政権発足以来、内閣の高支持率が続く高市早苗首相だが、令和8年(2026年)の「最大の関門」は、春に予定している訪米だ。高市首相はアメリカのトランプ大統領が中国を訪問する4月より前に訪米し、日米の緊密ぶりを中国に示したい考えだが、訪中成功を最優先するトランプ氏が受け入れるか、不透明だからだ。
高市首相は12月25日の講演で訪米時期について、
「来年のわりと早い時期かなと想像している。(トランプ大統領と)できるだけ早期にお目にかかりたいということで調整している」
ただ、国会日程との関係もあると述べており、選択肢が限られているのは事実だ。政府は通常国会を1月23日に召集する方針で、来年度予算案の審議中の訪米は難しい。
高市政権は衆院では過半数に達したものの、参院では少数与党であり、予算の早期成立を最優先するためにも、訪米は後回しにならざるをえない。3月末か4月上旬に訪米するとなると、トランプ大統領の訪中直前となる。外務省幹部が語る。
「本来ならば、トランプ大統領が台湾問題などで中国に妥協するのを阻止するためにも、訪中直前が望ましい」
ただし、アメリカがこれを受け入れるかについては、懐疑的な見方が強い。というのも、台湾有事をめぐる高市発言について、グラス駐日大使ら一部を除き、同盟国である日本を応援する立場をとることはなかったからだ。
上院議員時代は対中強硬派だったルビオ国務長官ですら「日本との強固な同盟関係を維持しつつ、中国共産党や中国政府とも生産的に協力する方法を見出していく」と話している。
今年10月の訪日の際の会談では「日本のために私たちができることがあれば、何なりと言ってほしい」と言っていたトランプ氏だが、はたして高市首相の要望を聞き入れるか。高市首相は気をもむ日々が続くことになりそうだ。
(田中紘二/政治ジャーナリスト)

