚も使えると思っていたので、何とか届いてくれ、という気持ちでした。新馬戦は重馬場だったので参考外なところはありましたが、こうしてきれいな馬場でもいい脚を使ってくれたので、これからどんな条件でも楽しみだと思います」と、来年のクラシックへ向けて愛馬の将来性を高く評価した。

 ロブチェンの父ワールドプレミアはディープインパクトの直仔で、現役時代は2019年の菊花賞(GⅠ)や2021年の春の天皇賞(GⅠ)を制した名うてのステイヤーとして鳴らした。2022年から種牡馬入りして、種付頭数は数十頭で推移していたが、産駒の重賞勝ちは今回のロブチェンが初のこととなった。ディープインパクトの後継種牡馬として、あらためて注目を集めることだろう。 2着のフォルテアンジェロと、3着のアスクエジンバラは、どちらも現時点での力は出し切れた印象だ。両頭とも先行策から一定の伸び脚は使っており、レースセンスの高さは評価できるもの。今回は相手が悪かったと言うべきだろう。

 7着に敗れたアンドゥーリルは、好位に付けながら直線の勝負どころで失速。川田将雅騎手は「現状、距離が長かった」としており、それも頷ける敗れ方だった。今後は陣営が進路をマイル戦線に切り替える可能性があるかもしれない。

 ジャスティンビスタは後方から追い込んだものの、前半に折り合いを欠いた部分が認められ、その影響か京都2歳ステークス(GⅢ)を制したときのような切れる末脚が鳴りを潜めた。北村友一騎手は、「レース前からポケットやゲート裏で気難しさを出していました。器用なレースができなくて、力を発揮できませんでした」とコメント。同時に、追い込み脚質に不利な流れになったことも敗因のひとつになったと言えるだろう。
  逆に、敗れながらも今後に期待をつないだのは4着のアーレムアレス(牡/栗東・橋口慎介厩舎)。上り1位タイとなる34秒5の末脚で勝ち馬から0秒4差まで追い込んでおり、流れひとつで浮上するに十分な能力を見せた。

 さらに1頭挙げておきたいのは、12着に敗れたコントレイル産駒のジーネキング(牡/美浦・斎藤誠厩舎)。2番手でレースを進めたが、直線では左右両側から挟まれるような形で位置を下げ、さらには前が壁になってまともに追えなかった。手応えが残っていたように見えただけに、次戦では再注目してみたい。

文●三好達彦

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配信元: THE DIGEST

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