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真田広之にいまこそ聞ける…「SHOGUN 将軍」が2025年に打ち立てた歴史的快挙と新シーズン展開のカギ

真田広之にいまこそ聞ける…「SHOGUN 将軍」が2025年に打ち立てた歴史的快挙と新シーズン展開のカギ

11月13日に香港で開催された「ディズニープラス・オリジナル・プレビュー 2025」。アジア各国から多くのメディアが集まるなか、会場でひときわ注目を集めていたのが、世界的ヒット作「SHOGUN 将軍」シーズン2の記者会見だった。イベント終了後、主演かつエグゼクティブプロデューサーの真田広之が、MOVIE WALKER PRESSのインタビューに応じてくれた。世界を魅了した「SHOGUN 将軍」シーズン1の成功の理由から、続編制作に込めた想い、役作りやプロデュースの視点、そして作品がこれから向かう未来まで、静かな情熱と共に語ってくれた。

■「パンデミック中に作ったからこそ、面と向かって互いを称え合える喜びを、全員が同じように感じていた」

「SHOGUN 将軍」シーズン1は、ジェームズ・クラベルのベストセラー小説を原作とした歴史ドラマだ。舞台は、関ヶ原の戦いを目前に控えた戦国時代末期。異国から漂着し、のちに“按針”と呼ばれる航海士ジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)の視点と、戦国武将・虎永(真田)が歩む政変の渦を重ねながら、文化や価値観が激しく交錯する時代を多面的に描いている。緻密な時代考証、日本語と英語を織り交ぜた多言語の対話、美術や衣装が生み出す圧倒的な質感など、細部への徹底したこだわりは“ハリウッドが本気で挑んだ戦国ドラマ”として大きな話題を呼んだ。配信開始直後から世界各国で高く評価され、第76回エミー賞では同賞史上最多となる18部門を受賞、第82回ゴールデン・グローブ賞でも作品賞や主演男優賞など主要部門を制し、日本を舞台にした歴史ドラマとしては異例ともいえる世界的成功を収めた。
米エミー賞で史上最多18部門受賞をはじめ、数々の国際的な賞を受賞した「SHOGUN 将軍」
米エミー賞で史上最多18部門受賞をはじめ、数々の国際的な賞を受賞した「SHOGUN 将軍」 / (c)2025 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks


パンデミック下で制作されたシーズン1。真田は、その特異な制作環境と各授賞式での“再会”の瞬間を鮮明に語ってくれた。「撮影を終えてからも1年半ほど、編集やビジュアルエフェクトなどのポストプロダクションに関わっていました。ただ、当時はパンデミックの真っ最中で、作業はすべてZOOMを使った遠隔操作。現場でもマスク越しで、スタッフの“目”しか見えていなかったんです。だから、授賞式で『ああ、この方があのポジションのスタッフだったのか』と気づけました。初めて顔をお互い見合って会話ができたというのは、本当にすごく感動的でした。多くの部門でノミネートされていたので、ほとんどのクルーと再会できて。パンデミック中に作ったからこそ、面と向かって互いを称え合える喜びを、全員が同じように感じていたと思います」。

■「王道に行けば行くほどユニバーサルなものになっていく」

では、「SHOGUN 将軍」はなぜ世界中で受け入れられたのか。単なるスケールの大きさでも、異国情緒でもない。真田はその核心を“普遍の人間ドラマへの回帰”に見ている。「どの文化や宗教の違いも乗り越えて理解していただくには、小手先ではなく“王道回帰”が必要だと思ったんです。王道に行けば行くほどユニバーサルなものになっていくんじゃないのかな。政治家や武将といっても、彼らは人間で、家族がいる。その原点に立ち返って人間を描けば、どの国のどの文化の方にも通用するはずだと感じていました。シーズン1ではその点を特に意識した結果、世界で認められたと思います。それはシーズン2でも変わらない。時代背景がどれだけ複雑でも、人間は人間で、家族は家族。立場が違っても、普遍的な感情に焦点を当てて描くことは揺るがないと思っています」。
窮地に立たされた戦国武将の心奥が繊細に映し出されていく
窮地に立たされた戦国武将の心奥が繊細に映し出されていく / (c)2025 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks


また、日本と海外の観客が見せた“楽しみ方の違い”も印象的だったという。「日本では、近年の時代劇が現代ナイズされることが多いなかで、『こういう本格的なものを待っていた』という声を多くいただきました。フィクションとはいえ、モデルとなる史実を理解したうえで“どこがどう変わっているのか”を比較しながら楽しむ方も多くて。また、いまは調べればなんでもわかる時代だからこそ、“きちんとリサーチしている作品かどうか”がすごく問われている。今回の物語自体はフィクションですが、見せ方として極力オーセンティックに持っていこうとした。その姿勢に対して『こういうのを待っていた』という評価が大きかったのだと思います」。

