暮れも押し迫った12月28日の日曜日、六代目山口組(司忍組長)は年末の恒例行事「餅つき」を愛知県瀬戸市の直系組織・十代目瀬戸一家(清田健二総裁)で開催した。
この日は敷地内のガレージに大型のテントを設置。午前8時までには傘下の直系組織組長(直参)を始め100人以上の組員が集結していた。8時を回ったころ、「よいしょ!よいしょ!」という威勢のいい大きな掛け声とともに、ペッタンペッタンと餅をつく音が聞こえてきた。外では各県警からの捜査員、報道陣が大挙して様子をうかがっている。
午前11時、ガレージのシャッターが開き、竹内照明若頭(四代目弘道会総裁)を始めとした最高幹部が現れ、出迎えの態勢を整え始めた。そこへ黒塗りの高級車両が到着。車内からサングラスをかけた司組長が降り立った。足早にテント内に姿を消したが、本誌と一部報道陣はこの時、テント内での撮影許可を得て、中に入ることができた。


テントの中は暖房が効いており、臼(うす)は6カ所に置かれていた。つき終えた先から蒸したてのもち米が運びこまれ、間断なく餅つきが繰り返されている。

司組長はまず、竹内照明若頭、山下昇本部長(極粋会会長)とともに、テント中央に鎮座する巨大なたる酒のそばに歩み寄る。組長みずからが鏡割りを行ったのだ。3人が一斉に紅白の帯がまかれた木槌を振り下ろし、山口組の代紋が入った升で酒がふるまわれた。
席に着いた司組長の手元には、立派な漆塗りの椀で組員たちがついた餅が入った雑煮が運ばれた。しばらくは餅つきの様子を眺めながら、雑煮に舌鼓を打つ司組長。するとおもむろに立ち上がり、テント内の調理係や蒸し器担当、餅の成型係に歩み寄り、声をかける。ぐるりとテント内を1周したのち、直系組長たちが担当する1台の臼に近づき、杵を手に取った。そして生野靖道若頭補佐(四代目石井一家総長)、加藤徹次若頭補佐(六代目豪友会会長)と3人で臼を取り囲み餅をつき始めたのだ。


「1,2,3!」
周囲の組員の掛け声が変わり、リズミカルに杵が振り下ろされる。毎年の恒例行事であり、餅つきの作法はお手の物だ。杵の扱いが力任せになりがちな直系組長には。司組長が手ずから指導が入る。杵は餅に対してただ単に縦に振り下ろすのではなく、臼の中を餅が小刻みに回転移動するように、打ちおろした後に軽く手前や横に引くのがコツであるそうで、指導の成果が出ると「それでいいんだ。餅が回ってきたな」と上機嫌で語っていた。
その後、12時半までに司組長と髙山清司相談役が会場を後にすると、午後1時前には竹内若頭も帰途に就いた。餅つきは午後2時頃まで続き、およそ700キロ用意した餅米をつきつくして、最後は山下本部長の音頭で、一本締めにより締めくくられたのだった。

地元関係者が語る。
「今年(2025年)、六代目山口組は、4月に10年続いた分裂に終止符を打ち、これ以上抗争事件を起こさない旨を兵庫県警に文書で提出しています。そのせいか、例年よりもさらに活気に満ちた餅つき大会になった。分裂の過去を乗り越え、前を向き進んでいることがありありと感じられましたね」
現在、分裂抗争の敵対組織は沈黙を守っており、警察当局は分裂抗争の終結を認めてはいない。2026年、山口組を取り巻く状況は新しいステージに進むのだろうか。
(アサヒ芸能編集部)

