昭和歌謡のあだ花って言ったら失礼だけど、明らかにおいおいやりすぎだぞと言えるのが、「下ネタ&放送禁止の歌」でありやす。
梅宮辰夫さんが男性自身について歌い、放送禁止になった「シンボルロック」は、まあ言ってみれば確信犯に近い。部屋に入れてほしいと懇願する「お願い入れて」などは、操洋子さんの色っぽすぎる歌いっぷりから別の意味に勘違いされてしまった事故物件といったところでしょう。
中には理解に苦しむインパクト十分の楽曲もあります。それが「じんじろげ」。インドに伝わる俗謡をかの中村八大さんが採譜したといういわくつきのこの曲。日本人離れしたエレガントで垢抜けした雰囲気が魅力だった森山加代子さんが歌ったもんだから、その奇妙奇天烈さが受けたのか、なぜかヒットしてしまう。その余勢を駆って「ズビズビズー」「パイのパイのパイ」と快進撃を続けました。
本人はその素っ頓狂な路線が嫌だったのかな、在籍していた大手事務所から独立。その後「白い蝶のサンバ」で再起を図りました。
ここでクイズ。御大・北島三郎さん(89)のデビュー曲は何だったか、ご存知ですか? 答えは作者不明の春歌の旋律を大御所・星野哲郎さんが採譜した「ブンガチャ節」。放送禁止になったいわくつきの幻のデビュー曲。さすがのサブちゃん様も新人だったからなのか“嫌だ”とは言えなかったのでしょうか。どうあれ、超がつくほどの名曲!名唱!
さあお次は、紅白歌合戦の華とも呼べるデュエット曲です。僕が重宝してきたデュエット曲がヒロシ&キーボーの「3年目の浮気」です。この歌を大阪のラジオ局主催のイベントで坂本冬美さんとデュエットしたことがあります。僕は恥ずかしくてセリフのある曲が苦手。この時も「浪花恋しぐれ」を歌わされたらどうしようと心配になり、機先を制して「3年目の浮気」をリクエストしました。以前、番組で宇崎竜童さんと「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」を歌う羽目になり、ビビりましたが、案ずるより産むが易し。意外とイケてました。それ以来、苦手意識は捨てるようにしています。
ちなみに、もう少しおしゃれな雰囲気を求められたら、鈴木聖美withラッツ&スターの「ロンリー・チャップリン」を歌います。胸を震わす姉弟のハーモニーが大晦日の夜には沁みますね。
横山剣(よこやま・けん)ご存知〈俺の話を聞け!〉「タイガー&ドラゴン」でスマッシュヒットを放ったクレイジーケンバンドのフロントマン。今年9月に発売した25枚目アルバム「華麗」を引っ提げ、全国ツアーを敢行中! ライブで行われる「昭和歌謡イイネ!」のコーナーも大好評!