一方で、海外では史実の知識が前提にならない分、キャラクターの運命や展開そのものに新鮮に驚く視点が多かったという。「海外では、時代劇といえばモノクロの名作のイメージがいまだに強く、現代ナイズされた作品には『観る意味がない』という意見も少なくありません。だからこそ、今回のアプローチなら海外にも届くという確信がありましたし、実際、“そう来るか”という驚きと共に受け取っていただけた手応えも感じています。日本の方も深読みしてくださって、自分たちが想定していた以上に発見や驚きを膨らませて観ていただけていることがよくわかりました」。
関ヶ原の戦い前夜の日本を舞台に、徳川家康や石田三成ら歴史上の人物にインスパイアされたキャラクターたちの運命を描く
関ヶ原の戦い前夜の日本を舞台に、徳川家康や石田三成ら歴史上の人物にインスパイアされたキャラクターたちの運命を描く / (c)2025 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks


日本の歴史や文化を描く作品に対して、どんな姿勢で臨むべきか。それは真田が強い信念を持って向き合ってきたテーマでもある。「自分の文化や歴史に関わらない役なら、自由に俳優として楽しめばいい。でも、日本の歴史や文化を描く作品であれば、プロデューサーとして関わり、日本人が観ても恥ずかしくないものを世界に紹介したいと思っています」。

■「(原作への)リスペクトは失わずに、未知の領域を楽しんで開拓しているところです」

シーズン1の世界的成功を経て、続編制作が決まったのは自然の流れとも思われるが、シーズン2への参加には葛藤もあったという真田。しかし、作品が築いた道を未来につなぐ必要があるという想いが、彼の背中を押した。「今回の成功は日本人だけでなく、異文化のクリエイターや俳優にとっても門を開いたと思っています。だからこそ、これで終わってはいけない。続けて発信していくことがとても大事で、次の世代へ可能性をつないでいく。その意味でも、シーズン2を引き受けることには意義がありました」。
シーズン2では、10年後の物語が展開されていく
シーズン2では、10年後の物語が展開されていく / (c)2025 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks


シーズン2で、物語はいよいよ“10年後”へ。原作の枠を離れ、より自由度の高い創作へ向かう続編について、その方向性と独自性を語った。「シーズン2は10年後という設定になります。歴史を知っている方なら、“この時代になにが起こったか”は皆さんご存じだと思いますが、どこを切り取り、どこに焦点を当てるかというのが『SHOGUN 将軍』のオリジナリティなんです。原作の縛りがなくなった分、ライターズルームにはより大きな自由を与えています。史実を研究しながら、“誰を描き、なにを膨らませていくか”というのは彼らの腕の見せどころ。日本人としては何千回も既存の映画やドラマ作品で描かれてきた時代だからこそ、あえてそこに口を挟まず、彼らの視点からどんな切り取り方が生まれてくるのかを楽しみにしています」。

ここで真田が強調したのは、“東西の視点を融合させることで生まれる独自性”だ。ただ史実を忠実に再現するのではなく、西洋と東洋の視点を重ね合わせることで、作品はより奥行きと広がりを持つという。「日本人の視点だけではなく、海外の脚本家だからこそ出てくる発想や解釈が、その融合のなかで非常にユニークな形になるんです。実際、目から鱗のようなアイデアも多くて、“そう来たか”“そっちで解釈するか”という驚きがたくさんあります。それをしっかりリアリティをもって観客に届けるために、日本のクルーがオーセンティシティを固めていくというバランスの取り方は、シーズン1から変わらず大切にしている部分です。自由な発想で膨らませてもらって、そこでいかに現場で、落としどころを見つけていくかっていうのが難しいところであり、おもしろいところなんですね」。
東西の視点を融合させることで、「SHOGUN 将軍」の“独自性”も生まれたという
東西の視点を融合させることで、「SHOGUN 将軍」の“独自性”も生まれたという / (c)2025 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks


さらに、原作リスペクトとオリジナル展開のバランスについても明確な考えを示した。「シーズン1では原作をバイブルのように手元に置きながら作っていましたが、シーズン2には原作の縛りがありません。その一方で、テイストを守りながらオリジナルを作り上げていく必要がある。原作は“使い果たした”といっても、まだ使っていないエピソードもあって、必要に応じて引用することもあります。シーズン1を観てくださった方には、“ここであのセリフを使ったか”と気づいていただけるリンクもありますし、10年後という時間がありながらも、キャラクターの物語がきちんと着地していく。その一貫性も原作へのリスペクトだと思っています。リスペクトは失わずに、未知の領域を楽しんで開拓しているところです」。

