コタツで一家団らん「紅白」を見て、除夜の鐘がゴーン♪。これが正しい日本の大晦日というのは今は昔。昨今は出演リストを見てもチンプンカンプン。嗚呼! やっぱり、アイドルヒット曲に大物歌手の熱唱で年を越すのがオヤジの本懐なのだ。そこで、昭和歌謡をこよなく愛すクレイジーケンバンド・横山剣が2週連続で登場。名曲から不適切ソングまで大集合の「昭和歌謡ごった煮紅白」をお届けする!
“昭和歌謡紅白歌合戦”「白組」のトップバッターは、やっぱりジュリーこと沢田研二さん(77)ではないでしょうか。
ボルサリーノの帽子をかっこよく放り投げる「勝手にしやがれ」、巨大なパラシュートを背負って熱唱する「TOKIO」も素晴らしい。だけど、僕のイチオシは何と言っても「カサブランカ・ダンディ」です。白いジャケットにジーンズというキザな格好で決めたジュリーが、ウイスキーをラッパ飲みで口に含んで、酒しぶき。あの衝撃的なパフォーマンスこそ紅白にピッタリ。ぜひ、もう一度観てみたい。
ただ、反抗的な態度を取る女性の頬を一つ二つ張り倒した末に背を向け煙草を吸ったりする歌詞は、今のご時世DVとみなされ完全にアウトかも。そんな歌詞も昭和歌謡ならではのご愛嬌でございやす。
さてジュリーと来たら、忘れちゃならないのが昭和のアイドル“新御三家”郷ひろみさん(70)ではないでしょうか。「哀愁のカサブランカ」「哀しみの黒い瞳」「GOLDFINGER’99」といった洋楽のカバー曲も、原曲に秘められた歌謡曲的な要素を引き出し、ケレンに満ちたエンターテインメントに昇華していて実にイイネ!! さらに、「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」「言えないよ」「逢いたくてしかたない」といった90年代のバラード3部作も素晴らしい。
だけど僕が紅白で聞きたいのは、阿木燿子作詞、都倉俊一作曲の「ハリウッド・スキャンダル」なのです。山本リンダやピンク・レディーといったビート強めの曲で知られる都倉さんですが、優美にして流麗なオーケストレーションが施されたゴージャスなアレンジも得意中の得意であります。ハリウッドの黄金期に思いを馳せ、高いワインに酔いしれてしまいたい大晦日の夜にはピッタリではないでしょうか。
郷さんといえば、22年に音楽番組「MUSIC FAIR」(フジテレビ系)で「セクシー・ユー(モンロー・ウォーク)」をデュエットしたことも懐かしい思い出でありやす。
セクシーな郷さんに対し、ワイルドさで人気を二分したのが西城秀樹さん。母が大ファンで、僕も中学生の頃、横浜ドリームランドのレインボープールで行われた公演に駆けつけたこともありやした。
秀樹さんといえば恒例となった後楽園球場をはじめ、現在では人気の野外音楽フェスの先駆者でもあります。その足跡がライブアルバムとして残されています。その数なんと18枚。中にはローリング・ストーンズやディープ・パープル、クイーン、さらにはキャロルといった当時のアイドルらしからぬカバー曲も数多く含まれておりやす。機会があったら、ぜひ聴いてもらいたいな。
そんな“ライブの帝王”に紅白で歌ってほしい曲といえば「ダンシング・オールナイト」で大ヒットを飛ばしてもんたよしのりさんが提供したナンバー「ギャランドゥ」です。
このインパクトのある曲のタイトル。歌詞がまだ固まっていない仮歌の段階でデタラメなフレーズを歌ったところ、それ以上ピッタリ来るフレーズが浮かばず、そのまま生き残ってしまったといういわくつきの名曲でもありやす。
ちなみに男性のヘソの下に生い茂る体毛を「ギャランドゥ」と呼び始めたのは、ユーミンこと松任谷由実さんが最初。芸能人水泳大会で「ギャランドゥ」を熱唱するビキニパンツ姿の秀樹さんを観てそう名づけたんだとか。イイネ!!
“新御三家”のトリを飾るのは、野口五郎さん(69)の「私鉄沿線」だろうね。作曲を手がけたのが野口さんの実兄に当たる佐藤寛さん。聴く者の琴線を震わす旋律には、兄弟の絆を感じやす。野口さんといえばギタリストとしても確かな腕前が評価されています。もう少しデビューが遅かったら、同時代のCharさんみたいになっていたかもしれませんね。
横山剣(よこやま・けん)ご存知〈俺の話を聞け!〉「タイガー&ドラゴン」でスマッシュヒットを放ったクレイジーケンバンドのフロントマン。今年9月に発売した25枚目アルバム「華麗」を引っ提げ、全国ツアーを敢行中! ライブで行われる「昭和歌謡イイネ!」のコーナーも大好評!