■「現場でのプロデューサーとしての自分と、作品の中での虎永の立場が重なる部分がある」

シーズン1ではプロデューサーとして作品づくりに深く関わった真田は、シーズン2ではさらに一段階踏み込み、エグゼクティブプロデューサーへと昇格した。その立場の変化は、現場の空気や、自身の発言の届き方にも確かな違いを生んでいるという。「境目は曖昧なんですが、シーズン1の実績や評価があるからなのか、エグゼクティブプロデューサーという肩書きがついたからなのか、現場での“耳の傾けられ方”がまるで違うんです。意見が通りやすくなってしまう分、その発言には責任を持たなければならない。自分が『こうだ』と言うと、現場全体がその方向に動いてしまうので、口に出す前に前以上に考える必要がある。良さと怖さの両方がありますね」。
「SHOGUN 将軍」シーズン2の主演兼エグゼクティブプロデューサーを務める真田広之
「SHOGUN 将軍」シーズン2の主演兼エグゼクティブプロデューサーを務める真田広之


さらに、物語の中心となるキャラクター・虎永の“10年後”をどう演じるか。その準備も、エグゼクティブプロデューサーと俳優の異なる立場から向き合っている。「まさにいまは衣装やヘアメイク、美術の担当者と意見を交わしながら、“10年後の虎永がどう見えるべきか”を考えています。公の場に立つ時の姿、ふと一人になった時の自然体、その落差をどうつけるか。自分としても年齢的に未知の領域に踏み込むので、緊張とワクワクの両方があります。ポジションとしては、主演俳優というより“みんなの受け皿”だと思っています。シーズン1から続投のキャスト、新たに加わるキャスト、その双方が全力を出せるように受け止める存在でいたい。現場でのプロデューサーとしての自分と、作品の中での虎永の立場が重なる部分があって、あまり頭でこねくり回さず、皆さんのいい芝居を引き出し、それを受け止めて返す。その姿勢はシーズン1から変わらないですね」。

■「作品だけでなく現場自体も“参加してよかった”と思えるような場所にできればと考えている」

2026年1月から撮影が始まるシーズン2。作品の世界観を支えてきたキャストとスタッフが再び撮影地・バンクーバーに集結し、そこへ新たな才能が加わる。真田をはじめ、按針役のコズモ・ジャーヴィス、落葉の方役の二階堂ふみ、戸田広勝役の阿部進之介、樫木央海役の金井浩人など続投キャストが発表されているほか、新キャストとしては、水川あさみ、窪田正孝、金田昇、榎木孝明、國村隼が参加。さらに、目黒蓮の出演も大きな注目を集めている。

“帰ってきた仲間たち”と“新しい風”が交錯する現場について、真田は「キャストもクルーも半分以上はシーズン1からの続投なので、そのチームワークを楽しみながら臨みたいと思っています。ゼロからではないぶん、“もっと先へ行くぞ”という気持ちが強いですね。さらに今回は新しい日本人クルーやキャストも多く参加しますので、本当にウェルカムな体制を作って、存分に才能を発揮していただきたい。アットホームな現場にしたいですし、バンクーバーで数か月一緒に過ごすので、作品だけでなく現場自体も“参加してよかった”と思えるような場所にできればと考えています」とこれからの撮影を楽しみにしているよう。
「SHOGUN 将軍」新シーズンは2026年1月にバンクーバーで撮影開始
「SHOGUN 将軍」新シーズンは2026年1月にバンクーバーで撮影開始 / (c)2025 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks


そして、新キャストはいずれもオーディションを勝ち抜いた強者ばかりで、そこに対する真田のリスペクトも深い。「新たなキャストも随時発表されていきますが、全員がオーディションを受け、かなりの競争を勝ち抜いて役を掴んだ方々です。その努力や熱意にも敬意を払いたいと思っていますし、彼らが思い切り芝居ができるような現場にしたいです」。

さらに記者会見では、「『SHOGUN 将軍』は若い才能にチャンスを与え、世界へと紹介していく大切な舞台になっている」と語った真田は、海外を目指す若い世代たちへのエールも送った。「作品の中では日本語しか話さない役でも、現場では英語を使うスタッフがたくさんいます。英語は海外の現場に出るためのライセンスのようなもの。楽しみながらぜひ学んでほしい。そして、日本だけで活動していると“日本人離れした”スタイルが評価されることもありますが、海外で日本人が求められるのは“日本人らしさ”なんです。日本だけで勝負するなら、海外からいろんなものを取り入れて、日本のファンに見せるというのは一つの在り方だと思うんですけど、自分が海外でなにを求められ、なにをアピールできるのかを考えることが重要だと思います」。
香港で開催された「ディズニープラス・オリジナル・プレビュー 2025」の様子
香港で開催された「ディズニープラス・オリジナル・プレビュー 2025」の様子


世界的成功を収めたシーズン1が、いかにして生まれ、どんな視点で作られていたのか。真田広之の言葉から浮かび上がるものは、作品に注がれた膨大な熱量と、静かな情熱、そして未来への確かな視線だった。

いま改めてシーズン1を見直すと、そこに仕掛けられた数々の伏線や、キャラクターたちの10年後へつながる微細な表情、そして「SHOGUN 将軍」という作品の核がより鮮明に浮かび上がるはずだ。シーズン2、そしてその先の展開がどのように描かれていくのか。再発見を重ねながら、その航路を楽しみに待ちたい。

取材・文/編集部
配信元: MOVIE WALKER PRESS

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